相続手続き

遺産分割調停について

2021.03.13
遺産分割調停について

被相続人が遺言書を残している場合は、遺言書の内容に従って相続が行われます。
遺言書がない場合は、相続人全員で相続財産をどう分けるのか話し合いをして遺産の分け方を決めることになります。

しかし、話し合いがまとまらない、他の相続人が話し合いの場に出てこないときはどうしたらいいのでしょうか。
このようなときは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
今回は、この遺産分割調停についてお話させていただこうと思います。

1.遺産分割調停とは

遺産分割協議は相続人「全員」で行わなければなりません。
そのため、相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合や他の相続人の協力が得られない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てを行い解決する方法があります。
これが遺産分割調停です。

遺産分割調停の申し立てはどこの家庭裁判所に申し立ててもいいわけではなく、管轄が法律で決まっています。遺産分割調停の管轄裁判所は「相手方住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所」です。

当事者が合意で定める家庭裁判所については、相続人全員が合意しなければならないので、相続人同士で意見が対立している場合は、無用な反感を避けるためにも、相手方住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをするのが賢明です。
実は、いきなり遺産分割審判を申し立てることもできるのですが、この場合の管轄裁判所は相続が開始した地、つまり、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所になりますが、職権で調停に戻されることも多いので、調停から申し立てるのがいいでしょう。

2.遺産分割調停の仕組み

遺産分割調停の主宰は、裁判官1名、最高裁判所が任命した家事調停委員(2名以上)で構成される調停委員会です。
遺産分割調停では、調停の日に当事者を呼び出し、遺産分割が合意するように相続人の意見を調整します。

この時、原則、相続人1人ずつ交互に調停室に入室して、調停委員が事情を聞きます。
調停は、誰の意見が正しいかを決めるものではなく、双方の意見を聞いて妥当な解決策を見つけるための場なので、調停委員が誰かの肩をもつということはありません。

3.遺産分割調停申立ての方法

遺産分割調停を申し立てるにあたって、申立の趣旨、理由を記載した申立書を裁判所に提出します。この申立書は裁判所に置いてあったり、裁判所のホームページでも公開されているので、ご自身で申立てをされる際はご利用されてください。
裁判所に提出した申立書の写しは、原則として相手方にも送付されます。

そのため、相手を刺激するような内容を申立書に書いてしまうと、相手を怒らせてしまい、調停の進行の妨げになることもあるので、不要な内容は申立書に書かず、調停の場で口頭で告げる程度に留めておくほうがいいでしょう。

また、申立ての際に必要ですが準備に手間がかかるのが、申立てに必要な資料の収集です。
戸籍、不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書等を収集する必要があります。
戸籍は被相続人が生まれてから死亡するまでの間のものを全て揃えなければなりません。

この戸籍は被相続人の本籍地の市区町村役場にて取得が可能ですが、被相続人が結婚、離婚等で本籍地を何度か変更している場合は、変更前の市区町村役場にも戸籍の発行を請求することになります。
市区町村役場の窓口で取得が可能ですが、遠方の場合は、郵送でも取り寄せすることができますので、利用されてみてください。

不動産の登記簿は不動産所在地を管轄する法務局で取得可能です。
正確な地番、家屋番号が分かっていれば、日本全国どこの法務局でも取得することができます。(住所と地番、家屋番号が必ずしも一緒ではないので注意してください。)

また、正確な地番、家屋番号の調べ方は、不動産所在地を管轄する法務局に問い合わせれば教えてもらえますし、登記済権利証や固定資産税の納税通知書の課税明細書等で確認することもできます。なお、法務局に行くのが難しいという方は、郵送やインターネットでも取り寄せが可能です。固定資産評価証明書は、不動産所在地の市区町村で取得できます。
これらの資料は、裁判所に申立てる際に必要になりますので、申立て前に準備をしておけば、スムーズに手続きが開始できるでしょう。

4.最後に

遺産分割調停は自分で行うことも可能ですが、必要書類の収集に時間がかかってしまうこともあります。

また、調停委員の多くは法律の専門家ではありません。
そのため、遺産の範囲や特別受益、寄与分などについて正確な知識がないこともあります。これらの点について問題や対立がある場合は、法律の専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。弁護士に依頼することで、資料収集や文書作成を任せることができ、法律的な意見を主張することができます。

後悔せず、納得できる解決をするためにも、相続問題については、弁護士に相談、依頼することをお勧めします。