相続手続き

相続財産(農地・生命保険金・死亡退職金)について

2021.04.30

相続財産は有形、無形を問わず、相続開始時に被相続人に属した全ての財産がその対象となりますが、どの財産をどのように引き継げばいいのか気になりますよね。
今回は相続財産のなかでも、農地・生命保険金・死亡退職金についてどのように扱われるのかをご紹介いたします。

1.農地はどのように扱われるのか

農地は相続財産として遺産分割・相続税課税の対象です。ただし、農地の種類によって評価方法が大きく異なるため、評価の際は注意が必要です。
また農地を特定遺贈により取得する場合には許可が必要です。

農地の特殊性

農地については、優良農地の確保のために農地の所有権移転や転用が許可制とされているという特殊性があります。
農業上の支障なく開発要請を満たすために、立地条件等により農地を区分し、その区分ごとに許可方針の強弱が設けられているために、農地の価額については、その転用可能性に応じた独特の財産評価が必要となります。

農地の所有権移転制限について

遺産分割による農地の取得の場合には所有権移転制限は及ばないので、遺産分割の際に許可条件を気にする必要はありません。ただし、特定遺贈による農地取得の場合には、通常に農地を売買や贈与する場合と同様に、農業委員会あるいは都道府県知事の許可が必要となりますので、その許可が得られなければ受贈者が農地を承継することはできません。

2.生命保険金は相続財産になるのか

生命保険金は、保険契約に従い受取人が定まっていますので、遺産分割協議は不要です。尚、相続税課税の対象になります。

遺産分割との関係

生命保険金は保険契約によって受取人が受け取るものであるため、受取人の固有財産となります。したがって、生命保険金は遺産分割の対象とはならないことが通常であり、この場合には保険契約で定められた受取人が生命保険金を受け取ることができます。

なお、受取人が指定されていない場合や受取人が相続発生前に死亡していた場合などに関する保険契約の内容が民法の法定相続人や法定相続分の定めと一致するとは限らず、例えば、配偶者と子がいる場合でも、配偶者のみが受取人となるようなこともあります。また、相続放棄をした者でも死亡保険金を受け取ることはできます。

相続税課税との関係

生命保険金は、相続税法上は「みなし相続財産」として課税対象となります。生命保険金の全額が課税対象となるものではなく、500万×法定相続人の数の金額については、非課税となります。また、生命保険の契約者・被保険者・保険金受取人が誰かによって、相続税ではなく所得税や贈与税の課税対象となることもあります。

3.死亡退職金はどのように扱われるのか

死亡退職金は、社内規定に従い受取人が定まっていますので、遺産分割協議は不要です。しかし、相続課税の対象となります。社内規定がない場合は、異なる取扱いになることもあります。

遺産分割との関係

死亡退職により支給される死亡退職金は、主として遺族の生活保障を目的としていると考えられているため、受給者固有の権利として評価することができます。したがって、死亡退職金は遺産分割の対象とはならないことが通常であり、この場合には社内規程で定められた受取人が死亡退職金を受け取ることになります。

死亡退職金について会社の規程がない場合には、当然に受給者固有の権利として評価しうるかどうかは疑問であり、むしろ被相続人の功労報酬や慰労金を目的としている場合があります。このような場合は、具体的事情によっては相続財産として遺産分割の対象となる場合があります。その場合、遺産分割協議によって受取人とされた者が死亡退職金を受け取ることになります。

相続税課税との関係

死亡退職金は、受給者固有の権利として遺産分割の対象にならない場合でも、税法上は「みなし相続財産」として課税対象となります。
死亡退職金の全額が課税対象となるものではなく、500万円×法定相続人の数の金額については、非課税となります。

弔慰金・生前退職したが未受給であった退職金の取扱い

(1)弔慰金(亡くなった者を弔い、遺族を慰めるために贈られる金品)
弔慰金は、被相続人が有していた財産ではないので、遺産分割の対象とはならず、相続税の対象ともならないのが通常です。相続税課税との関係では、次の金額を超える部分については、死亡退職金と同様であるとして、死亡退職金と同様の課税取扱いとなります。
①被相続人が業務上死亡した場合:被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する金額
②被相続人が業務上死亡でない場合:被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する金額

(2)生前退職したが未受給であった退職金の取扱い
生前退職の場合には、退職金は被相続人が有していた財産となるので、通常の金銭債権と同様、遺産分割の対象となり、相続税課税の対象です。相続税との関係では、生前退職したが、退職金額が確定する前に被相続人が死亡し、その死亡後3年以内に退職金額が確定した場合には、例外的に、死亡退職金と同様の非課税規定の適用があります。

4.さいごに

今回は、相続財産の中でも農地・生命保険金・死亡退職金についてご紹介しました。
財産によって引き継ぎ方が異なりますので、もし疑問点等がありましたら専門家にご相談ください。