相続税

相続税申告に必要な書類(家庭用財産等、生命保険や損害保険に関する書類)

2021.06.12

皆さんは、税金の申告をご自身でされたことはありますか。
特にこれから説明する相続税申告については、専門的な知識が必要とされるため、一般的には専門家にご相談される方が多いのではないかと思います。

今回は、あえてご自身で相続税申告を行うことを念頭に、相続税申告の必要書類のうち、一部ご紹介したいと思います。
今回説明するのは、家庭用財産等に関する書類、そして、生命保険や損害保険に関する書類です。

1.家庭用財産に関する書類

(1)書類一覧
書類名等 取得できる場所・取得費用 注意事項
時価が5万円を超える
家庭用財産のリスト
相続人等が自宅を調査し、
作成する。
5万円を超えているかどうかは、1個または1組ごとに判定する。
時価が5万円を超える
家庭用財産の購入時の資料
自宅等に保管がある場合。 買った時期や金額、店舗名の分かる領収書等。
自動車検査証(車検証) 車種、初度登録年月日、型式の確認のため。
美術品が入っていた箱や保証書 等 落款(印)や署名等真贋確認のため。
美術品相続評価書 画商や骨董商、各地の美術倶楽部等。
鑑定評価料数万円~、
評価書発行量数万円
画像だけで簡易に査定してくれる場合もある
船舶検査証書、
購入時の契約書や領収書 等
船種、船名、登録番号等の確認のため。

 

(2)書類を集める上でのポイント

①家庭用財産は5万円を超えているかどうかで判定する
相続開始日現在における1個または1組の価額(時価)が5万円以下の家庭用財産は、世帯ごとにまとめて大まかに価値を見積もり、一括で評価してよいことになっています。そのために、まずは、5万円を超えそうな新品やアンティークの物等がないかどうか確認してください。

②趣味の道具や美術品に注意
亡くなった方に、カメラ、ゴルフ、マリンスポーツ、ワイン、音楽、茶道等のような趣味があり、それらに関する道具が多くある場合や、美術年鑑に記載されている作家の美術品がある場合、念のため価値の判断できる専門家に確認してもらいましょう。亡くなった方の通帳や生前の振込や引き落としの記録から、購入金額が分かるようなら確認してみてください。

2.生命保険や損害保険に関する書類

(1)書類一覧
書類名等 取得できる場所・取得費用 注意事項
保険証券のコピー 自宅(保険会社への提出前にコピーしていた場合)。 契約書・被保険者・受取人の確認のため
保険金の支払明細
支払通知書
支払計算書
支払手続き完了のお知らせ 等
保険金請求後、保険会社から保険金の支払前に受取人に郵送される。
保険金の支払日や金額、送金先等が記載されている。
故人が被保険者だった保険がある場合。
書類名は保険会社により異なる。
解約返戻金相当額等証明書 生命保険権利評価額証明書 等 契約していた保険会社。 故人が契約者(保険料負担者)で、今回保険金が支払われない保険がある場合。
建物更生共済の解約返戻金証明書 共済契約を結んでいる農協等。 契約返戻金のある共済契約がある場合。
受取人の通帳 入金確認のため。
保険料負担者の通帳 保険料を支払った事実を確認するため。

 

(2)書類を集める上でのポイント

保険が、相続税の対象になるかならないかの判断は難しいです。
保険金が支払われない保険契約、も相続税の対象になることがあります。家にある保険証券について、契約者(保険料負担者)・被保険者・受取人を確認してください。

①契約者・被保険者・受取人・保険料・保険金について
亡くなった方が被保険者だった生命保険は、相続で保険金が支払われ、相続税の対象になります。以下で保険の用語について説明します。
「契約者」…契約の当事者となり保険料を払う人
「被保険者」…保険の対象になっている人
「受取人」…保険金をもらう人
「保険料」…契約者が保険会社に払い込むお金
「保険金」…もしものときに受取人がもらえるお金

②保険証券
上記は、保険加入時に保険会社から契約者に交付される保険証券に記載されています。しかし、保険金の請求手続きをするときには保険証券を提出する必要があり、一度提出してしまうと、その後は返還されないので、注意が必要です。通常、保険金の請求手続きを行った後に相続税申告を行うことが多いので、保険会社へ提出する前にコピーを取っておいてください。
保険証券が見当たらない等保険契約の有無が不明な場合は、亡くなった方の所得税の確定申告書に生命保険料控除証明書が添付されていないか、または、給与所得の源泉徴収票に生命保険料の控除額の記載がないか、または、預金口座から保険料が引き落とされていないか等、見てみてください。

③解約返戻金相当額等証明書
解約返戻金相当額とは、保険を解約したときに保険会社から戻るお金のことです。終身保険や養老保険等、保険期間が長い保険や掛け捨てではない貯蓄性のある保険には、解約返戻金があることが多いです。
相続で保険金が支払われなくても、亡くなった方が契約者(保険料負担者)である生命保険は、解約返戻金相当額が相続税の対象になります。
亡くなった方が家族にかけた(被保険者が家族の)生命保険の中にこのようなものがないか、保険証券を持ち寄り確認してみましょう。
該当する保険があった場合は、保険会社に相続開始時点での解約返戻金相当額を証明する「解約返戻金相当額等証明書」の発行を依頼してください。証明書を発行してもらえない保険会社もありますが、相続人に対しては、口頭や簡易な書面で金額を教えてもらえることが多いです。

④契約者と保険料負担者が異なる場合
原則、保険料は、契約者が負担すべきものです。しかし、家族が契約者になっている保険の保険料を、家族が代わりに亡くなった方が現金や口座振替で支払っていることがあります。
その場合は、「名義保険」(契約者が単に名ばかりにすぎない場合)として扱われ、実際に保険料を負担していた人が誰かということで税務上の取扱いを判断します。

⑤会社員の場合
保険料を給料から天引きする団体扱いの生命保険に加入していないか、勤務先に確認してください。

⑥損害保険が相続税の対象になる場合
亡くなった方が建物更生共済(積立型の共済契約)の契約者だった場合、解約返戻金の額が相続税の対象になります。加えて、掛け捨ての火災保険や自動車保険等契約返戻金のない損害保険も,生前に保険料を一時払いしていた場合は、前納保険料の額が相続税の対象になります。

いかがでしたでしょうか。相続税申告の手続きをご自身でするのは非常に労力を要します。今回の記事が少しでもその手助けになりましたら幸いです。
なお、上記以外の書類や手続きについては、機会がありましたら別の記事で取り扱います。