遺産相続

生前に知らないと損をする ~相続対策における3つの基本~

2021.03.09
生前に知らないと損をする ~相続対策における3つの基本~

生前に相続対策を行っておくことで、相続税を大幅に少なくし、スムーズな相続が実現できることを知っていますか。

相続対策を大まかに分けると次に述べる3種類になります。
是非、事前に知っておいて損はありません。

1.相続で争いにならないためには

相続税には、一定の要件に該当する人の税負担を軽くするために様々な特例や制度が設けられています。
その種類は色々あれど、共通して言えるのは「円満な相続が行わなければ適用されにくくなってしまう」ということです。

例えば、亡くなった親と同居していた子供などが自宅を相続する場合に、不動産の評価が8割引となる「小規模宅地等の特例」があります。
そのようなお得な特例であっても、兄弟間で遺産分割の協議がまとまらないままに申告期限が過ぎてしまうと、適用を受けられなくなってしまいます。(兄弟を抜け駆けして、自分が相続した物件にこの適用を受けようとしても、提出する申告書には、他の相続人がその適用を同意したという付表が有り、抜け駆けはできないようになっています。)

反対の見方をすれば、円満な相続が実現できれば、適用される制度や特例の幅も広がり、相続する方もされる方もハッピーになれるという事です。
ある意味で、お得な制度や特例は、なるべく相続がスムーズに行われるように、国が誘導するためのインセンティブと捉えることができます。
円満な相続をするためにまず行って頂きたいことは、生前に財産を整理しておき、その情報を相続人と共有しておくことです。
親の財産の内容や所在を知っているのは親自身だけで、家族には詳しく知らせていないという人は意外と多いようです。

そのような人が亡くなると相続人は大変です。銀行口座の明細や生活の軌跡を追跡(特に郵便物は注意が必要です。)し、財産を特定して行かなければなりません。それを専門家に丸投げしても、多額のお金と時間が掛かる作業です。
残された家族のことを思うならば、どこにどんな種類の財産があるのか、だいたいの評価額はいくらなのか、ざっくりしたものでいいので所有財産一覧を作り、定期的に更新しといてください。
それだけでも相続人がスムーズに相続手続を終えるためには役立ちます。

2.優遇措置をできる限り利用する

相続税は高いと言われます。
基礎控除しか使わず多額の財産を相続すれば、確かに税金は高くなっていきます。

しかし、相続税や贈与税には様々な優遇措置があります。それらを利用すれば、支払う税金を少なくしたり、場合によってはゼロにしたりもできます。

例えば、「配偶者の税額軽減」は、被相続人の配偶者が財産を相続した場合、評価額の1億6千万円までは税金がかからない、というものです。これを利用するだけでも相続税を大幅に減らせます。(これは配偶者が被相続人と同じ世代だからと思います。仮に世代を飛び越して孫へとした場合、相続税の2割加算が待っています。)

また、それに加えて、自宅を相続した時の特例、生命保険金に関する特例など、別の特例を上乗せして使える場合もあります。特例を適用するかしないかで、支払う相続税が大きく変わってくることもあります。

いずれの優遇措置でも共通するのは、一定の要件を満たさなければ受けられないということです。
したがって確実に特例の適用を受けるためには、事前に適用要件を確認しておき、相続開始時には、その要件に当てはめられるように、対策を練っておくことが大切です。

3.資産を減らす

相続税の額は、財産の評価額に応じて決まってきます。つまり、財産の評価額をできるだけ減らすことが、相続税の節税の重要なポイントになります。

たとえば、墓地や墓石、自宅のリフォーム費用など、被相続人が亡くなった後に必要になる費用を生前のうちに支払っておけば、現預金を減らすことになり、その分だけ相続財産の評価額が下がり、相続税の支払いは少なくなります。(必ずしも完済しとく必要はありません。リフォームの支払が数百万円残っていても、被相続人の債務となり相続財産を減らす効果は同じです。)

その他にも、生前のうちに贈与する、現預金を土地などに替えておく(土地などにしといた方が評価され低めになりがちなため、現預金は評価がそのまま変わらないので。)、寄付をする、自社株式の株価評価を下げるなどの方法で財産を減らす(あるいは評価額を下げる)ことで、相続税を抑えることができます。

おわりに

3つの原則的な方法を簡単に紹介しました。確かに親が存命中に親や兄弟と話合いを持つという事は、中々切出すのは大変かもしれません。

しかし、申告期限は相続開始を知った日から10か月後に必ず来ます。忌明けまで待って、初めて家族会議をして、すんなりと相続人が全員納得して遺産分割協議書が作成できれば問題はないのでしょうけど、中々、現実は難しい場合が多いような気がします。まず、手始めにやれることから実施されればいいのではないでしょうか。ご参考にして頂ければ幸いです。