ページが見つかりませんでした – 福岡の相続問題に強い弁護士による遺産相続ワンストップサポート https://law-komoda.jp Thu, 14 Mar 2024 08:56:59 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.0.7 https://law-komoda.jp/wp-content/uploads/cropped-sozoku_favicon-32x32.jpg ページが見つかりませんでした – 福岡の相続問題に強い弁護士による遺産相続ワンストップサポート https://law-komoda.jp 32 32 相続した不動産が共有だった場合について【2023年民法改正】 https://law-komoda.jp/blog/240314/ Thu, 14 Mar 2024 08:56:59 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9937 携帯電話を見る女性

共有物について、お悩みを持たれている方―例えば、相続した不動産が全く面識のない人との共有だったなど、は多いかと思います。そのようなお悩みを解決できる方向で、民法が改正されました。 1.共有者が不明、所在がわからない、連絡 […]

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共有物について、お悩みを持たれている方―例えば、相続した不動産が全く面識のない人との共有だったなど、は多いかと思います。そのようなお悩みを解決できる方向で、民法が改正されました。

1.共有者が不明、所在がわからない、連絡が取れない場合について

土地の利用を円滑にすることを目的の一つとして民法の一部が改正されました。その一環として、土地や不動産が共有だった場合(以下「共有不動産」といいます。)ついても円滑な活用ができるように改正がなされています。
今までは、共有不動産は共有者の全員の同意や持分の過半数で決めなければいけなかったため、共有者が誰であり、どこにいるのかを調べる必要がありました。もっとも、時間が経ってしまうとそのような調査をすることが困難であり、共有不動産を売却するなどの利用することができませんでした。

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この点が次のように解消されています。

(1) まず、他の共有者が誰であるかわからないまたは行方不明(以下、「所在等不明共有者」といいます。)の場合であっても、共有物について形状が変わるような大きな変更―例えば、建物を増改築すること、を所在等不明共有者以外の共有者の同意を得て、裁判所に請求することができるようになりました(民法251条1項、2項)。この法改正によって、他の共有者が誰かわからずまた行方不明で連絡が取れない場合においても、裁判所に請求をすることで共有物に大きな変更を加える工事などが可能となりました。
(2) また、改正前は、連絡を取り合うことができる共有者全員の持分で、過半数を超えることができない場合においては、共有物の管理(賃貸借契約の設定など、土地の形状を変更しない行為)について決定することができませんでした。
しかし、共有者が誰かわからない、行方不明である、または共有者に共有物の管理について連絡を取っても、一定期間連絡を返してこない場合でも共有物の管理ができるようになりました。
このような場合、所在等不明共有者以外の共有者の方の過半数によって裁判所に請求を行うことで、それらの共有者様方の過半数によって共有物の管理を行うことができることとなりました(252条2項)。
(3) さらに、改正前は、所在等不明共有者の持分を取得するには、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい、家庭裁判所の許可を得て、持分を購入するなどの手続きを行う必要があり、時間や手間がかかっていました。
この点、裁判所に所在等不明共有者の持分を他の共有者に取得させるという裁判をすることができるようになりました(民法262条の2第1項前段)。

2.共有物の管理者

さて、今までの話は、相続などで初めて不動産が共有だったときに有用な話でした。
もっとも、今回の改正では、そうなる前に対策をすることができるようにもなっています。
(1) 共有不動産の管理について、予め権限を有する者を決定しておくことができる条文が新設されました(252条の2第1項)。共有物の管理者を予め決定しておくことにより、共有物の管理については管理者が他の共有者の過半数の同意を得ることなく行うことができることとなります。
(2) 共有物の管理者に、どのような管理もさせることができるとすることが不安な場合、管理行為の権限について制限を加えることができます(252条の2第3項)。
しかし、気をつけておかなければならないのは、管理者のできることに制限があることを知らなかった人に対しては、管理者が一般に法律で認められている管理行為を行った場合(賃貸借契約を結ぶ権限は与えていないのに、賃貸借契約を結んでしまった場合など)には、その制限があったことを、主張することはできないことです(252条の2第4項)。つまり、管理者が勝手にその共有不動産を貸した人に対して、賃貸借契約を無効だとは言えないのです。
そういった意味では、きちんと信頼できる人を管理者にする必要があります。

3.まとめ

以上のように、共有物についても、より円滑な利用が可能となるような改正がされております。裁判所への請求が必要となる場合もありますが、共有者多数の共有物や、持ち分を多く持つ共有者が所在不明の場合など、様々な場面で活用が期待できるかもしれません。

 

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記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。

 

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相続税がかからない財産とは?~生命保険の非課税枠と取扱いの際に勘違いしやすいケース~ https://law-komoda.jp/blog/240228/ Wed, 28 Feb 2024 08:39:50 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9874 相続税がかからない財産とは?~生命保険の非課税枠と取扱いの際に勘違いしやすいケース~

今回は相続税がかからない財産として「生命保険」について、生命保険については非課税枠が相続税の基礎控除とは別にあるという話と、それから非課税枠の取扱いについて勘違いをしやすい点について弁護士がお話させていただきます。 1. […]

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相続税がかからない財産とは?~生命保険の非課税枠と取扱いの際に勘違いしやすいケース~


今回は相続税がかからない財産として「生命保険」について、生命保険については非課税枠が相続税の基礎控除とは別にあるという話と、それから非課税枠の取扱いについて勘違いをしやすい点について弁護士がお話させていただきます。

1.生命保険の非課税枠とは?

まず、生命保険の非課税枠についてなのですが、相続税課税の対象となる生命保険については、被保険者が被相続人、保険料の支払いはその全部又は一部を被相続人が行っている、受取人が相続人というケースになります。

そして、生命保険の非課税枠については、500万円に法定相続人の人数を乗じた額というようにされていますので、例えば相続人の方がお二人ですよという場合には1000万円、3人ですよという場合は1500万円までが生命保険の非課税枠が使えますという範囲になってきます。

生命保険の非課税枠

なお、ここでいう法定相続人には相続放棄をされた方も含みますので、相続放棄をしたからといって、この非課税枠が減ったりすることはありません。

そもそも、生命保険が何で相続税の対象になるのか?というところで、非課税枠がいくらかという以前の問題で疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

それについては、生命保険というのは、被相続人が亡くなられたことを理由にして支払いが発生するものなので、預貯金等の財産とは少し性質が異なりはしますが、そういった財産とほとんど一緒でしょうということで、みなし相続財産という扱いになるため、原則生命保険も相続税の範囲に入ってきますよ、相続税の課税対象になりますよというのが前提となっています。

