労働問題

労働基準法とは? ~年少者の雇用について~

2019.07.17

労働者の雇用にあたり、年少者(満18歳未満の者)の雇用について考えたことはありますでしょうか。

近年の人口減少に伴い、外国人労働者の受け入れを積極的に行うところもあるほど、様々な企業が人手不足に頭を悩ましているかと思います。今後、更に人手不足になる可能性が高いことから、今回は年少者を雇用する際の注意点などについて見てきます。

1.年少者の労働契約

まず、年少者と労働契約を結ぶときに注意しないといけない点は年齢です。労働基準法では、原則として、使用者は、児童(15歳に達した日以降の最初の331日までの者)と労働契約を結んではいけないとされています。例外として、非工業的業種又は農林水産業の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害ではなく、労働が軽易なものであれば、行政官庁(管轄の労働基準監督署)の許可を得て、満13歳以上の児童を修学時間外に使用することが出来ます。また、映画製作や演劇の事業では満13歳未満の者でも同様に使用することができます。

年少者の使用に関する許可が下りた場合は、年齢を証明する戸籍証明書※を事業場に備え付けることが必要です。更に、児童を使用する場合には、以上に加えて修業に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書も事業場に備え付けなければいけません。

また注意点として、労働基準法上では親権者は未成年者(満20歳未満の者)に代わって労働契約を締結してはならず、未成年者の賃金を代わりに受け取ることはできません。そのため、まだ子どもが小さい場合は労働契約締結の場に同席し、事前に年少者本人の口座を作っておくことが望ましいでしょう。

※戸籍証明書は、戸籍をコンピュータ化した自治体が発行する証明書で、従前の紙戸籍で発行していた戸籍謄本・戸籍抄本と同じものです。戸籍謄本は戸籍全部事項証明書に、戸籍抄本は戸籍個人事項証明書に名称が変わりました。年齢が証明できれば大丈夫ですので、どちらの証明書でも問題ありません。

2.年少者の労働条件

次に、年少者の労働条件の中身について見ていきたいと思いますが、年少者の労働条件には以下のような様々な制限があります。具体的に見ていくことにしましょう。

(1)労働時間及び休日

年少者の労働時間及び休日については、以下のような制限があります。

  • ①変形労働時間制・フレックスタイム制、36協定による時間外労働・休日労働は適用できません。ですので、今日10時間労働、明日6時間労働ということが出来ませんし、当然ながら残業もできません。
  • ②児童は修学時間を通算して、1週間について40時間、1日について7時間を超えて労働させてはなりません。
  • ③使用者は、満15歳年度末後を修了した年少者については、次に定めるところにより労働させることが出来ます。

 ア 1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内において、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合は、他の日の労働時間を10時間まで延長することが出来ます。ただし、割増賃金が発生するので注意が必要です。
 イ 1週間について48時間、1日について8時間を超えない範囲内において、月単位の変形労働時間制又は1年単位の変形労働時間制の規定により労働させることが出来ます。

(2)深夜業(労働基準法61)

労働基準法上、年少者は非常災害の場合を除き、原則として深夜業(午後10時から午前5時までの労働)を行わせてはならないことになっていますが、以下のように例外が設けられています。

①交替制によって使用する満16歳以上の男性については、深夜業が認められています。
②厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、①の時刻を、地域または期間を限って、午後11時及び午前6時とすることができます。
③交替制によって労働させる事業においては、行政官庁の許可を受けて、①に関わらず午後10時30分まで労働させ、又は②に関わらず午前5時30分から労働させることが出来ることとなっています。
④労働基準法第61条は、災害時には適用されません。また、農林水産業、保健衛生業、電話交換の業務に従事する場合も適用されません。

更に、労働基準監督署の許可を得て使用する児童については、午後8時から午前5時の時間帯に働かせることはできません。

(3)危険有害業務(労働基準法62)

労働基準上では、年少者は肉体的、精神的に未成熟であることから、重量物を取り扱う業務や危険な業務、衛生上または福祉上有害な業務(これを「危険有害業務」と言います。)に就業させることが禁止されています。年少者が就業を制限されている業務には以下のようなものがあります。

  • ・運転中の機械等の掃除、検査、修理等の業務
  • ・ボイラー、クレーン、2トン以上の大型トラック等の運転または取扱いの業務
  • ・深さが5メートル以上の地穴または土砂崩壊のおそれのある場所における業務
  • ・高さが5メートル以上で墜落のおそれのある場所における業務
  • ・有害物または危険物を取り扱う業務
  • ・著しく高温もしくは低音な場所または異常気圧の場所における業務
  • ・バー、キャバレー、クラブ等における業務
(4)坑内労働(労働基準法63)

労働基準法上、年少者を坑内(炭坑やトンネル)で労働させてはいけません。年少者は成年と比較して、体格的にも精神的にも未熟であり、安全や福祉の観点から危険な業務をさせないようにするためです。なお、事務作業(現場での労働時間の管理)であっても、年少者を坑内で働かせることは禁止されています。

(5)帰郷旅費(労働基準法64)

年少者の労働条件とは異なりますが、満18歳に満たない者が解雇の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は必要な旅費を負担しなければなりません。ただし、満18歳に満たない者がその責に帰すべき事由に基づいて解雇され、使用者がその事由について行政官庁の認定を受けたときは、この限りではありません。従って、使用者の都合で解雇する場合や行政官庁の認定を受けることが出来なかった場合は帰郷旅費が発生しますので、ご注意ください。

3.まとめ

年少者の労働について、意識していないと知らないうちに、労働基準法上禁止されている時間外労働、深夜業、危険有害業務、坑内労働をさせていたということになりかねません。そのため、今後の法改正にも注意しながら、年少者を雇用する際は十分に注意しましょう。