遺産相続

遺産分割の手続~分割協議編~

2019.01.21

人が死亡することで始まる手続きが、相続の手続です。相続が開始すると、亡くなった人の相続財産(いわゆる遺産)は相続人に引継がれます。
この遺産を分けるための手続きが遺産分割です。今回は、遺産分割~分割協議~についてご説明します。

1.遺産分割ってなに?

遺産分割とは、人が死亡して相続が開始した後、相続人たちの共有に属している遺産を、各相続人に分配させる手続のことをいいます。
そして、遺産分割には4つの方法があります。

遺言による分割、②協議による分割、③調停による分割、④審判分割の4つです。

① 遺言による分割

まずはじめに、「遺言による分割」について説明します。
民法には、「被相続人は、遺言で、分割の方法を定め、もしくはこれを定めることを第三者に委託することができる」という決まりがあります。
これは、被相続人(=死亡した人)が、相続人(=遺産をもらう人)の取り分を具体的に遺言に書くことができるという意味合いです。分割の方法を定めるというのは「妻には住んでいる家を、長男には自家用車を、長女には駐車場土地を相続させる」といったような遺言です。

② 協議による分割

次に「協議による分割」について説明します。
共同相続人全員の合意により遺産を分割する手続きです。例えば、夫婦と三兄弟をイメージしてもらったときに、夫が死亡したとします。夫の財産は一旦妻、長男、次男、三男の4人みんなの共有になります。
そして、その後に話合いを行い、妻・長男・次男・三男の4人の合意があってはじめて、協議による分割を行うことができます。全員の合意があれば、分割の内容は相続人たちの自由に任されており、特定の相続人の取得分をゼロとするような分割協議も有効です。

また、より細かなことをいうと、分割の態様についても、現物分割(遺産自体を分ける方法)、換価分割(遺産をお金に換価してから分ける方法)、代償分割(遺産を多くもらい過ぎた方が、他方に対して代償金を支払う方法)など、様々な方法が認められています。

③ 調停による分割

分割協議がまとまらないときや何らかの事情があって協議ができないときは、それぞれの相続人たちは家庭裁判所に分割を請求できます。
原則として、遺産分割は調停から始めなくてはなりません。ですので、協議の段階で話し合いが到底まとまりそうもない状況であったとしても、改めて遺産分割調停を申立てなければなりません。例外的に、調停を飛ばして遺産分割審判を申し立てることも不可能ではありませんが、極めて例外的な場合となります。

調停手続きは実質話合いですから、一見協議分割と変わらないようにも思えますが、大きく異なる点があります。
調停委員や家事審判官(=裁判官)という職の人が話合いの斡旋をしてくれること、そして、合意が成立した場合に作成される調停調書の記載に確定した審判と同一の強い力があることの2点で分割協議とは異なります。

④ 審判分割

遺産分割協議が不成立となった場合、審判手続に移行します。
審判分割においては、家庭裁判所の審判官が、遺産の分け方を決めている民法の分割基準に従って、各相続人の相続分に反しないよう分割を行います。
金銭の支払や物の引渡し、登記義務の履行その他給付を命ずる審判は、相手が任意に履行しない場合、これに基づいて強制執行ができます。

2.協議分割の具体的な流れ

協議分割は、共同相続人全員の意思の合致により、遺産を分割する手続です。
合意を形成するためには、共同相続人全員が一同に会して話し合う方法が、一番実質的な協議ができますが、協議分割においては合意形成の手段も共同相続人の自由に任されており、電話や手紙などのやり方で協議を進めることもできますし、あるいはその他の方法でも構わないものとなっています。
実際には、共同相続人の数が増えるに従い、また、お互いに遠隔の地になるほど全員が集まって話し合うことが困難であるため、電話や手紙などの通信手段を使って協議を進めることになります。

遺産分割に関して共同相続人間で合意が成立した場合、単に口頭の合意でとどめておくことも可能ではありますが、協議の内容を証明するため、遺産分割協議書を作成しておくのが一般的で、協議のむし返しを防ぐためにも書面を作成しておくのが望ましいといえます。遺産分割協議書には、共同相続人が署名・押印しなければなりません(署名は記名によって代えることができますが、自署によることが望ましいものとされています。)。
全員が集まって一度の機会に作成、署名・押印する方法のいずれでも、相続人全員が記載内容を承認して署名押印すれば、遺産分割協議は成立します。

相続人全員が署名・押印した遺産分割協議書は契約書と同様に、遺産分割の協議が成立したことの証明になります。
遺産の中に不動産がある場合は、遺産分割協議書は「相続を証する書面」となり、協議書によって相続による登記ができる。(ただし、そのためには共同相続人全員が協議書に実印で押印して、印鑑証明をそれぞれ添付しておかなければなりません)
登記以外にも、被相続人名義の預金の名義を書換える際にも遺産分割協議書が必要とされます。

3.気をつけること(遺産分割協議書づくりで気を付けること)

① 誰がどの遺産を取得するのか明記する。
② 現在(その時)判明していない財産が今後発見されたとき、誰にどのように分配するかについても決めておく。
③ 住所の記載は、住民票や印鑑証明に記載されているとおりに記載する。
④ 捺印は実印でする。
  ⇒これは印鑑証明書と一体となって、合意が本人の意思に基づくものであることの証明となると同時に登記手続をする際の「相続を証する書面」として使用するために必要なことである。
⑤ 銀行、証券会社などによっては、自社専用の決められた様式の用紙に相続人全員の実印による押印を要求して、一般の遺産分割協議書では預金名義を特定の相続人名義に認めないところがあるから、あらかじめ銀行等に確認し、必要があれば、協議書に対する捺印と同時に、専用書類への押印を済ませられるようにするのがよい。
⑥ 作成する通数は、各相続人が1通ずつ所持できるよう、相続人の人数と同じ通数を作成するのが良い。
⑦ 分割協議書が1枚の用紙で足りずに複数になった場合、各用紙の間に全相続人の契印を忘れずに入れる。

4.まとめ

このように、知らないと後で問題になってしまう場合もあります。遺産分割に臨むときは円満な解決のためにしっかりと内容をきめて、話し合っていくことや、相続人同士の共通認識づくりも大切といえるでしょう。