相続税

相続財産を公益法人などに寄附した場合、相続税は非課税になる?

2021.01.26

たまに「寄附をすると相続税が節税できると聞いたけど、どうしたら得できるの?」とご相談を受けることがあります。もちろん、「寄附をする」=「財産が減る」ですから、いくら節税ができても寄附する額の方が大きいので、絶対に得はできませんよね。

ただ、そもそも特定の団体に対して寄附をしたいと考えている人はいるもので、節税目的ではなく、せっかく相続をきっかけとして寄附をするのであれば、寄附の原資とする資産について、相続税を非課税にできると寄附しやすいですよね。

そこで、相続後に寄附をすることで、その寄附の原資とした相続財産について非課税とすることができる「寄附金控除」についてご説明しましょう。
相続財産を相続人が相続した後、寄附した場合、原則として相続税は課税されます。相続財産を相続したことと寄附を行うことは無関係ですので、相続税を納税して残った資産から寄附をすれば良いのであって、当然の原則でしょう。

ただし、その寄附先が国や地方公共団体、特定の公益法人又は認定NPO法人の場合には、その寄附をした財産は相続税の対象としない(非課税)特例があります。 (寄付金控除)
では具体的に、どのようなところに、どのような方法で寄附をすると相続税が非課税になるのでしょうか。その要件等についてご説明したいと思います。

1.相続財産の寄附とは

まず、遺産の寄附の方法は、大きく2つあります。
①遺言書などにより故人(被相続人)の意思で寄附をする
②相続や遺贈により財産を取得した相続人が自分の意思で寄附をする

①を「遺贈寄附」、②を「相続財産寄附」といいます。

2.特例を受けるために必要な要件

次に、特例を受けるには、次の要件(1)~(3)すべてに当てはまることが必要です。

(1)寄附した財産が、相続や遺贈によって取得した財産であること

つまり、「相続財産寄附」になります。
これは、相続や遺贈で取得したとみなされる生命保険金や退職手当金も含まれます。 
ただし、取得した財産はそのままの形で寄附しましょう。例えば不動産であれば不動産のまま、有価証券であれば有価証券のまま寄附をするということです。相続財産を現金化して寄附をすると特例の適用外になってしまいます。
また、現金以外の寄附は受け取ってもらえない場合もありますので、事前に寄附先に確認をしておきましょう。(特に不動産の場合、換価が難しい不動産は固定資産税も生じますし、利用価値がない場合、維持コストを考えると受け取ってもらえないことが通常かと思います。)

(2)相続財産を相続税の申告書の提出期限までに寄附すること

相続税の申告期限は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」です。
したがって、10か月以内に①寄附を完了し、②寄附をしたことを証明する書類等が発行されている必要があります。①はご自身の判断で行えますが、②は寄附先が行う手続きですので、事前に擦り合わせをしておくべきでしょう。

(3)寄附した先が国、地方公共団体、特定の公益法人、又は認定非営利活動法人(認定NPO法人)であること

ここで、特定の公益法人とは、教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献、その他公益の増進に著しく寄与する法人をいいます。
具体的には以下のような法人です。

・独立行政法人
・地方独立行政法人
・国立大学法人
・公立大学法人
・日本私立学校振興・共済事業団
・自動車安全運転センター、日本赤十字社、日本ユニセフ協会
・公益社団法人、公益財団法人
・社会福祉法人
・更生保護法人
・認定NPO法人

3.特例の適用除外

寄附金控除を受けるための要件は以上の通りで、この要件を満たしたとしても、次の場合は寄附金控除の適用を受けることができません。

(1) 寄附を受けた日から2年を経過した日までに特定の公益法人、認定NPO法人に該当しなくなった場合や特定の公益法人又は認定NPO法人がその財産を公益を目的とする事業の用又は特定非営利活動に係る事業の用に使っていない場合。

(2) 寄附又は支出した人あるいは寄附又は支出した人の親族などの相続税又は贈与税の負担が結果的に不当に減少することとなった場合。 例えば、財産を寄附した人又は寄附した人の親族などが、寄附を受けた特定の公益法人などを利用して特別の利益を受けている場合は、これに該当することになります。

4.特例の適用手続

では、実際に寄附金控除を受けるための手続きはどのようになっているのでしょうか?

相続税の申告書に寄附又は支出した財産の明細書や一定の証明書類を添付することが必要です。相続税申告書に措置法70条の特例を受ける旨を記載し、次の書類を申告書に添付します。

(1)国、地方公共団体、特定の公益法人が発行した発行した下記情報が記載されている書類
・寄附を受けた旨
・寄附を受けた年月日
・寄附財産の明細
・寄附財産の使用目的

(2)地方独立行政法人又は学校法人の場合には上記の他、特定の公益法人に該当するものであることについて設立団体又は所轄庁が証明した書類

5.所得税・住民税の寄付金控除

国や地方公共団体または特定の公益法人へ寄附した場合は、確定申告をすることで、相続税だけでなく所得税や住民税も軽減されます。

また、相続財産をふるさと納税で寄附をした場合も地方公共団体への寄附に該当しますので、相続税は非課税となり、所得税と住民税も軽減されます。

6.まとめ

このように、相続財産を国や地方自治体、特定の公益法人に寄附することで、社会貢献になり相続税の軽減にもなります。また、相続人が自らの意思で寄附をした場合には、相続税だけでなく所得税や住民税も軽減され、さらなる減税効果が期待できます。特にふるさと納税を活用した場合、返礼品がもらえて、なおかつ相続税も節税できるとなれば、一石二鳥ではないでしょうか。

ただ、特例を受けるための要件は大変複雑ですので、寄附をご検討の際は税理士等の専門家にご相談されることをおすすめいたします。