相続手続き

相続に関する法律と税金⑤名義預金とは?

2021.05.03

お子さんが産まれた記念にお子さん名義の口座を作り、少しずつお金を貯めていき、門出の際にお祝いとして、こつこと貯めていた通帳を渡すという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このような場合、口座をもらったお子さんは、口座の名義人ではあるものの、キャッシュカードや通帳について所持しておらず、その存在すら認識していない状況です。

他方、口座を開設して、こつこつお金を貯めていた親御さんは、通帳もキャッシュカードも所持、管理をしており、形式的には他人(お子さん)名義の口座ですが、実質的には、親御さん名義の口座であるという状況にあります。

このように、実態と名義にズレが生じている財産のことを名義財産といい、実態と名義のズレが生じている預金を名義預金といいます。

この名義預金は、相続の場面では、非常に重要な問題となってきます。
特に、相続税に関する税務調査では、名義預金と判断され、追徴課税として予期せぬ支払が発生することがあります。

そこで、今回は、名義預金について、どういった場合に、名義預金と判断されてしまうのかという点を中心に、弁護士及び税理士の立場からご説明させていただきます。

1.名義預金と相続税について

被相続人が、親族名義の口座作り、死亡している場合、多くの方が、名義は、被相続人名義ではないため、相続財産ではないと考えると思います。
そして、相続税申告の際に税理士に、親族名義の口座があることを伝えない場合には、親族名義の預金が反映されていない状態で相続税の申告がなされることになります。

その状態で、税務調査が入り、親族名義の預金が名義預金と判断された場合には、その口座は実施的には、被相続人名義の口座であると判断されるため、名義預金の口座も相続財産であると判断されます。

したがって、本来申告すべき相続財産について申告をしていないということで、追徴課税を支払うよう求められることになってしまいます。

おそらく、親族名義の口座を作られているということは、相続税についても少なくしたいという気持ちでされているという方は少なくないと思うのですが、名義預金と判断されてしまうと、残されたご親族に余計な迷惑を書けてしまうことになります。

2.名義預金に該当するかの判断基準

では、どういった場合に名義預金と判断されるのでしょうか。
具体的には、以下のような事情を総合的に考慮して名義預金に該当するか否かが判断されることになります。

上記判要素の中で、特に「②財産の管理及び運用の状況」がどういったものであったかという点については、非常に重要な考慮要素となります。

具体的には、預金通帳やキャッシュカードを名義人(親族)が保管しており、自由に財産を処分できるかどうかが問題となり、名義人が自由に管理できる状況であれば名義預金とは認定されず、被相続人が印鑑、キャッシュカード、通帳を全て管理しているような場合には、名義預金と判断されてしまいます。

3.名義預金と判断されないためには

では、名義預金と判断されないためにはどのように対策をすればいいのでしょうか。
まず、親族との間で贈与契約書を作成することが必要です。これにより、親族が口座の存在を知っているということが形に残すことが可能になります。

また、実際に、口座の預金を親族が使用しているという事実をきちんと残すために、親族の生活費や、学費、教育費については都度都度、その口座から支出するということも大事でしょう。

また、あえて、年間110万円以上口座に入金し、贈与税の申告を行うことも対策の1つで、すでに贈与として申告することで、名義預金と判断されることはなくなります。

このように名義預金と判断されたにためには、贈与契約書や、贈与税の申告など、複雑な問題があるため、是非一度、弁護士や税理士にご相談ください。

4.遺産分割での名義預金の問題点

これまでは、相続税での分野における名義預金についてご説明させていただきましたが、弁護士の分野での遺産分割においても名義預金は問題となります。

すなわち、実質的に被相続人の名義であると判断された場合には、親族名義の口座であっても、相続財産に該当し、遺産分割の対象となることになります。

もっとも、名義預金と判断されない場合には、通常、特別受益として認められる可能性が高いため、いずれにせよ、遺産分割で考慮されることに変わりはないと思われます。

5.まとめ

以上のとおり、名義預金に該当するか否かは、相続の分野においては非常に重要な問題となり、はじめに記載したとおり、親族に内緒でサプライズ的に口座を作っている場合には、多くのケースで名義預金と判断されてしまうことなるでしょう。

残された御親族の方に迷惑を掛けないためにも、生前贈与をお考えの場合には、弁護士だけでなく税理士も同グループ内に在籍している当事務所に是非ご相談ください。