相続手続き

法定相続情報一覧図について

2021.04.22
法定相続情報一覧図について

相続人らの負担軽減のために創設された「法定相続情報証明制度」ですが、一覧図を作成する前提として、収集した戸籍膳本から被相続人の親族関係を把握し、民法に基づいて、相続人となるべき一定の身分関係をもつ者を特定する作業が必要となります。

これまでに民法は、戦前や戦後などの時代の変化に合わせて改正が行われてきました。
法定相続人の範囲や法定相続分は、相続開始日により適用される民法が異なるため注意が必要です。

今回は、これまで民法がどのように改正されてきたのか、また、現行の民法の規定をもとに法定相続情報一覧図に記載する必要がある相続人についてご説明いたします。

1.民法の改正について

前述したとおり、これまでに民法は度々改正が行われており、被相続人の死亡日(相続の開始日)によって適用される規定が異なります。民法の改正ごとに法定相続人の範囲や法定相続分が異なってくるため、民法の改正内容について確認しましょう。
なお、昭和23年以前の相続(昭和22年5月2日までに発生した相続)については、旧民法に基づき、家督相続という制度に従って原則として長男が全ての財産を相続することになります。

①昭和23年1月1日~昭和55年12月31日の間に被相続人が死亡した場合
第一順位配偶者:法定相続分3分の1、:法定相続分3分の2
第二順位配偶者:法定相続分2分の1、直系尊属:法定相続分2分の1
第三順位配偶者:法定相続分3分の2、兄弟姉妹:法定相続分3分の1

②昭和56年1月1日~平成25年9月4日の間に被相続人が死亡した場合
第一順位配偶者:法定相続分2分の1、:法定相続分2分の1
第二順位配偶者:法定相続分3分の2、直系尊属:法定相続分3分の1
第三順位配偶者:法定相続分4分の3、兄弟姉妹:法定相続分4分の1

③平成25年9月5日以降に被相続人が死亡した場合
第一順位配偶者:法定相続分2分の1、:法定相続分2分の1
第二順位配偶者:法定相続分3分の2、直系尊属:法定相続分3分の1
第三順位配偶者:法定相続分4分の3、兄弟姉妹:法定相続分4分の1

法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子(以下、非嫡出子と記載します。)の相続分は、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子(以下、嫡出子と記載します。)の相続分の2分のlとされていましたが、平成25年9月5日に民法の改正が行われ、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等となりました。

また、平成25年9月5日の民法改正前までに相続が開始されていたとしても、平成13年7月1日から平成25年9月4日までの間に遺産分割等がなされていない状況であれば、嫡出子と嫡出でない子の相続分は、同等とする取扱いとなります。
父母のどちらか一方を同じくする兄弟姉妹の相続分については、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1と規定されています。

父母のどちらか一方を同じくする兄弟姉妹と、父母の両方を同じくする兄弟姉妹を一覧図に示す必要がある場合には、その関係性を明示しましょう。

2.法定相続情報一覧図に記載する相続人

法定相続情報一覧図には、どこまでが相続人として記載されるのでしょうか。法定相続情報一覧図に記載する相続人についてご説明いたします。

(1)胎児がいる場合
相続人を特定する際、相続開始時に生存している必要がありますが、胎児は、例外として既に生まれたものとしてみなされるため相続人となります。死産の場合を除き、胎児は相続人となり得るのです。

しかしながら、法定相続情報一覧図に記載される相続人は、戸籍上の記載から明らかとなる者のみに限られるため、胎児は相続人として一覧図に記載することができません。このような場合には、胎児の出生後に再度、法定相続情報一覧図の申出を行うことが必要です。

(2)相続放棄をした者や相続欠格者がいる場合
相続人のうちに、相続放棄をした者や相続欠格者がいた場合には、法定相続情報一覧図にどのように記載されるのでしょうか。この場合、相続開始時点より相続人ではなかったものとみなされます。

しかしながら、前述したように、法定相続情報一覧図は、戸籍上の記載から明らかとなる相続人が記載されます。そのため相続放棄を行った場合でも、相続放棄を行った旨に関しては戸籍上に記載されないことから、通常の相続人として法定相続情報一覧図に記載されることとなります。

法定相続情報一覧図を使用して、相続の手続を行う場合、相続放棄をした者の場合には、「相続放棄申述受理証明書」、相続欠格者がいる場合には「確定判決の謄本」等を別途添付する必要が生じますので、注意して下さい。

(3)数人が同時に死亡した場合
不幸にして、数人の身内が同時になくなってしまった場合には、どのような法定相続情報一覧図の記載になるのでしょうか。このような場合、死亡者の相互間において相続は発生しないことと民法上定められています。
そのため、法定相続情報一覧図には、相続開始前に死亡した時と同様に、同時に死亡した者については法定相続情報一覧図に記載しません。

その他にも、嫡出子と非嫡出子がいる場合や、異父母の兄弟姉妹がいる場合には、法定相続分に影響がある関係となるため、法定相続情報一覧図にその関係性を明示しておくことが必要です。

3.まとめ

以上の通り、法定相続情報一覧図は、民法の改正内容等も踏まえながら作成することが必要となります。また、相続が複雑な関係性であれば、その他にも注意点が発生します。
法定相続情報一覧図は一度作成を行うと、後々の相続手続きの負担を軽減することが可能ですが、自分自身で法定相続情報一覧図の作成に向けて準備を行うとなると、かなりの負担が生じてしまいます。

いち早く法定相続情報一覧図を完成させて、相続手続きを進めたい場合には、専門家に依頼することを検討されてみては如何でしょうか。