その上で、ただこの500万円×法定相続人の人数についての範囲内の金額の死亡保険金であれば、基礎控除とは別に非課税枠を認めましょうということになります。

2.取扱いの際に勘違いしやすいケース

生命保険は相続税の課税対象になるという話をここまでしてきましたが、ここについて取り扱いについて勘違いをしやすいケースがいくつかありますので、そこについてお話します。

①相続税ではなく所得税の話になる場合

まず1つめが、被相続人が被保険者、保険料の負担と保険金の受取人が相続人というケースです。

🔵●相続税 ・被保険者…被相続人 ・保険料の負担者…被相続人 ・受取人…相続人 🔵●所得税 ・被保険者…被相続人 ・保険料の負担者…相続人 ・受取人…相続人

この場合は、確かに被相続人が亡くなることによって保険金の支払いは発生しますが、保険料を負担しているのは結局受け取る相続人御自身ですので、その場合は単純に所得税の課税の問題になってきます。

つまり、保険料の負担者と生命保険金の受取人が同一人の場合は、問題としては相続税の話ではなくて、あり得るとしても所得税の範囲ですよということになっていきますので、注意が必要です。

②相続税ではなく贈与税の話になる場合

2つめが、被相続人が被保険者、保険料の負担者が相続人、受取人が第三者というケースです。

①相続税ではなく、所得税になる

つまり、被保険者、保険料負担者、受取人がそれぞれ異なりますよというときは、場合によって贈与税の対象になることがあります。

このケースでは保険料を負担している人から、受取人の方に対する贈与というようにみなされる可能性があるということで、場合によっては保険金を受け取った方が贈与税の申告をしないといけなくなることがありますので、その点は注意が必要です。

相続税に関しては、この非課税枠というのをどれだけうまく使っていけるかというのが非常に重要でして、生命保険以外にも基礎控除の枠とまた別に使えるものというのが結構あります。ただ、簡単にできて皆さんが身近で対策がしやすいものとしては、この生命保険が利用しやすいのではないかと思います。

相続において、生命保険を相続税や相続税対策として利用する方法というのはたくさんありまして、そのメリットがいろいろな場面に出てきますが、まず相続対策で生命保険を使いましょう、使ってみましょうとなったときに、最初に話に出てくるのがこの非課税枠というものだと思っていただければと思いますので、少し節税とか相続対策とか考えてみたいな、生命保険が何か使えそうって聞いたことあるな、という方は、まずこの生命保険の非課税枠というものを知ってみて、これ以外で他に何がどう使えるのかというところを考えていかれるとよいかと思います。

福岡で生命保険を使った相続対策をお考えの方、ご自身のケースだとどのような対策を取るのかをご相談されたいという方は、弁護士、税理士が在籍している当事務所へぜひご相談ください。
相続のご相談は初回相談無料でお受けしておりますので、お気軽にご予約をお待ちしております。

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相続解決事例:土地国庫帰属制度を活用し、不要な土地を処分できた事例 https://law-komoda.jp/blog/240226/ Mon, 26 Feb 2024 08:29:33 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9893 相続した不要な土地を手放したい

プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響しない範囲で内容を変更して紹介しております。   1.はじめに ご家族が亡くなり、土地を相続したものの活用方法がなく、処分したいと悩まれている方は、実は少なくないです。 […]

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相続した不要な土地を手放したい

プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響しない範囲で内容を変更して紹介しております。

 

1.はじめに

ご家族が亡くなり、土地を相続したものの活用方法がなく、処分したいと悩まれている方は、実は少なくないです。

売却しようにもどのようにしたらいいのか分からない場合や、遠方に住んでいて利用する予定のない場合、きちんと管理するには時間的・経済的負担が大きいなどの理由で処分したいがどうすれば分からず、ずっと所有してしまっている方も多いのではないでしょうか。

また、土地を所有し続けることで毎年「固定資産税」を支払わなければなりません。
結果として土地を相続したことによって余計な支出が増えてしまうことにもなってしまいます。
そういった理由から、相続した土地を手放したいというときに、その土地を国に引き渡すことのできる、「相続土地国庫帰属制度」という制度があります。

この制度では、相続または遺贈によって宅地や田畑、森林などの土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができます。
弊所では「相続土地国庫帰属制度」の申請手続代行を行っております。

今回はこちらの制度を活用し、不要な土地を処分された方の解決事例を紹介いたします。

※「相続土地国庫帰属制度」に関する詳細については以下の弊所の特設サイトをご覧ください。
https://law-komoda.jp/tochi_kizoku/

2.ご相談事例

父から相続したが活用方法のない土地を処分したい
相談内容

父が1年前に亡くなりました。
その際に父が所有していた土地を相続しました。
かつては近隣に居住していた父がその土地にて畑作をしておりましたが、父が病気になり入院してからは畑作もやめ、活用することのない土地となっていました。

私は結婚し、遠方に住んでいるため、その土地を頻繁に訪れることも出来ないので、現在は数か月に1度訪問し、草取り等の手入れを行っていますが、時間と費用がかかるばかりで大変な為、できるだけ早く処分したいと考えています。

    土地の情報
  • 所在:香川県の住宅街(市街化区域・用途地域の指定なし)
  • 地目:畑
  • 面積:250㎡程度

3.弁護士の対応

①土地の情報をヒアリングし、申請書の作成

申請書には規定の画角からの現地写真や添付書類など必ず提出しなければいけない資料がいくつかあるため、ご相談者様に担当スタッフより詳しくご説明を行いながら資料のご提出をお願いし、申請書の作成を行います。

※現地写真の撮影を当事務所にて代行することも可能です(要交通費+日当)。

実際にご依頼者様からいただいたその土地の情報(写真や登記情報など)をもとに「相続土地国庫帰属制度」の申請要件に満たしている土地なのかを適宜管轄法務局に問い合わせを行うなどして確認し、申請書の作成を行いました。

②管轄法務局による事前相談

こちらの制度では申請時に、申請費用として土地1筆当たり14,000円の審査手数料を納めなければなりません。

しかし、申請後にその土地が「相続土地国庫帰属制度」の要件を満たしておらず、申請が却下されることとなっても審査手数料は返金されないため、注意が必要です。

そのような事態を極力避けるために、弊所では法務局にて行っている事前相談(対面相談or電話相談)にて作成した申請書の確認を受けた上で、申請を行うようにしております(ただし、この相談は、申請が認められることを担保するものではありません。)。

