個人向け全般

ネットに書き込みをした人物を特定するには?その1

2019.08.01

前回はネットに書き込まれた個人情報を削除する方法についてご説明しましたが、削除依頼申請では書き込みをした人物を特定することまではできません。相手を特定するには、以下に説明する開示請求という方法をとることとなります。

今回は、発信者情報開示請求と仮処分の方法についてご紹介します。

1.ネットの仕組みを理解して、開示請求を

(1)適切な手順を踏めば、情報開示は可能

個人情報や誹謗中傷の書き込みがされてしまった場合、必ず思うのが「誰が書き込みをしたのか」ということではないでしょうか。たとえ思い当たる人物が存在していたとしても、匿名で書き込みされている場合が大半であり、書き込みがなされた時点では人物を特定することは不可能です。

しかしながら、然るべき手順で各プロバイダへ情報の開示請求を行えば書き込みをした人物を特定することができます(これを発信者情報開示請求といいます)。

(2)まずはコンテンツプロバイダへ開示請求を

私たちがインターネットを利用する際、「プロバイダ」と呼ばれるネット接続サービスを契約することがほとんどかと思いますが、このプロバイダのことを正しくは「インターネットサービスプロバイダ(ISP)」と言います。

私たちは、このインターネットサービスプロバイダを通じて、様々なSNSや掲示板、情報サイトなどへアクセスしていることになります。

また、そのSNSや掲示板、情報サイトを運営している事業者のことを「コンテンツプロバイダ」と呼び、掲示板などに書き込んだ情報が保管されているサーバーを管理しています。

<インターネットの流れ>

コンテンツプロバイダが有している情報は、サーバーにアクセスされた履歴やIPアドレス、タイムスタンプと呼ばれるアクセスのあった時間の記録などが主になります。

IPアドレスは、書き込みをした人物が、どのインターネットサービスプロバイダと契約しているのかの手がかりになります。

しかし現在のIPアドレスというのは、一定時間経過すると新しい値がユーザーに割り振られてしまうため、それだけでは特定をすることができません。IPアドレスとともに、タイムスタンプも合わせることにより、「この時間にこのIPアドレスを与えられた人物が書き込みをした」という情報がコンテンツプロバイダへ開示請求することにより判明するのです。

2.コンテンツプロバイダへの開示請求の方法

コンテンツプロバイダへの開示請求の方法は、前回の記事の削除依頼と同様、テレコムサービス協会が提供している書式を用いてコンテンツプロバイダへ請求する方法と、裁判所へ仮処分の申請を行う方法の2通りがあります。

テレコムサービス協会が提供している書式は「発信者情報開示請求書」というもので、身分証明書の写しや印鑑証明書などを添付しコンテンツプロバイダへ郵送します。

ここで忘れてはならないのが、実際に書き込まれた時の状況が分かる証拠です。

画面のスクリーンショットや、その時表示されたWEBページをPDF形式で保存したものなど、そのサイトの特定の場所に書き込みされているという証拠も準備し合わせて送ります。

ですので、書き込みを発見した際には慌てずに、落ち着いてスクリーンショットを取ったりブラウザを用いて該当ページをPDF形式で保存するなど、証拠の確保を行いましょう。

次にそのサイトを訪れた際、どこに記載されていたのか辿れなくなってしまう場合もあるため、なるべく早い段階で保存します。

(例)google chromeには、印刷機能にPDFデータで書き出す機能があります。
保存した日時や当該URLなども表示することができ、有用です。

詳しい書き方などについては、プロバイダ責任制限法 関連情報WEBサイト
http://www.isplaw.jp/index.htmlを参照してください。

コンテンツプロバイダへ開示請求がされた場合、プロバイダ側はIPアドレス等の情報を開示してもよいか発信者へ尋ねることとなります。同意が得られない場合、開示することはできません。しかし、明らかに権利を侵害しているとプロバイダ側が判断すると、開示されることもあります。

3.発信者情報開示仮処分の申請

このように、情報開示請求を行っても一概に開示されるとは言いきれません。ですので、裁判所による発信者情報開示仮処分を行うのが良いでしょう。

こちらも前回ご紹介したように、仮処分は通常より早く決定が下されることが多いので、専門家などに依頼するなどして、速やかに手続きを行いましょう。

また、仮処分にあたっては、早く決定を行わないと適切な措置ができなくなることを明記することがポイントです。インターネットの世界では、瞬く間に新しい情報がどんどん保存され積み重ねられ、放っておくと膨大なデータが蓄積することになります。

そのため、保存期間を過ぎた古い情報から定期的に削除されてしまうことが常であり、書き込まれた際のログ(記録)も期間が経過すると削除されてしまうことになります。ですから迅速に仮処分を行う必要性があることを説明するのです。

裁判所が開示の仮処分を決定したら、大半のコンテンツプロバイダは決定に従い情報の開示を行います。(削除依頼と同様、数十万円の担保金が必要です。)

これで、書き込みをした人物のIPアドレスとタイムスタンプという情報が得られることになります。

そして、これらの情報を用いて行うのが、インターネットサービスプロバイダへの契約者情報開示請求です。こちらについては次回、ご説明したいと思います。

4.まとめ

今回はコンテンツプロバイダへの開示請求についてご説明しましたが、前述したとおり、この後、インターネットサービスプロバイダへの開示請求も行わなければ、発信者の特定はできません。

何段階も手順を踏まなければなりませんが、請求の流れを把握しておけば、万が一トラブルにあった際も、まずは2.で説明したような「証拠の保存をする」という行動に移せるはずです。落ち着いて状況の判断をするようにしましょう。