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相続・遺言・遺産分割のいろいろ~相続編①~

2021.05.19
相続・遺言・遺産分割のいろいろ~相続編①~

高齢化社会の今、相続に関する相談は年々増加しています。
そこで今回は、相続の問題を簡単ではありますがご説明させていただきます。

1.相続の開始

まず、相続とは亡くなった事実を原因としてその人の財産上の権利や義務を相続人に承継させることです。
相続される人を「被相続人」、相続する人を「相続人」といいます。

相続は、被相続人が亡くなってから開始します。
相続開始の原因となる被相続人の死亡とは、通常「心臓死」、つまり自然死を指し、その死亡時は心停止の時です。
なお、臓器の移植に関する法律による脳死で、かつ、臓器移植のため摘出がされる場合に限っては、脳死と判定された時点を死亡時とされます。
親族などが亡くなった際は、死亡診断書または、死体検案書を添付して死亡届を出さなければいけません。

自然死の場合以外にも、一定期間生死不明となった場合は手続きを経たうえで法律上死亡とみなす制度があり、それを失踪宣告といいます。失踪宣告がなされると、失踪者は死亡したものとみなされ、相続が開始されます。

2.相続の承認・放棄の選択

相続が開始した場合、被相続人の配偶者は常に相続人になり、被相続人の子や直系尊属、兄弟姉妹など配偶者以外の相続人がいる場合は、その者と同順位で相続します。
配偶者以外の相続人については、①被相続人の子、②被相続人の直系尊属、③被相続人の兄弟姉妹の順となり、第1順位の相続人がいない場合に、初めて第二順位の相続人は相続人として相続手続きに加わることができます。

相続開始後の手続き

相続が開始すると相続人の意思に関係なく遺産が相続人に帰属します。
相続人は自らの意思により、無条件に相続するか、放棄するかを選ぶことができます。

相続人は相続開始の時から、被相続人の財産一切の権利義務を承継するので、不動産や預金、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続の対象になるため、相続人の自由な意思により選択することができるのです。

もっとも、相続人は、被相続人が亡くなってから3か月以内に相続するか、放棄するかを決めなければいけません。この期間を熟慮期間といいます。他方で、相続財産が分からない場合や、相続人が遠方にいるなど調査に時間がかかる場合は熟慮期間の伸長を家庭裁判所に申立てすることができます。

検討の結果、負債のほうが上回っているため相続したくないと考えた場合には、相続放棄(初めから相続人でなかった効果を生じさせること)の手続きをする必要があります。具体的には、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述しなければいけません。なお、この申述は口頭ではなく必ず相続放棄申述書を裁判所に提出しなければなりませんので、注意が必要です。

3.相続財産に関する費用

相続財産についても固定資産税やその他維持費などの費用が生じることがあります。
このような費用については、民法では「相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。」と定められており、一般的には遺産分割の中で清算されるか、または各相続人が負担することとなります。

4.財産分離

財産分離とは、被相続人に対する債権者や相続人の債権者の利益を保護するために、相続財産と相続人の財産の混合を防ぐため、一定の者の請求により相続財産を分離して管理し、清算する手続きのことです。財産分離には、第一種財産分離と第二種財産分離がありますが、今回は第一種財産分離について簡単に説明させて頂きます。

第一種財産分離

第一種財産分離とは、相続債権者又は受遺者の請求による財産分離をいいます。
相続放棄や限定承認がされていない限り、相続が開始されると被相続人に属していた一切の財産は相続人に承継されます。

その結果、相続財産と相続人の財産は混合しますが、相続人の固有財産が債務経過であると、相続財産からであれば十分な弁済を受けられずはずの相続債権者・受遺者が、混合されることにより十分な弁済を受けられず、不利益を被る可能性があります。

このような場合、相続債権者や受遺者は相続開始の時から3か月以内に、財産から相続財産を分離し、家庭裁判所に清算を行うことが請求できます。
財産分離の申立てが行われた場合、相続人は単純承認した後でも、相続財産管理人がいる場合を除き、相続財産については相続人固有の財産におけるのと同一の注意をもち、財産を管理しなければいけません。

また、財産分離後の清算手続きは相続財産管理人がいない場合、相続人が行います。

第一種財産分離の効果

財産分離の申立人並びに配当加入の申出をした相続債権者、受遺者は相続人の債権者に優先して財産から弁済を受けることができます。

5.相続人の不存在

相続人の行方が分からない時は、相続財産自体を財団法人として扱い、相続財産管理人を置くことになります。
その上で相続人を探し、財産の清算、管理を同時並行で進めていき、相続人が見つかった際はその者が相続することになります。
相続人がいないことが確定した場合は、特別縁故者への財産の一部または全ての分与の手続きをし、財産が残った時は国庫に帰属させる手続きをします。

相続人の存在は通常は戸籍で明らかになりますが、戸籍上の相続人がいない場合でも、本当にいないかどうかを調べつつ、財産を管理、清算することが必要な場合があります。
また、相続人全員が相続放棄をした際にも相続人不存在の状態になりますので、相続財産管理人の選任申立て行い、相続財産管理人が選任するまでは、自己の財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を管理しなければならないため、注意が必要です。

なお、相続財産管理人は選任後、不動産・預貯金口座・賃借権・債権の管理、相続放棄した人たちへの通知などを行います。

6.まとめ

相続についてあまり詳しくない、相続ってなに?という方はたくさんいらっしゃるかと思います。
次回もテーマは【相続】です。
引き続き相続についてご説明したいと思います。