相続土地国庫帰属制度

③管轄法務局に申請

完成した申請書を管轄法務局へ提出します。
申請が受理されると、法務局からの問い合わせや進捗状況の報告などの連絡があるため、弊所が窓口となって対応し、ご相談者様に共有を行いながら審査結果を待ちます。
制度が開始して間もなく、実務上の運用がまだ固まってはいないため何ともいえませんが、審査にかかる期間は、半年から1年程度と想定されています。こちらのご依頼でも半年程度の時間を要しました。

④国庫帰属の承認、負担金の納付

審査の結果、国庫帰属の承認が決定しましたので、ご依頼者様にて負担金を納付いただきます。
負担金額はその土地の地目や面積、周辺地域の状況により異なりますが、今回のケースですと、20万円の負担金で承認という結果となりました。

納付が完了した時点で、土地の所有権が国へと移転し、すべてのお手続が完了となりました。

4.本件での成果

今回のご相談では、お父様から相続した不要な土地を処分されたいとのことでした。

弊所にて「相続土地国庫帰属制度」の申請代行でご依頼いただいたことで、不要な土地を処分することが出来ました。

ご依頼様としてもこれまでこちらの土地の手入れに要していた時間的負担、経済的負担からも解放され、今後も毎年数万円支払い続けることとなっていた固定資産税の支払いもなくなるため、大変満足して頂けました。

不要な不動産を抱え続けると、それが代々受け継がれることにより、次世代にも影響してしまうことが考えられます。こういった問題は、分かっていても動きだせず、時間ばかりが立ってしまいがちですので、問題意識を持ったのであればすぐ動き出すことをお勧めします。新しくできた制度をぜひ活用しましょう。

弁護士紹介

ご相談事例・解決事例の掲載について

事例回答はあくまでご参考となります。
実際にご自身のご相談で同じ結論になるかどうかは、個別の判断が必要となります。
当事務所の初回無料相談をご利用いただき、個別のご相談および弁護士からのアドバイスをお受けください。

※弁護士又は弁護士法人の場合、所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内において税理士業務を行っており、当事務所所属弁護士も通知届出を行っております。

 

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相続解決事例:遺産分割協議を代理し、無事解決に至った事例(預貯金の使い込み疑惑の証明) https://law-komoda.jp/blog/240221/ Wed, 21 Feb 2024 03:59:31 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9878

プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響しない範囲で内容を変更して紹介しております。   遺産分割協議とは ある方が亡くなって、相続人全員で財産分けをすることを「遺産分割協議」といいます。 この遺産分割協議では […]

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プライバシー保護のため、事例の趣旨に影響しない範囲で内容を変更して紹介しております。

 

遺産分割協議とは

ある方が亡くなって、相続人全員で財産分けをすることを「遺産分割協議」といいます。
この遺産分割協議では、各相続人の利害が対立するため、しばしば紛争となってしまいます。
今回は残念ながら紛争化してしまった遺産分割協議を弊所にて代理させて頂き、解決に至った事例をご紹介致します。

ご相談事例

妹に預貯金の使い込みを疑われています。
相談内容

ご家族構成は以下の通りです。

  • 依頼者:長女
  • 被相続人:お母様
  • 相続人:子2人(長女、次女)

お母様は数年前から認知症が進んでおり、お母様の近くに住む長女様がお母様の介護を行っていました。長女様はお母様の口座から毎月預金を引き出し、そこからお母様の介護のために必要な経費やお母様の生活費などを支払っていました。

お母様が半年前に亡くなり、長女様は自宅と預貯金を、次女様には預貯金を長女様よりも少し多めに相続することで話し合いを進めていましたが、急に次女様が弁護士を就け、「自宅も、預貯金も半分ずつ分ける。」「母親の預貯金も長女が使い込んでいる。使途を説明してほしい。」という趣旨の書面が送られてきました。

長女様としては、相続についての話し合いはまとまっていたと思っていたため、弁護士からの通知にどう対応したらいいか分からず、当事務所へ相談、ご依頼となりました。

弁護士の対応

①相続財産の調査
⑴預貯金の調査

まず、遺産分割協議では財産の調査からスタートします。今回も、お母様の預貯金口座の取引履歴、死亡時点の残高証明を取得するところから着手しました。

その上で、亡くなられた時点の遺産額を算定するとともに、生前、どれだけの預金があったのか確認するため、長女様が引き出した金額と実際にお母様のために使った費用(領収書等で)を突き合わせました。具体的には、例えば12月に20万円引き出しがあって、領収書の合計も20万円であれば、使い込みはしていないこと、何にお金を使ったのか証明することができます。

また、定期預金等を解約していても、お母様名義の通帳にその分の金額が入金されているのであれば、長女様が定期預金を受け取っていないことが証明できます。
預貯金の使い込み

⑵生命保険、自宅の評価等の調査

生命保険の有無、生命保険の受取人は誰なのかについては、各保険会社又は生命保険協会への調査で調べられます。今回も念のため調査を実施しました。

⑶自宅(土地・建物)について

土地・建物については、不動産会社の簡易査定を取る事で、ある程度大まかに相続財産を調べることができます。自宅の評価は固定資産評価額で基準も分かりますが、遺産分割で評価が争いになった場合は、比較的低額な固定資産評価ではなく、市場評価が用いられる場合が多いです。

②調査結果の財産・出金されたお金の使途の整理

調査結果を遺産目録という形で一覧表にし、かつ、引き出したお金と長女様がつけていた家計簿、領収書等を付け合わせし、一覧に纏めました。その結果、長女様が使い込みをしていないことが一目で分かるようになりました。

③相手方と交渉

調査結果をもとに情報を整理し、相手方と交渉しました。

本件での成果

不動産の査定を取得したところ、長女様が思っていたよりも自宅の評価額が高いことが判明しました。

そのため、次女様に対しては、長女は母親のお金を使い込んでいないことを証明し、自宅が思っていたよりも高く売れそうであることから、自宅を売買し、売却代金を長女と次女で2分の1ずつ取得、預貯金については今まで介護を長女がしていたこと、長女のお金で母親の生活費の一部を出していたこともあったことから、全て長女が取得する形で遺産分割の交渉を進め、最終的に次女もそれに同意したため、その内容で纏めることができ、遺産分割協議書を作成しました。

また、当初自宅は売れないだろうと思っていましたが、ご自身達が思っていたより高値で売れ、将来の固定資産税を支払わなくて済んだことで、長女様も次女様も満足する結果となりました。

遺産分割協議では、協議を続けるうち、何が正解かわからなくなり、泥沼化していくケースが多いです。紛争になった場合でも、早期解決においては、譲るべきところと譲る必要のないところなど、勘所が重要になってきます。交通整理を行いながら進めていくことが重要です。

弁護士紹介

ご相談事例・解決事例の掲載について

事例回答はあくまでご参考となります。
実際にご自身のご相談で同じ結論になるかどうかは、個別の判断が必要となります。
当事務所の初回無料相談をご利用いただき、個別のご相談および弁護士からのアドバイスをお受けください。

※弁護士又は弁護士法人の場合、所属弁護士会を経て国税局長に通知することで、その国税局の管轄区域内において税理士業務を行っており、当事務所所属弁護士も通知届出を行っております。

動画でわかりやすく解説!

