少年問題

少年事件手続の概要

2019.07.04

未成年者が犯罪行為をした場合には、どのように扱われるのでしょうか。

未成年者も逮捕されることがありますが、重大事件でない限りほとんど報道されないため、その後どのような手続が行われているのかよく分からないという方が多いのではないでしょうか。今回は、少年事件手続の概要をご説明します。

1 犯罪少年とは

犯罪少年とは、犯罪に該当する行為をした14歳以上20歳未満の少年です。少年の犯罪事件は、原則として、成人と同様に捜査機関による捜査が行われた後、その全てが家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所で少年保護事件として審理され、大部分は家庭裁判所の決定を受けて終了します。ただし、家庭裁判所において、刑事処分が相当と判断された事件は検察官に送致され(「逆送」といいます。)、成年の刑事事件手続と同様に取り扱われます。

2 虞犯少年とは

虞犯(ぐはん)少年とは、虞犯事由があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある20歳未満の少年です。
虞犯事由とは、以下のものをいいます。

① 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
② 正当な理由なく家庭に寄り付かないこと
③ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入りすること
④ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること

虞犯性があるかどうかは、将来における事実を予測するものですので、単なる推測ではなく経験則に基づく高度の蓋然性が必要とされます。したがって、虞犯事由の検討にあたっては、本人の問題点だけではなく、家庭、学校、交友関係等の環境的要因も総合的に検討されます。

 

3 犯罪少年・虞犯少年の手続概要

(1) 家裁送致前

少年の被疑事件についても、おおむね成人と同様の捜査手続を経ます(少年法40条)。ただし、少年の心身は未成熟であるため、身柄拘束については以下のように特別な配慮がなされています。

①検察官はやむを得ない場合でなければ勾留請求することができず(少年法43条3項)、裁判官もやむを得ない場合でなければ勾留状を発することはできません(少年法48条2項)。

②検察官は、勾留の要件がある場合でも勾留に代わる観護措置を請求することができます(少年法43条1項)。

③勾留場所を少年鑑別所とすることができます(少年法48条2項)。
なお、虞犯少年については、虞犯事由自体は犯罪に該当しないため、他に犯罪行為がない限り、逮捕・勾留等は行われません。

(2) 家裁送致と観護措置

捜査を経た後は、全ての事件が家庭裁判所に送致されます。これは、少年保護の専門機関をもつ家庭裁判所に、全ての事件について保護処分と刑事処分のいずれを行うべきか、専門的判断をさせるためです。

家庭裁判所では、まず少年に対して観護措置をとるか否かを決定します。観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の身柄を保全し、調査・鑑別などを行いながら少年を保護するための措置です。観護措置の期間は、少年法上は原則2週間と規定されています(少年法17条3項)が、実務上は、ほとんどの事件で更新される(同条4項)ため、原則4週間の運用となっています。

また、非行事実の存否や内容に争いがあり、証人尋問等を実施する事件では、更に2回更新され、最大で8週間になることがあります。
虞犯少年についても、捜査の結果虞犯事由があると思料されるときは、犯罪少年と同様に家庭裁判所に送致されます。

(3) 家庭裁判所調査官による調査

家庭裁判所調査官は、裁判官の調査命令によって、少年の要保護性に関して調査を行うことになります。要保護性とは、少年による再非行の危険性があり、少年に対しふさわしい保護処分(「保護処分」については後ほど、ご説明します。)を行うことにより再非行の防止をする必要性のことをいいます。
少年保護事件の処遇は、非行事実とこの要保護性に応じて決定されますが、保護事件としての性質上、要保護性の有無・程度の判断が重要な意味を持つため、調査結果は最も重要な資料となります。

(4) 少年鑑別所における鑑別

少年鑑別所は、観護措置により送致された少年を収容し、医学、心理学、教育学、社会学等の専門的知識に基づいて、少年の資質を鑑別する機関です。
 
少年鑑別所では、知能検査、性格検査等各種の心理テスト、面接、行動観察等の結果を総合的に分析・検討して少年の心身の鑑別を行います。少年の問題点、有効な処遇の方法、予後の見通しなどの分析と処遇意見を付して家庭裁判所に書面で通知します。

(5) 審判と保護処分

審判の手続は、①人定質問、②黙秘権の告知、③非行事実の告知と少年の弁解録取、④非行事実の審理、⑤要保護性の審理、⑥調査官・付添人の処遇意見録取、⑦終局決定告知 の順に進行されるのが一般的です。
審判で決定される保護処分としては、以下のものがあります。

①保護観察
少年を施設に収容せず、在宅で、保護観察所・保護司の指導監督の下、少年の更生を図る社会内処遇です。

②児童自立支援施設。児童養護施設送致決定
施錠のない開放施設で生活指導等を行う処遇です。

③少年院送致決定
少年院とは、身柄を収容した上で少年に対して矯正教育を施す施設です。対象少年の年齢と特性に対応して、初等、中等、特別、医療の4種類に分けられています。

④試験観察決定
①から③の終局的な保護処分のほか、終局処分の決定を一定期間留保する中間処分として、試験観察決定がなされることがあります。試験観察には、少年を家庭に戻してその経過を見る在宅試験観察と、適当な施設、団体、個人に補導を委託する補導委託があります。

⑤検察官送致(逆送
死刑、懲役、禁錮にあたる罪を犯した少年について、家庭裁判所が保護処分でなく刑事処分を相当と認める場合には、検察官送致がなされることがあります。この場合、刑事訴訟法の定めに従って裁判手続が進められます。

4 まとめ

今回は、少年事件手続の概要についてご説明しました。少年事件は、犯罪の内容によってその後の手続が大きく変わってきます。未成年者が逮捕されてしまった場合、ご親族が動揺し、不安になるのは当然です。今後どのような手続が行われるのかを知り、心積もりをしておくことが重要です。