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その他の相続紛争

事実婚の夫が亡くなったけど内縁の妻は遺産を相続できるの?

2021.03.04

昨今では、新しい家族の在り方として「事実婚」も珍しくないですよね。しかし、籍を入れていない事実婚状態では、相続発生時に様々な問題に直面してしまいます。
今回は、事実婚の夫が亡くなった場合の問題点とそうならないための解決方法についてお話したいと思います。

1.なぜ、内縁関係では相続はできない?

まず、はじめに申し上げておくと、いわゆる内縁関係の夫婦は、婚姻届けを出していないため、法律上夫婦とは認められていません。
そのため、内縁関係の夫婦間での遺産相続というのは法律上認められていません。それは、一体なぜでしょうか。
婚姻関係のある夫婦であれば、夫が亡くなった際は必ず妻は相続人となり、第一順位に子、第二順位に親、そして第三順位に兄弟姉妹と法定相続人が決まっています。しかし、婚姻関係にない内縁の夫婦では、お互いが法定相続人とは認められません。ですから、遺産相続も出来ません。
具体的には、預貯金の相続もできませんし、不動産の名義変更、株式や自動車も相続できないのです。

2.内縁のパートナーの死後、遺産を受け取るには?

では、実際にパートナーが亡くなってしまった時、遺産を受け取るためにはどうしたら良いのでしょうか。
考えられる方法は「法定相続人に協力をしてもらう」です。
A子さんを例にご説明したいと思います。

内縁のパートナーの死後、遺産を受け取るには?

A子さんには内縁の夫Bさんがいて、Bさんは両親・弟の4人家族でした。
この場合、Bさんには子がいないため、相続人は両親となります。
A子さんはこの両親に協力をしてもらうことで、Bさんの遺産を受け取ることが出来ます。
ここでいう「協力」というのは、一度両親が相続した遺産を、A子さんへ遺贈(遺言による贈与)・贈与・売買のいずれかの方法で渡すということを指します。
そうすることで、直接的な相続ではありませんがA子さんの手に遺産が渡ります。
しかし、この方法では、一度両親が相続する際に手続きなどがまず必要になり、さらにそれらをA子さん名義に変更するためにも手続きが生じます。
パートナーが予期せず亡くなってしまった場合は致し方ありませんが、大切なパートナーがこのような苦労をしなくて良いように、生前から対策が出来たら良いですよね。次に生前に出来る対策についてご説明します。

3.生前に必要な対策

法定相続人以外に遺産相続をさせる場合に有効な生前対策は、主に以下の3つです。

①遺言書作成

内縁関係のパートナーは、法定相続人ではないため相続発生時に遺産を相続出来ないとご説明しましたが、実はこれは遺言書を生前に書いておくことで解決できます。
遺言書とは、被相続人の意思を書面に残したもので、生前に相続の方法などを記載することが出来ます。法的な効力を持つため、遺言書に記載をしておけば法定相続人以外にも遺産を相続させることが出来るのです。

②生前贈与

生前贈与とは、生前に自信の財産を特定の人物に贈与することをいいます。毎年110万円以内であれば、非課税で贈与することが可能です。これを暦年贈与と言います。
その際は贈与契約書の作成を行う・定期贈与とみなされないように毎年違う時期に違う額を贈与するなど、工夫をすると良いでしょう。

③生命保険

生命保険を用いての対策とは、生命保険の保険金受取人をパートナーに指定しておくということです。これは、保険会社によって一定の条件下で認められる場合と認められない場合があるので注意が必要です。
受取人を指定しておくことで、遺言書の作成をしていなくても死亡時の保険金を受け取ることが可能になります。
ただし、「非課税枠は500万円×法定相続人の人数」になります。

 

4.内縁関係でも相続できる例外

ここまで、内縁関係の夫婦は法定相続人とは認められず遺産相続が出来ないとご説明してきましたが、実は、例外があります。
それは、「特別縁故者」として認められる場合です。

特別縁故者とは、
・被相続人と生計を同じくしていた者
・被相続人の療養看護に努めた者
・その他被相続人と特別の縁故があった者

と定められており(民法958条3条1項)、裁判所が決定した額の財産分与を受けることができます。
ただし、特別縁故者への財産分与が認められるのは、他に相続人がいないケースに限られますので、法定相続人がいる場合は遺産を受け取ることが出来ませんし、財産分与の額も裁判所が決定するので全額受け取れるわけではありません。

ちなみに、特別縁故者への財産分与は以下の手順で行われます。

①裁判所に、相続財産管理人選任申し立てを行う
②相続人不存在が確定⇒特別縁故者への財産分与申し立てを行う
③財産分与が決定

5.まとめ

今回は、内縁関係の夫婦間で相続が発生した場合についてご説明させて頂きました。
生前にできる対策をしておくことで、大切なパートナーにご自身の遺産を渡すことが出来るということがわかりましたね。
特に遺言書の作成は、内縁関係の夫婦間でなくてもすべての場合において相続をトラブルなく円滑に進めるためには必要不可欠です。
自分に限って相続で困ることなんて…と思っている方も多いと思いますが、ぜひ一度専門家に相談してみてください。

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