KOMODA LAW OFFICEが運営している相続LOUNGEの相続セミナーの動画です。

こんなお悩みありませんか?

生前に財産の増加や維持に貢献した

生前に財産の増加や
維持に貢献した

相続の話し合いで揉めている

相続の話し合いで
揉めている

生前に被相続人から遺贈や生前贈与を受けた人がいる

生前に被相続人から遺贈や
生前贈与を受けた人がいる

 

KOMODA LAW OFFICE(菰田総合法律事務所)

2013年に開業した、弁護士、司法書士、税理士が在籍する総合法律事務所です。
年間680件以上の相続相談実績があり、相続関連業務の弁護士(代理人)業務だけではなく、相続手続きから相続登記、相続税申告まで全てをワンストップで解決できる相続特化の法律事務所として、福岡県内だけでなく、県外からのご相談者様も多数いらっしゃいます。

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特別寄与料は相続人の誰がどこまで負担すべき?財産全部を相続させる遺言と特別寄与料の負担について https://law-komoda.jp/blog/240205/ https://law-komoda.jp/blog/240205/#respond Mon, 05 Feb 2024 10:00:04 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9846 ・法定相続人ではないXが「特別の寄与」 ・A ,「Bに全財産を相続させる」旨の遺言 ・Y → B 遺留分侵害額請求 ・特別寄与料を支払うべき場合は,相続人が法定相続分又は指定相続分に応じて負担(1050条5項)

今回は、新しく始まった特別寄与料という制度と、財産全部を特定の相続人に相続させる遺言がなされた場合の特別寄与料の負担について、判例をもとに解説します。 1.特別寄与料とは? まず、前提知識として「特別寄与料」というのは何 […]

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・法定相続人ではないXが「特別の寄与」 ・A ,「Bに全財産を相続させる」旨の遺言 ・Y → B 遺留分侵害額請求 ・特別寄与料を支払うべき場合は,相続人が法定相続分又は指定相続分に応じて負担(1050条5項)


今回は、新しく始まった特別寄与料という制度と、財産全部を特定の相続人に相続させる遺言がなされた場合の特別寄与料の負担について、判例をもとに解説します。

1.特別寄与料とは?

まず、前提知識として「特別寄与料」というのは何かというと、平成30年改正、令和元年施行の民法改正により創設された新制度であり、相続人ではない親族が、被相続人の療養看護を行ったり、あるいは家事労働に従事をしたりという場合に、相続人に対し一定の金銭の支払を請求することができるというものです。

元々、「寄与分」という似た名称の制度はありました。

こちらは相続人に限って適用される制度で相続人の中で被相続人の財産の増加、あるいは減少の防止に寄与した者がいた場合には、その寄与の分を相続財産から差し引き、その特定の相続人の相続分を増加させるというものです。
久富弁護士これに対し、今回紹介する「特別の寄与」あるいは「特別寄与料」と呼ばれる新しい制度は、例えば夫の両親を献身的に介護した妻や、本来の相続人に代わって被相続人の面倒を見てきた兄弟、甥、いとこ等、相続人という資格がなくても一定の金銭の支払いを受けられる可能性があるという点で画期的な制度になっています。

では、実際に「特別の寄与」をした者が金銭支払いを求めることができるとされた場合に、誰がその寄与料の負担をするのかという問題が残ります。

この点については、基本的には相続人が共同してその支払いをすることになり、相続人が複数いる場合には民法1050条5項で法定相続分又は指定相続分によって負担割合を決めるということになっています。

ここで問題となるのは、遺産分割が法定相続分どおりではなく、それを修正する要素としての遺言があったというような場合に、特別の寄与料の負担はどうなるのかという点です。

先ほどの条文によれば、法定相続分だけではなく、遺言によって相続分の割合が何割か、例えば2分の1、3分の1、あるいは0というように指定をされた場合には、特別寄与料についても同様の割合によって負担すべき額を決定するという仕組みになっています。

そうすると、遺言によって一切財産を貰わない、受け取れないと指定された相続人は、特別の寄与をした者がいた場合にも、その負担はないことになりそうです。では、遺言で財産を全くもらえなかった相続人が、「遺留分侵害額請求」を行って一定の財産を確保したという場合にも、特別寄与料の負担は一切発生しないということでよいのでしょうか?この点が条文上明らかでないため問題になっていました。

2.問題となった事案​

具体的にその点が問題になった判決事案をご紹介しましょう。

・法定相続人ではないXが「特別の寄与」 ・A ,「Bに全財産を相続させる」旨の遺言 ・Y → B 遺留分侵害額請求 ・特別寄与料を支払うべき場合は,相続人が法定相続分又は指定相続分に応じて負担(1050条5項)

この事案は、Aさんが令和2年6月に亡くなり、生前に法定相続人Y、B二人のうちのBのみに全財産を相続させるという遺言を残していたため、Yが取得すべき相続分は無しと言う形になっていたという事案において、法定相続人ではない親族Xが特別の寄与をしていたというものです。これによって、Xは相続人に寄与料の支払を請求できるとすると、相続人のうちBのみが特別寄与料の全額を負担すべきなのか、あるいはYも一定割合を負担しなければならないのかという点が問題となります。

この事案では、Yは遺言どおり財産は一切貰わないということには納得せず、全財産を相続することになったBに対して遺留分の侵害額請求を行っています。これによってYはBから一定の金銭を受け取る権利を有することになるわけですが、その分、Yも特別寄与料を負担しなければならないのではないか?という疑問が生じます。

上記のとおり、1050条5項で、特別寄与料を支払わなければならない場合は、相続人が法定相続分、または指定相続分に応じて負担を行うということになっているため、上記の事案では、形式上は指定相続分がゼロのYについては特別寄与料の負担はないように見えますが、実質的には遺留分侵害額請求をしたことによって一定の財産を得ていることになります。

では、Yは特別寄与料を負担しなくてよいのでしょうか。

3.財産全部を相続させる遺言の性質

最高裁の判決の前に、上記事案で登場したような財産全部をある相続人に相続させるという遺言がどういう意味合いを持つのか、ということについても簡単に説明をしておきます。

全財産をBに相続させるというような遺言は、遺産を複数の臓側人で分けるのではなく、特定の相続人のみに財産全部を与えるという意味で、遺産分割方法を指定するものであると解釈されています。

