相続手続き

少し変わった遺産の評価方法

2021.04.28
少し変わった遺産の評価方法

遺産と言えば、一般的には現金、土地や建物等の不動産、株式などが主なものになるでしょう。

しかし、被相続人が宝石などの価値のある物を持っていることも珍しくありません。今回は、現金や不動産以外の遺産について、どのように評価すべきかご説明いたします。

1.遺産の評価

どの遺産についても共通ですが、遺産の評価額は、買ったときの価格ではなく、時価となります。時価の基準日は、遺産分割や遺留分減殺請求をする場面では、通常、分割日又は請求日となり、相続税額の計算を行う場面では、原則として、被相続人が亡くなった日となります。
このため、株式のように値動きのある財産に関しては、いつの時点を基準とするかによって大きく金額が異なってくることもあります。

2.遺産の評価方法

被相続人が以下の財産を所有していた場合の評価方法についてご説明いたします。

⑴自動車
自動車は、相続税の申告にあたっては、取得価額から減価償却累計額を差し引いた価額をもって評価することになります。ただし、これはあくまでも課税上の価額として想定されているものにすぎません。
自動車は、中古車市場が形成されているため、車種、型式、走行距離等を基準として、相当信頼性の高い評価を出すことが可能です。そのため、遺産分割にあたっては、中古車の専門業者に査定を依頼し、査定価格をもって評価することが一般的です。

⑵貴金属類
宝石などの貴金属類は、時間の経過と共にその価値が下がるということはあまり考えられません。そのため、遺産分割にあたっても、相続税の課税についても、専門業者による査定にしたがって価格を評価することになります。
一般的に、ジュエリーであれば、ダイヤモンドは価値がつきますが、ルビーやエメラルドは比較的安く査定される傾向にあります。

⑶金の延べ棒
金の相場があるため、相場を基準に評価を行います。

⑷高価な切手
切手などのコレクションは、素人目にはなかなかその価値がわからないものです。切手コレクター等の取引相場において、切手の額面以上の価値があれば、その価格で評価することができるでしょう。しかし、そうでない場合には、切手の額面で判断することになります。
この他、被相続人がパンフレット、絵葉書、古銭、ポスターなどをコレクションしているケースについても、切手と同様、取引相場における価格又は額面価額のあるものであれば、そのいずれかによって評価することとなります。

⑸仏壇
仏壇は、高額で購入するものですが、祭祀財産となるため、遺産を構成しません。祭祀継承者が引継ぐことになりますので、遺言や遺産分割協議において特別な取扱いがなされない限り、分割対象となる遺産からは除外して考えることとなります。

⑹ブランド物のバッグ
高級ブランドのバッグは、物によっては中古品でも100万円以上の値がつくこともあります。リサイクルショップなどの買取価格などを参考に価格を判断することになるでしょう。

⑺骨董品
骨董品や絵画・書などの美術品は、実際に過去に売買されたときの価格や類似品の市場価格、専門家の鑑定によって価値が決まります。

⑻ブランドの時計
ブランド時計については、リサイクルショップなどの買取価格を参考にして時価を判断することも1つの方法です。もし特注品などであれば、専門家に鑑定してもらうことも考えられます。

⑼着物
着物は高価ですが、正絹でできているため劣化もしやすく、購入時より大幅に価格が下がっていることも考えられます。専門家の査定の上、価格が決まることになります。

3.形見分けについて

上記の遺産のうち、特にジュエリーや時計などは、形見分けとして相続人が受け取ることもあるでしょう。形見分けとは、慣習的に行われているものであって、遺産分割とは異なります。四十九日法要などの、関係者が一堂に会するときに形見分けの相談をすることが多いようです。

形見分けは、共同相続人の総意の下で行われる限りは、正式な遺産分割協議とは別に行い得るため、相続放棄した人でも形見分けとして被相続人の思い出の品などを受け取ることは可能です。ただし、金銭的価値の高い品物を形見分けとして相続放棄した人が譲り受けることは、「相続財産の処分」と判断され、相続放棄が認められなくなる場合もありますので、注意が必要です。

また、貴金属類や時計など金銭的価値の高いものは遺産に含まれますので、後々相続人間で揉めることも考えられます。形見分けにおいては、トラブルを避けるため、金銭的価値の低いものを分け合うことをお勧めいたします。

4.まとめ

今回は、現金や不動産以外の、少し変わった遺産の評価方法についてご説明しました。自動車のように中古市場が広く形成されている場合には、査定結果に対し相続人間で揉めることはほとんどないと思われます。しかし、自動車以外の場合、特に貴金属類や骨董品は、専門業者による査定価格にばらつきが出ることも考えられます。

そのため、被相続人が宝石や骨董品等を多く持っていた場合には、その評価額について相続人間で合意がまとまらないという可能性もあります。遺産分割の際は、事前に弁護士等の専門家に相談しておくと、相続人間の協議をスムーズに進めることができるでしょう。