相続手続き

相続登記が大きく変わります!

2021.03.08
相続登記が大きく変わります!

相続が発生した場合、被相続人が不動産を保有していたら、相続人の誰かに名義変更をする必要があります。

一般的には遺産分割や遺言書に基づいて、相続人がきちんと受け継ぐことが多いですが、中には放置される不動産が増えてきているのも現状です。
例えば、山林や地方の田舎の土地の場合は、固定資産評価額もかなり低く、維持費のほうが高くつくことがあります。また、地方の親元を離れ都会で暮らしている場合、実家の土地建物はいらないという方もいるでしょう。

現在は相続登記が義務化されていませんので、そのような場合は受け継ぐことが面倒だと、そのままにすることも可能です。
しかしながら、年数が経過していくと、古い建物だけが取り残され景観に影響を及ぼしたり、火災や崩壊の危険を招いたりなどの恐れがあります。
そこで、今回法制審議会において、不動産登記法の改正の話し合いが行われ、2023年を目途に相続登記を義務化する方向で進んでいます。

1.今回の改正は何が変わった?

今回の改正にともなって、以下のように変更がなされます。

義務化内容
・取得を知ってから「3年以内」に登記申請をしない場合は、10万円以下の過料
・10年間、遺産分割未了で取得者が決まらない場合は、法定割合にて分割
・被相続人が名義となっている不動産の一覧を行政が作成し発行
・住基ネットに基づいた死亡者情報を行政が登記する
・所有者の住所・氏名が変更となったときは登記の義務化

上記の通り一番大きく変わるのが、相続開始を知ってから3年以内に登記申請をしない場合は10万円以下の過料(行政罰)を取られるという点です。
前述したように、現在は相続登記の義務化はされていませんので、この点は最大の変更となります。

なお、どうせ気づかれないだろうという考えになるかもしれませんが、法務局ではすべての不動産情報を管理しています。また、被相続人が死亡した場合は、死亡届が市区町村の役場に提出され、戸籍上に死亡の事実が記載されます。今回の法改正において、これらの役場が死亡者情報の共有を行うことになるようですので、どこかのタイミングでは登記されていないことは発覚する可能性が高いです。
その場合は、過料を取られるだけでなく、もし10年間放置されている状態であれば、一度法定相続分の割合に応じて登記がなされてしまいます。
そうなると、所有権が共有になりますので、もし売却したいとなっても全員の意思確認が必要となり、手続きが煩雑となります。もとから共有名義にしたいのなら別ですが、意思に反して持分を持つことになるのも困りものです。

ただ、このように登記を怠ると過料を取られることになった反面、登記手続自体の負担は減らす方向で動いています。
現在相続登記を行う際は、原則相続人全員の意思確認が必要となり、印鑑証明書の添付が求められます(但し、遺言書がある場合など当てはまらないケースもあります。)。
そのため、相続人の数が多かったり全国各地に居住していたりする場合は、申請書類を準備するだけで時間がかかりますので、今後は相続人全員の同意がなくとも登記が出来るようになるようです。そうなると、負担はかなり減るため、きちんと登記手続きをする方が増えるのではないでしょうか。

また、中には不動産がいらない方もいらっしゃると思います。
今回の法改正では、そういった方が土地の所有権を放棄しやすくするために、建物や土壌汚染がないなど一定の条件を満たした場合には国に帰属させることも可能になります。

2.その他に変更された内容

現在所有している方の氏名や住所が変更となった場合も変更登記がなされない事案が4割弱を占めています。
そのため、今回の法改正を機にこれらも義務化することになりました。
内容としては、変更から2年以内に申請がなければ、5万円以下の過料が科されるというものです。
なお、本人の意向確認が出来た場合は、行政側において登記変更手続きも可能となります。
現所有者の氏名や住所が正確でない場合は、相続発生時に行政側で被相続人の名義不動産一覧を発行する際に、同一人物かの判断をする際に不都合が生じるため、このように住所及び氏名の変更登記も義務づけることになったのだと考えられます。

3.今回の法改正まとめ

今回の法改正の主目的は、先に述べたように、不動産の名義変更登記がなく放置されることにより、景観の悪化や、何世代も相続が繰り返され現在の相続人が誰なのかがわからなくなるなどの状況を予防することです。
2023年とまだ先の話ではありますが、現在ご自身が相続人になられている不動産で被相続人から名義変更されていないものはないでしょうか?
もしある場合は、正式な法改正前に、きちんと遺産分割協議を行い、適正に保有が出来る方に名義変更しておきましょう。
弊所は弁護士事務所でありながら、司法書士も擁しておりますので、遺産分割のみならず相続登記もお気軽にご相談ください。