同時に、土地、建物、預貯金などと具体的な財産に限定することなく、遺産の100%を特定の相続人Bに相続させるということでBの相続分を100%と指定し、もう一人の相続人であるYの相続分は0%と指定するという意味合いにも取れますので、相続分指定の趣旨を含む遺産分割方法の指定だというように法律上は解釈されています。

そのため、財産全部を相続させる遺言があったということは、相続分の指定がなされたということになりますので、民法1050条の5項に言う相続分指定があったということになります。そのため、当該指定に従ってその相続分に応じた寄与料の負担をしなければならないことから、Bが寄与料を100%負担し、Yは全く負担しないという形になるのですが、このことと、遺留分侵害額請求によってYが財産を取得したこととの関係が問題となります。

4.判決の要旨

では、上記の問題を最高裁はどのように判断したのか、結論から述べると、民法の原則どおりの処理をする、すなわち、遺留分侵害額請求を行使したことによって、特別寄与料の負担割合が変動するわけではないと判断されました。

実際の判決文を見てみましょう。
判決文:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/453/092453_hanrei.pdf
(外部サイト『裁判所ウェブサイト』へ移動します。)

この事案は、特別寄与料を求めたい親族Xが、遺産をもらえなかった相続人Yに請求できる寄与料の額を決めてもらうために審判を申し立てたものですが、最高裁は以下のように述べています。

民法1050条5項は相続人が数人ある場合における各相続人への特別給与料の負担割合について、相続人間の公平に配慮しつつ、特別寄与料をめぐる紛争の複雑化、長期化を防止する観点から、相続人の構成、遺言の有無及びその内容により定まる明確な基準である法定相続分等によることとしたものと解される。このような同項の趣旨に照らせば、遺留分侵害額請求権の行使という同項が規定しない事情によって、上記負担割合が法定相続分等から修正されるものではないというべきである

ここでいう「法定相続分等」には、遺言で指定された相続分の割合も含みますので、遺留分侵害額請求という1050条に書かれていない事情は考慮せず、1050条の条文が優先され、遺言により相続分がないものと指定された相続人は遺留分侵害額請求権を行使したとしても、特別寄与料を負担しないと解釈するのが相当であると判断されています。

5.本判決の意義​

遺言によって法定相続分の割合が変えられた(相続分の指定があった)場合には、民法1050条により、それに従って特別寄与料の負担割合が決定しますが、遺留分侵害額請求権が行使されるなどして実際に各相続人が取得した財産が必ずしも遺言と一致しない場合にも同条のとおりに特別寄与料の負担割合を決めてよいのか?という点について、条文どおりに処理をするという明確な判断を示した点に今回の最高裁判決の意義があるといえます。

上記の点はこれまで必ずしも明確ではありませんでしたが、今後の実務上は本判決の趣旨に沿った対応が求められるでしょう。

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執筆弁護士紹介 久富達也

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医療法人の持分とは?持分がある場合の相続の問題について https://law-komoda.jp/blog/240122/ Tue, 23 Jan 2024 02:09:35 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9825 病院

相続が発生した際に、お亡くなりになられた方が医療法人の持分をお持ちの場合、どのような問題が起こり得るのでしょうか? 医療法人を運営されるうえで、気にしておきたい点を弁護士が解説します。 1. 医療法人の持分とは何か? 医 […]

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病院


相続が発生した際に、お亡くなりになられた方が医療法人の持分をお持ちの場合、どのような問題が起こり得るのでしょうか?
医療法人を運営されるうえで、気にしておきたい点を弁護士が解説します。

1. 医療法人の持分とは何か?

医療法人の持分というものは、出資持分とも呼ばれ、とある医療法人に対して現金だったり、不動産だったり、何かしらの財産的価値があるものを出資した人が有する権利のことを指します。
株式会社の場合であれば、資本金を入れて、そのお金から事業立ち上げにかかる費用を出していくというのと同じように、医療法人の場合もクリニックを運営する上で治療に必要な機材を買ったり、場所を借りたり、人を雇ったりと初期費用が必要なので、医療法人を立ち上げる際にはみんなで財産を出し合いましょう、その際に財産を出した人は医療法人に対して出資持分を取得し、最終的に財産の分配を受けられる形にしましょうという制度です。

この権利があると、医療法人が解散した場合など一定の場合に限り、自分が出した財産の割合に対して払い戻しを請求できます。

2.医療法人の持分の有無はどうやって判断するのか

さて、医療法人に持分があるかどうかという点をどこで確認するかという所ですが、大きく分けて以下の2つの方法で把握することができます。

①医療法人の定款の記載
②医療法人の設立時期
①医療法人の定款の記載

まず、一つ目の方法としては、医療法人の定款を確認することです。
これが持分のあり・なしを確認する一番確実な方法となります。
定款とは、法人の基本的なルール、運営の仕方、社員の権利や資格など、法人に係る様々な決まりごとが記されていますが、その中に出資持分の払戻しに関する記載がある場合は、持分ありの医療法人ということになります。

具体的にどのような形で記載がされているかの例をあげると、「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。」「本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。」というような記載がある場合です。

②医療法人の設立時期

定款が手元にない、あるいは見ることができないなどの事情がある場合は、もう1つの確認方法として「医療法人の設立時期」が平成19年4月より前か後かというところから推測することができます。
というのも、平成19年に医療法が改正され、平成19年4月以降は持分あり医療法人というものを新しく作ることができなくなったため、平成19年4月以降に作られた医療法人については全て持分なし医療法人というように考えていただいて大丈夫です。

病院

3.医療法人の相続の際の取扱いと問題点

①持分あり医療法人の場合

医療法人の持分というのは、財産的価値のある権利のため、持分を持っている方が亡くなられた場合は、その権利を相続人が相続することになります。
ここで、問題になってくるのが相続税の部分です。
医療法人の定款に、出資した金額を限度として払い戻しができるというような上限の記載が書いてある場合はそこが限度になりますが、「出資した割合に応じて」「出資持分に応じて」といったような定め方をされている場合は、払い戻し請求をする時点での医療法人の価値に対する権利の割合で相続財産の評価をしていくことになります。

その場合、設立時に出資した金額の10倍、100倍といった金額を相続したものとして相続税が計算され、非常に高額な相続税を支払わなければならなくなった結果、医療法人自体を解散させなければならなくなってしまい、病院自体を運営できなくなってしまうということもあります。
そのような問題が現実的に起こり得る状況だったことからも、医療法人の経営が安定しないという理由で今後は持分なしの医療法人しか作れないという法改正がされたという背景もあります。

