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相続手続き一般

代襲相続・数次相続とは?

2021.05.24

相続が発生したときに、本来相続人となるはずだった人が既に死亡していたり、遺産分割の協議中に相続人の1人が死亡して、その相続人についても相続が発生してしまったりするケースが存在します。

このような場合、法定相続人の確定や法定相続分の計算が複雑になり、遺産分割の解決に時間がかかってしまうことがあります。

今回は、相続の手続きを行う上で知っておきたい、「代襲相続」と「数次相続」の仕組みについてご説明します。

1.代襲相続とは?

(1) 代襲相続の基本

死亡した人(以下「被相続人」といいます。)に子供がいる場合、その子供は原則として法定相続人になります。

しかし、その子供(以下「被代襲者」といいます。)が被相続人よりも先に死亡していた場合、被代襲者の子供(被相続人から見ると孫にあたります。)が被代襲者に代わって法定相続人となります。

被代襲者に代わって法定相続人となる人のことを「代襲相続人」といい、この制度を「代襲相続」といいます。

もし被相続人が死亡した際に、代襲相続人となるべきだった者も先に死亡していた場合、代襲相続人の子供(被相続人から見ると曾孫に当たります。)が再度代襲して相続人となります。

曾孫よりも下の直系卑属であっても、世代数の制限なく代襲相続人となることが可能です。この制度を「再代襲」といいます。

この代襲相続は、代襲相続人となる立場の者が、被相続人の直系卑属(子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族のことです。兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者等は直系卑属ではありません。)である場合のみ認められており、被代襲者の配偶者は代襲相続人となることはできません。

(2) 直系尊属の代襲相続

直系尊属(父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のことです。叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母等は直系尊属ではありません。)は、被相続人に子供がいない場合に法定相続人となることができますが、代襲相続の規定の適用はありません。

被相続人に配偶者がいて子供がいない場合、被相続人の両親が生きている場合は両親も法定相続人となりますが、仮に被相続人の父が死亡しており、父方の祖父母が生きているという場合でも、被相続人の母が生きている場合は母のみが法定相続人となります。

(3) 兄弟姉妹の代襲相続

被相続人の兄弟姉妹は、被相続人に子供がおらず、被相続人の父母も既に亡くなっている場合に法定相続人となります。

兄弟姉妹にも代襲相続が認められていますが、再代襲までは認められていないため、代襲相続人となることができるのは被相続人の甥・姪までです。甥や姪の子供は代襲相続人となることはできません。

(4) 代襲相続人の相続分

代襲相続人は、被代襲者が相続するはずだった相続分をそのまま受け継ぎます。被代襲者の代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の相続分を各代襲相続人の相続分に従い按分することになります。
例えば、以下のような場合、代襲相続人2名の法定相続分は、それぞれ6分の1ずつとなります。

(4) 代襲相続人の相続分

2.代襲相続の注意点

代襲相続は、被相続人が死亡する前に、相続人となるべき人(以下「推定相続人」といいます。)が既に死亡してしまっている場合以外にも生じることがあります。それは、被相続人が相続人を廃除した場合や、相続人が相続欠格者となった場合です。

(1) 相続人の廃除とは?

相続人の廃除とは、相続人から被相続人に対して重大な侮辱行為や虐待等を行った場合に、被相続人が自らの意思によってその相続人から「相続人としての権利」を剥奪することをいいます。

廃除を行うには2つの方法があり、1つは被相続人が生前に家庭裁判所に申立てを行う方法、もう1つは遺言によって廃除の意思表示をする方法です。相続人の廃除が認められると、相続人は民法で一定の相続人に最低限保障されている「遺留分」の権利も剥奪されることになります。

(2) 相続の欠格とは?

相続の欠格とは、相続人が被相続人に危害を加える等の生命を脅かす行為を行った場合や、相続人自らに有利な遺言書を偽造する等の行為を行った場合に、法定相続人としての権利を失うことをいいます。

相続欠格事由のある相続人は、相続人の廃除とは異なり当然に相続権を奪われるため、被相続人の意思に関係なく強制的に権利を失います。

(3) 廃除・欠格の場合の代襲相続について

相続人の廃除・欠格は、各推定相続人個人の問題を原因とするものであるため、その子供の責任まで問われるわけではありません。

相続人が廃除・欠格された場合であっても、その推定相続人に子供がいれば、その推定相続人の家系に対する相続分は変わらないという結論になります。

3.数次相続とは?

(1) 数次相続の基本

相続が発生し、相続人間で遺産分割協議が完了する前に相続人の1人が死亡してしまい、結果として相続人の範囲が広がってしまうことを数次相続といいます。

例えば、以下図表のように、母が死亡し(これを「一次相続」といいます。)相続人の子供3人で遺産分割協議が完了しないうちに、相続人の1人である長男が死亡した(これを「二次相続」といいます。)場合のように、相続が複数発生し、相続人の範囲が一次相続の相続人だけでなく二次相続の相続人にまで広がってしまっている場合を指します。

数次相続については民法に特別の規定があるわけではありませんが、代襲相続との区別を明確にするためにこのように呼称されることが一般的です。

(2) 数次相続における法定相続分

数次相続における相続人は、死亡した相続人が相続するはずであった相続分を、死亡した人の相続における相続分に従って取得します。

上記の図のように、相続人である長男が本来相続するはずだった相続分3分の1については、長男の相続人である長男の配偶者と長男の子供2人が、各法定相続分に応じて取得することになります。

4.まとめ

今回は、「代襲相続」と「数次相続」の仕組みや注意点についてご説明しました。代襲相続や数次相続が発生すると、法定相続人の確定や法定相続分の計算が複雑になってしまうことが多いため、相続が発生した場合は速やかに相続人間で話し合いの場を設け、遺産分割や名義変更等の手続きを速やかに解決することが大切です。

遺産分割の話し合いがまとまらない場合は、早めに弁護士や専門家に相談し、早期の解決に努めましょう。

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