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架空請求の被害に遭わないために

2019.07.02

「架空請求」という言葉を皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
架空請求は近年増加し続けている犯罪の手口です。
今日はそんな架空請求についてお話したいと思います。

1.架空請求とは

架空請求とは、実際には利用した覚えのないサービスの利用料金や登録料を、あたかもどこかで契約したことがあるかのように消費者に請求し、金銭をだまし取ろうとする詐欺の手口のことです。
架空請求では、メールやはがき等で、無差別に金銭の請求を行います。そのため、誰でも架空請求のターゲットになり得ます。そんな架空請求の被害に遭わないためにも、実際に架空請求ではどのような手口が使われているのかを見ていきましょう。

2.具体的な手口

架空請求は、インターネット上のサービスの利用について、本当は登録の事実がないにも関わらず、「先月分のサイト利用料金が未納です」や「無料期間が経過したが退会手続きが取られていない」などともっともらしい理由をつけて、はがきや郵便、メールなどで料金の請求を行ってきます。

それだけではなく、「訴訟手続きを開始する」や「差押えの強制執行手続きとる」などと消費者の不安を煽る内容を記載した上で、「今日中に支払えば間に合う」「連絡がない場合は裁判になる」などと謳い、すぐに料金を支払うことや連絡を要求してきます。
中には、「民事訴訟 管理センター」などと、行政機関を装い請求してくる場合もあるので、要求に応じてしまう消費者も少なくないようです。

しかし、ここで要求に応じてしまうと相手の思うつぼです。
なぜなら、一度でも金銭を支払ったり、相手に連絡をしてしまうと、電話番号や氏名等の個人情報がばれてしまい、相手から直接電話がかかってきたり、その後も延滞料などと名目をつけて、金銭を要求されるようになってしまうからです。
一度でも金銭を支払ってしまうと二次被害、三次被害に及んでしまうということを覚えておきましょう。

次に、架空請求かどうかの見分け方についてご説明したいと思います。

3.架空請求の見分け方

架空請求は、インターネット上のサービス利用に関しての金銭の請求がほとんどです。自分の身に覚えのないサービス利用に関して請求が来た場合、「あの時にあのサイトを見て、うっかり登録してしまっていたのかな」なんて思い、素直に支払いに応じてしまってはいけません。
インターネットのサービスの登録では、消費者が、「うっかり、いつの間にか登録してしまっていた」という事態に陥らないように、法律上事業者に一定の行為が求められています。

ですので、身に覚えのない請求が来た場合は、架空請求と考えてよいでしょう。では、具体的に事業者には、どのような行為が求められているのでしょうか。

まず、インターネット上のウェブサイトにおけるサービスの提供は、特定商取引法第11条に定められている「通信販売による役務の提供」に当たります。インターネットで契約を結ぶ場合(有料サービスの利用など)、消費者はサービス提供者と会話をしたり、品物を確認したりすることが出来ません。
そのため、消費者の意思に反した売買契約や、サービス提供の申込みが成立してしまうことになりかねません。

このような、消費者が不利益を被ることを防ぐために、事業者がインターネット上で契約申込を受ける場合には、消費者がコンピューター操作を行う際に申込みの内容を簡単に確認でき、訂正できるようにしておくことが求められています(特定商取引法第14条2号、同施行規則第16条2号)。

会員登録を行う際に、以下のような画面が出てくるのを、皆さんも一度は目にしたことがあるかもしれません。これは特定商取引法に基づく登録フォームの形式になっているのです。

このような手順を踏む登録なしに、いきなり金銭の請求のみが来た場合は架空請求を疑いましょう。
次に、架空請求のメールやはがきが届いたら、どのように対処したら良いのかを見ていきましょう。

4.架空請求がきたときの対処法

架空請求と思われるメールやはがきが自分のもとに届いた場合の対処法は、極めてシンプルです。
それは無視することです。具体的な手口でも述べた通り、メールに返信したり、電話をしたりしてしまった場合は、その後もしつこく連絡が来る恐れがあるため、何もしないのが一番重要です。

それでも不安な場合は、消費者向けの相談窓口(例えば、消費者生活センター等)などに相談してみるのがいいでしょう。
ただし、上記はあくまでも基本的なケースであって、中には無視してはいけない架空請求もあります。次はそちらを見ていきましょう。

5.無視すると危険な架空請求

架空請求の手口の中には、裁判所からの支払督促や少額訴訟の手続きを悪用して行うものもあります。この2つの手口は実際に裁判所で手続きを行い、それを犯罪利用してくるというものです。
支払督促手続とは、債権者からの申立てに基づいて、原則として、債務者の住所地の管轄の簡易裁判所の裁判所書記官が、債務者に対して金銭等の支払を命じる制度です。債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払い請求を争う訴訟であり、原則として1回の期日で審理を完了して判決を言い渡します。

どちらも比較的簡易な手続きで進めることができるため、架空請求に、より信ぴょう性を持たせるために悪用する手口が見受けられます。

この場合、金銭の請求自体は架空であっても、裁判所から来た通知は本物なので、通知が手元に届いた場合は応じる必要があります。この時なにも対応しなければ、相手方(架空請求をしてきた業者)の請求を認めたこととなり、法律上支払いの義務が発生してしまいます。

そうならないためにも、裁判所から通知があった場合は、裁判所に出頭するか、答弁書を提出し、請求が架空請求であることを主張する必要があります。

この場合は裁判所とのやり取りが必要になりますので、専門家に相談するのが良いでしょう。
 

6.まとめ

架空請求の手口は近年ますます巧妙化しています。判断を誤って金銭を振り込んだり、必要な手続きを無視したりしてしまうと、思わぬ被害を被ってしまう可能性があります。

そうならないためにも、架空請求か疑わしい場合は、すぐに警察に連絡するか、もしくは専門家へ相談するようにしましょう。