②持分なし医療法人の場合

持分なしの医療法人の場合、残った財産は国庫に帰属されます。
そのため、出資した方には払い戻しがされません。

なにも貰えないなら持分ありの方がいいじゃないかと逆に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほどお伝えした通り、持分が相続財産の対象になると相続税が高額になりすぎて、結局医療法人が解散せざるを得ないという問題が出てきてしまいます。
その点、持分なしの場合は医療法人をそのまま運営し続けられるというメリットがあります。

持分ありの医療法人を持分なしに変更する手続や移行する制度もありますので、持分ありの医療法人を運営されておられる方は、今後の相続の事を考慮した対策を今のうちから実施しておかれるのもいいかもしれません。

まとめ

今回は、医療法人の持分について、その概要と持分の有無の確認方法、そして持分がある場合の相続に関連する問題についてお話しました。
医療法人の経営においては、相続の部分も考慮することも大事になりますので、福岡で医療法人の経営、相続についてのお悩みがある方は、まずは一度ご相談ください。

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当事務所の遺産分割のご依頼の流れ ~預貯金の不正出金などがある~ https://law-komoda.jp/blog/240112-2/ Fri, 12 Jan 2024 07:59:43 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9797 國丸弁護士の相談風景

今回は、前回に引き続き、遺産分割のご依頼の基本的な進め方について簡潔にまとめさせていただきます。 前回の記事はこちらから:当事務所の遺産分割のご依頼の流れ ~基本~ 1.預貯金・有価証券からの不正出金・生命保険の不正解約 […]

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國丸弁護士の相談風景

今回は、前回に引き続き、遺産分割のご依頼の基本的な進め方について簡潔にまとめさせていただきます。
前回の記事はこちらから:当事務所の遺産分割のご依頼の流れ ~基本~

1.預貯金・有価証券からの不正出金・生命保険の不正解約等があった場合

当事務所でも他の相続人による預貯金の使い込み等で、ご相談に来られることがとても多いです。
預貯金・有価証券からの不正出金・生命保険の不正解約等があった場合は以下の3つの照会を行います。
(1)各種財産の取引履歴や解約記録の照会
(2)解約時書類の照会
(3)生前の状況を示す資料の照会
  ①診療録(カルテ)、看護記録等の医療機関の記録
  →医療機関で照会します。
  ②施設記録、訪問記録
  →施設で照会します。
  ③介護認定の調査時の資料
  →自治体、ケアマネの所属組織等で照会します。
國丸弁護士の相談風景

2.手続き

(1)遺言書の効力自体を争う場合
  遺言無効(有効)確認訴訟を行います。
(2)遺産分割が必要な場合
  ①遺産分割協議(裁判外の話合い、家裁)-終わり方:遺産分割協議書
  ②遺産分割調停(裁判所での話合い、家裁)-終わり方:遺産分割調停(調書

  ③遺産分割審判(裁判官が決める手続、家裁)-終わり方:遺産分割審判
(3)遺言書がある場合(又は生前贈与)で、遺留分が侵害されている場合
  ①遺留分侵害額請求協議(裁判外の話合い、家裁)-終わり方:合意書等
  ②遺留分侵害額請求調停(裁判所での話合い、家裁)-終わり方:遺留分侵害額請求調停(調書)
  ③遺留分侵害額請求訴訟(裁判官が決める手続、地裁)-終わり方:判決
⑷不正出金を争う場合
  ①不当利得返還請求協議-ほとんどの場合、(1)(2)の①②の中で話をすることになります。
  ②不当利得返還請求訴訟

3.分割の種類

(1)現物分割(例:200万円の現金を100万円ずつで分ける)
  ※不動産など分割が困難な場合には向きません。
(2)代償分割(例:相続人Aが2000万円の評価の不動産を取得し、相続人Bに対して1000万円を支払う)
  ※資力が重要です。
(3)換価分割(例:2000万円の評価の不動産を売却して、相続人AとBとで1000万円ずつ分ける)
  ※売れない、売りにくい不動産には向かないです。
(4)共有分割(例:不動産を2分の1ずつの共有持分で、相続人AとBとで共有する)
  ※潜在的紛争の積み残しになるため、推奨されないです。

4.まとめ

今回は、遺産分割のご依頼の進め方について、概要をまとめました。
今回の内容だけではご依頼者それぞれの状況の理解を深めることは難しいかもしれませんが、今回の内容を軸に、更に個別のトピックについても考えながら、ご依頼を進めております。
ご依頼の全体像を俯瞰しながら検討し、体系的な理解を進めていき、ご依頼者様に寄り添った解決に努めています。

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当事務所の遺産分割のご依頼の流れ ~基本~ https://law-komoda.jp/blog/240112/ Fri, 12 Jan 2024 06:44:11 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9776

今回は、遺産分割のご依頼があった際に、基本的な進め方について簡単に説明します。 遺言書の種類や有無・財産状況・相続人などの状況が違うと遺産分割の方法も変わってきます。 1.遺言書の有無 (1)遺言書がある場合 遺言書が全 […]

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今回は、遺産分割のご依頼があった際に、基本的な進め方について簡単に説明します。
遺言書の種類や有無・財産状況・相続人などの状況が違うと遺産分割の方法も変わってきます。

1.遺言書の有無

(1)遺言書がある場合

遺言書が全遺産を網羅していれば遺言書によって相続手続が可能です。
※網羅していない場合には漏れている部分について遺産分割協議が必要です。
※遺言執行者が選任されていない場合には相続手続に滞りが出ることもあります。
※時効(1年)に注意が必要です。

(2)遺言書がない場合

遺産分割協議が必要です。

2.遺産の範囲の確定と遺産の評価

(1)相続人の構成の確認

法定相続人が誰かを確定します。
絶対に必要なのは、被相続人の出生から死亡までの全戸籍です。
必要に応じて必要な戸籍が変わることがあります。

(2)財産調査

ア.財産の範囲を調べる

(ア)不動産

①名寄帳(固定資産課税台帳)の入手
市町村単位で入手可能です。
※固定資産税が非課税の物件は記載されません。
②登記簿の取得
※登記を網羅したものはないので注意が必要です。

(イ)預貯金

①各銀行に一括照会をかける
※JAなど、全国の全支店を調べられないものもありますので注意が必要です。
全銀行の一括照会の制度は現時点では存在しないため、銀行にあたりを付け調査する必要があります。

(ウ)有価証券

①各証券会社に一括照会をかける
②証券保管振替機構への照会

(エ)生命保険

①各保険会社に一括照会をかける
②一般社団法人生命保険協会への照会
※死亡保険金は原則遺産の範囲に含まれないが、受取人が被相続人の保険や、被相続人より先に受取人が死亡している場合の死亡保険金には相続財産になるので注意が必要です。

