相続税

相続税の税務調査について①

2021.04.23
相続税の税務調査について①

相続発生時、無事に相続税申告まで終わったのでひと安心…。
そう考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、相続税申告後に税務署から「税務調査」が入る可能性があります。

今日は、そんな事前に知っておきたい税務調査についてご説明したいと思います。

1.税務調査とは?

実は、相続税の税務調査は、申告者の20~30%が受けていると言われています。とても他人事ではないですよね。相続税は、他の税金に比べても調査が多いとされています。なぜ相続税は頻繁に税務調査が行われているのでしょうか?

それは、相続税は申告不備が多いからです。相続税は、他に税金と比べても専門的な知識が必要だからです。
国税庁はシステムを使用し、納税者の情報管理を一元化しており、その中で相続税の金額が正しいか、申告漏れが無いかなど徹底的にチェックしているのです。
その中で、過少申告の可能性がある場合に税務調査が入ります。
(※ちなみに、税金を過払いしていた場合はその旨連絡されることは無いので、還付の申告が必要になります。)

①税務調査の対象になりやすいのは?

一般的に、調査対象として選ばれやすいのは遺産総額が2億円以上の場合といわれています。
また、無申告者に対しても税務調査を行い、申告漏れと判断された場合は厳しく取り締まりがなされています。
さらに近年では、海外資産の所有者の増加にともない海外資産保有者も調査の対象となりやすくなっています。

驚くことに、実際に税務調査を受けた場合、総調査件数の約8割が申告漏れなどで追徴税が発生しているというデータがあります(2017年度)。税務調査はある程度申告漏れの確信を持って行われていることが分かりますね。

②税務調査はいつ行われるの?

税務調査は、相続税申告後1~2年後に入るのが一般的です。原則、事前に調査の旨を納税者(相続人)に通知した上で実施されることがほとんどです。悪質な脱税行為がなされていることが明らかな場合は無予告で行われる場合もありますが、通常は予告制です。

相続税の時効期間は申告期限から5年間(ただし、申告納税の義務のあることを認識しながら正しく納税をしなかったなど、偽りその他不正の行為により納税を免れたと判断された場合は、申告期限から7年間は徴税が可能となる場合があります。)であるため、この期間が過ぎれば税務調査は入りませんので、一通りの手続きが完了した!と晴れて安心できますね。

2.税務調査の流れと調査が決まったら事前に確認しておくこと

次に、税務調査の予告があり、実際に税務調査を受けることになった場合はどのような流れで行われるのでしょうか?
税務調査は、以下のスケジュールで実施されます。よほどのことが無い限りは通常1日で終了します。

午前10時頃~
場所:原則相続人の生前の住まい
立会人:相続人全員(可能な限り)
―調査官・質問係訪問、ヒアリング実施
 この時、被相続人についてだけでなく相続人のプロフィールについて詳細に質問されます。

13時頃~
―確認調査
 通帳や印鑑などの現物を見ながらの確認作業や、遺産分割協議書の内容通りに財産が分割されているかの確認や具体的事象についての質疑応答・指摘など

17時頃
―終了

また、税務調査が行われることが決まったら、事前に、下記4つは行っておくのが良いでしょう。

①財産の把握
これは、そもそもの申告ミスを防ぐために、本来であれば被相続人と生前に確認しておくのが良いですが、税務調査が決まったら再度見直し適切に把握しましょう。

②申告内容の確認
仮に多額の申告ミスが事前に見つかれば、調査前の修正申告を行うことで加算税が少額で済む場合もありますので、①と併せて確認しておきましょう。

③遺産分割の記録
税務調査では、調査官から遺産分割の内容についても確認されますので、詳細に記録しておきましょう。遺産分割協議書がある場合は、そちらを用意しておいても良いでしょう。

④生前贈与について
税務調査では、生前贈与の贈与税が正しく納付されているかどうかも確認されますので、生前贈与の詳細を記録しておきましょう。

3.税務調査でチェックされる内容

先ほど、簡単にどのような調査が入るかはご説明しましたが、もう少し詳しく見ていきましょう。
相続税の税務調査でチェックされるのは、以下の通りです。

必ずチェックされる!
・名義預金
 名義預金とは、他人の名義で口座開設し、自分のお金を管理することです。仮に、被相続人名義の名前の通帳でなくても、お金の管理を被相続人自身が行っていた場合は本人の預金とみなされるため、贈与税(相続税よりも税率が低い)とはみなされません。
被相続人が子どものために定期的に貯金していた口座が名義預金としてみなされたりしたら、重加算税がかかってしまいます。そうならないためには、名義人自身が管理できるようにしておくことが必要です。
・定期贈与
 定期贈与とは、毎年決まった額を贈与することで、これは一括贈与と同じ扱いになってしまいます。そのため贈与した全額が課税対象となります。定期贈与とみなされないためには暦年贈与との違いを理解し、毎年違う時期に違う額を贈与する必要があります。
その他にも意外にチェックされる!
・被相続人の通帳
 ⇒相続開始前に多額の引き出しがないか確認
・遺言書
 ⇒申告書に記載されていない財産がないか確認
・自宅の金庫・金融機関の貸金庫
 ⇒申告書に記載されていない財産がないか確認
・高価な動
 ⇒申告書に記載されていない効果な骨とう品や書画などを確認
・その他(日記帳・手帳・電話帳など)
 ⇒申告書に記載されていない金融機関や保険会社との付き合いや隠し財産がないか確認

いかがでしょう。実に細かいところまでチェックされているので驚きですよね。
逆に言うと、相続税申告前に、これらをチェックしておけば、申告漏れは無くなるのできちんと押さえておくことが大切です。

4.まとめ

今回は、相続税の税務調査についてご説明しましたが、申告漏れがあると意外と細かく厄介ですね。次回解説しますが申告漏れがあった場合はペナルティもあるため正確に申告する必要があります。
専門的でなかなか難しい内容ですので、ぜひ専門家に相談されることをおすすめします。