國丸弁護士相談風景

イ.財産の評価をを調べる

(ア)不動産

①固定資産評価証明書
※時価の5~7割の相場です。
②路線価・倍率評価(相続税評価額)
路線価については補正等を考慮する場合は複雑な処理が必要です。
※時価の7~8割の相場です。
③不動産業者による簡易査定
④不動産鑑定士による鑑定評価
※いずれの場合も原則現時点評価とされています。

(イ)預貯金

死亡時の残高がそのまま評価されます。

(ウ)有価証券

・上場株式
遺産分割協議成立時又はその直前の株価が原則です。
・非上場株式
各社の財務諸表から計算されます。
※税務上の評価や鑑定評価に依らざるを得ない場合が多いです。

(エ)生命保険

※受取人が指定されている死亡保険金を除く(具体的には、受取人が被相続人の保険や、被相続人より先に受取人が死亡している場合の死亡保険金等)
死亡日時点の解約返戻金の金額(相続財産となる生命保険金の金額は、通常、死亡日時点の解約返戻金(解約したらいくら戻りがあるか)で評価する)

3.まとめ

次回は不正出金が疑われる場合の対応や、具体的な相続案件での手続き等についてご説明させていただきます。

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相続税の基礎控除の計算の仕方と”法定相続人”の数え方で気を付けるべきポイント https://law-komoda.jp/blog/231211/ Mon, 11 Dec 2023 07:12:47 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9745 被相続人から見て子2人が相続人となるが、そのうち1人の子が既に亡くなっていて、亡くなった子に子供が2人いた場合(被相続人から見ると孫)、孫が代襲相続人として相続人になる

相続税における基礎控除額を計算する際には、法定相続人を何人と数えるのかという点がポイントです。代襲相続、養子縁組、遺言書がある場合と、それぞれの場合で法定相続人の数え方にどう影響があるのかをご説明します。 1. 相続税の […]

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被相続人から見て子2人が相続人となるが、そのうち1人の子が既に亡くなっていて、亡くなった子に子供が2人いた場合(被相続人から見ると孫)、孫が代襲相続人として相続人になる


相続税における基礎控除額を計算する際には、法定相続人を何人と数えるのかという点がポイントです。代襲相続、養子縁組、遺言書がある場合と、それぞれの場合で法定相続人の数え方にどう影響があるのかをご説明します。

1. 相続税の基礎控除の考え方と計算方法

相続税は、亡くなった方の財産を相続する際に課される税金ですが、すべての人に課税されるというわけではなく、相続財産が一定の基準額を超えない場合は、相続税の支払いは免除されます。
この基準額を基礎控除と呼び、その計算方法は法定相続人の人数に応じて異なります。

※法定相続人とは?・・民法上定められた被相続人の財産を法的に受け取る権利がある人のことです。

基礎控除の基本額は3,000万円で、これに加えて法定相続人1人当たり600万円が控除額に追加されます。

例えば、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は次のようになりますので、相続財産が4,200万円までであれば、その金額までは相続税がかからないということになります。

基礎控除額=3,000万円+600万円×2人=4,200万円

法定相続人が3人、4人と増えていくと、控除額の加算も増えていくことになりますが、相続の状況に応じて、法定相続人の数え方に注意が必要なケースがありますので、順番にお話をさせていただきます。

2.代襲相続の場合の法定相続人の考え方

相続が発生した時点で、相続人の中ですでに亡くなっている人がいる場合は、その亡くなった相続人の相続人となる人が代わりに相続をします。
これを代襲相続といい、法定相続人としては、この代襲相続人の人数がカウントされます。

例えば、被相続人から見て子2人が相続人となるが、そのうち1人の子が既に亡くなっていて、亡くなった子に子供が2人いた場合(被相続人から見ると孫)、孫が代襲相続人として相続人になるため、この場合は、

  • 存命の子1人
  • 代襲相続の孫2人

の合計3人が法定相続人となります。
被相続人から見て子2人が相続人となるが、そのうち1人の子が既に亡くなっていて、亡くなった子に子供が2人いた場合(被相続人から見ると孫)、孫が代襲相続人として相続人になる

ご本人にお子様が何人いらっしゃったかということではなくて、あくまで、亡くなった時点で相続人となる人は何人いるのか?というところで、法定相続人の人数が決まるということになります。

3.養子縁組をされている場合の法定相続人の考え方

亡くなられた方が養子縁組をされておられた場合、養子縁組を行うことで子として法的な関係を結ぶことになるので、養子も相続人になるのですが、法定相続人として含められる人数は以下のような決まりがあります。

亡くなられた方に実の子がいない場合:法定相続人となる養子は2人まで
亡くなられた方に実の子がいる場合:法定相続人となる養子は1人のみ

仮に4人、5人と養子縁組をされておられた場合でも、法定相続人として数えてよい人数は上記の人数までとなりますので、注意が必要です。

4.遺言書で特定の相続人に全財産を渡すとなっている場合の法定相続人の考え方

遺言書で特定の相続人へ財産を相続させると定めていた場合でも、遺言書に記載された相続人のみが法定相続人となるわけではなく、民法で決められた法定相続人をすべて数えることになります。

そのため、例えば、相続人として子2人がいる場合で、一方の子に全財産を譲渡するという遺言書があったとしても、もう一方の子も相続人であることには変わりがないため、この場合は2人とも法定相続人としてカウントする必要があります。
あくまで、相続税の基礎控除を計算するときは、民法上の法定相続人の人数で計算をすることになりますので注意が必要です。

まとめ

相続税の基礎控除の基本的な部分と法定相続人の考え方についてご説明しました。

ご自身が相続税申告の対象になるかどうかを含め、相続税に関する具体的なご相談や申告手続については、当事務所の弁護士・税理士がご対応いたしますので、福岡で相続税についてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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共同相続した不動産を時効取得することはできる?弁護士が解説 https://law-komoda.jp/blog/231130/ https://law-komoda.jp/blog/231130/#respond Thu, 30 Nov 2023 06:56:36 +0000 https://law-komoda.jp/?p=9708 山の上の家

ある物を10年又は20年占有し続けた場合には、それが元々は他人の物であったとしても、一定の要件の下、「取得時効」の制度を利用してその物の所有権を取得することができます。 では、亡き父母から実家の不動産を兄弟とともに共同相 […]

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山の上の家

ある物を10年又は20年占有し続けた場合には、それが元々は他人の物であったとしても、一定の要件の下、「取得時効」の制度を利用してその物の所有権を取得することができます。

では、亡き父母から実家の不動産を兄弟とともに共同相続した後、長年占有し続ければ、その不動産を時効によって取得することができるのかというと、必ずしもそうとはいえません。
それは、取得時効の要件の1つである「所有の意思」をもって占有を継続したといえるかどうかが問題となるからです。

今回は、共同相続の場面で取得時効を主張する余地がどの程度あるのか概観します。

1.遺産分割協議等との対比

本来、他の相続人と共同相続した遺産を自分一人の物とするには、他の相続人全員との間で遺産分割協議が成立することが必要となります(遺言がある場合を除く。)。
他の相続人と不仲であったり疎遠であったりして話合いが付かず、遺産分割協議が成立しない場合であっても、調停・審判手続によって分割を求めることが通常のやり方です。

しかし、ある遺産を長年占有し続けていれば、取得時効を主張することも考えられます。
しかも、遺産分割協議・調停・審判では、相続人の1人が特定の遺産を取得しようとすると、多くの場合、代わりに他の遺産の権利を譲るか、一定の金銭(代償金)を支払うことが必要となるのに対し、取得時効が成立すれば、対象財産は占有開始時からその相続人が取得していたこととなり、対価を支払う必要はないため、取得時効の主張ができるのであれば、大いにメリットがあります。

2.取得時効の要件

ここで、取得時効の成立要件を概説します。

取得時効が成立するには、①20年間、②所有の意思をもって、③平穏に、かつ④公然と、他人の物を⑤占有することが必要となります。
占有継続期間が①’10年間であれば、上記に加えて、占有の開始時に⑥善意(≒他人の所有物であることを知らなかったこと)で、⑦無過失(≒他人の所有物であることを知らなかったことについて過失が無かったこと)も要求されます。

(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

3.所有の意思ある占有

(1)上記2の各要件のうち、問題となるのは②所有の意思です。

「占有」とは、物を所持すること、事実上支配することをいい、ポケットに入れた財布や自宅に置いている家電製品は、持ち主がこれらを占有しているといえます。
また、占有の対象は必ずしも自分の所有物でなくとも良いです。
所有者不明の落とし物の財布をポケットに入れていた場合も同様に占有した状態といえますし、賃貸物件の場合は、賃借人は借り物として家屋を占有し、賃貸人は賃借人の占有を通じて自身も家屋を事実上支配して管理下に置いているといえるので、その家屋を占有していることになります(すなわち、占有という事実状態と所有権という法的権利とは無関係なのです。)。

このように、占有には2種類あり、自分の所有物(所有権を有する物)と認識して物を所持している場合と、自分の所有物ではないが自分の管理下に置いて所持している場合とに分かれます。
前者は所有の意思のある占有(自主占有)、後者は所有の意思のない占有(他主占有)です。
所有権を時効によって取得するには、前者の所有の意思ある占有を継続することが必要となります。

山の上の家

(2)もっとも、所有の「意思」とはいっても、その有無は占有者の内心の意思によって定まるのではなく、「占有取得の原因たる事実によって外形的、客観的に定められるべきもの」(最判昭和45年6月18日判時600・83)とされ、他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情があるときは、占有者の内心の意思を問わず、所有の意思は否定されます(最判昭和58年3月24日民集37・2・131。お綱の譲渡し事件最高裁判決)。

例えば、土地・建物を買い受けて居住を開始し、その後固定資産税等の支払も行っていれば、売買を原因としていることからも、通常所有者以外が支払うことはない固定資産税等を支払っているという事情からも、占有者は所有の意思をもって占有をしているものということができます。
他方、賃貸借契約を締結して借り受けた建物に居住し、賃料を支払っている場合は、賃貸借という行為からも、賃料を支払っているという事情からも、所有の意思は否定されます。

4.相続後の占有と所有の意思

共同相続人の一人が長年にわたって遺産である不動産に居住し続けてきたとして、取得時効が成立するには、その居住等による占有が所有の意思のあるものでなければならないです。

しかし、遺言が無い限り、分割される前の遺産は共同相続人全員が共有することとなり、そのうちの一人が当然に遺産である不動産全部の所有権を単独で取得することは無いです。
そうすると、共同相続人の一人は、被相続人の死後、遺産である不動産に居住して占有を開始しても、自己の共有持分に相当する部分を除いては、通常、他の共同相続人らから借りて占有しているに過ぎないことになるから、外形的客観的に見て、その占有は、性質上、所有の意思のない占有といわざるを得ないです ※1。

※1 なお、共同相続人の一人が遺産である不動産全部を占有し続け、他の相続人の権利を否定したような場合には、他の相続人は「相続回復請求」として目的物の引渡しその他相続権侵害の排除を求めることができるところ、自身が単独で相続権を有すると信ずるべき合理的な事由なしに単独で相続人と称しているような者は、当該請求の消滅時効(民法884条)を援用することはできないとされています(最大判昭和53年12月20日民集32・9・1674)。

また、共同相続人の一人が被相続人の生前から遺産である不動産に居住していた場合には、相続人は被相続人から当該不動産を借りていたことになり、相続が発生したからといって占有の性質が当然に変わることはないです(民法185条参照)。
なお、これらの結論は、固定資産税等を支払って来たという一事情のみで覆すことは困難と考えられます。
以上からすると、取得時効が成立するのは、占有者である相続人が相当な根拠をもって以下のように信じたというような例外的な場合に限られることとなるでしょう。

  • 自分以外には相続人はいない。
  • 自分以外の共同相続人全員が相続放棄したか、自分に相続分を譲渡した。
  • 自分が遺産である不動産全部を単独で取得するという内容の遺産分割協議が成立した。
  • 自分が遺産である不動産全部を単独で取得するという内容の遺言が有効に存在していた。

例えば、上記の内容の遺産分割協議書が成立後、単独で取得した相続人が遺産である不動産に居住を開始したが、その協議書の一部は第三者によって偽造されていたことが後から判明したような場合には、当該相続人は、遺産分割協議を根拠として所有の意思をもって占有を始めたものといえますから(民法185条参照)、取得時効成立の余地が生じます。

5.まとめ

これまで述べてきたように、共同相続した不動産を長年占有したとしても、取得時効が成立する場面は非常に限られます。※2

※2 もっとも、賃借権、使用借権等、借りる権利を時効によって取得することはあり得ることでしょう。

したがって、長年当該不動産の占有を継続した共同相続人としては、所有の意思をもって占有したことの具体的根拠を提示することができれば他の相続人に対して取得時効を主張し得るが、それが難しければ、一定の代償金支払等は覚悟して、正攻法として遺産分割協議を求めていくべきこととなるでしょう。

 

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