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信託について

家族信託って役に立つの?

2021.03.17

相続の方法として「家族信託」というものをお聞きになったことのある方は多いのではないでしょうか?

家族信託は、信託法を利用した制度です。信託法は、大正時代にできた法律で歴史は古いのですが、ほとんどの人にはなじみのないものでした。信託法は長年、信託銀行等が取り扱う資産運用として活用されるに過ぎないものだったのです。

しかし、80年以上の年月を経て、一般の人も使える財産運用の手法に利用しやすい大改正が行われました。
では、家族信託は、どういった意味で私たち一般人に役立つのでしょうか?

1.そもそも家族信託って何なの?

家族信託は、信託法を根拠とする財産管理の手法です。信託には、登場人物が3人出てくるので、一見すると複雑な仕組みに見えます。でも、大丈夫です。次の説明をお読みいただければ、実に単純な仕組みだと分かるはずです。

まず1人目は、現在財産を持っていて財産の管理や処分を任せる主体となる人、「委託者」です。
2人目は、委託者が信じて財産を託す相手である、実際に財産の管理処分を担う人、「受託者」です。
最後は、委託者が受託者に管理を託した財産から経済的な利益を受ける人、「受益者」です。

この3人を使って信託を説明すると、「信託とは、委託者が遺言や信託契約などによって、信頼できる受託者に対して、不動産・現金等の財産を託して、一定の目的に沿って、受託者が受益者のためにその財産を管理・処分する法律関係」となります。
受託者を家族や親族にする信託を家族信託といいます。

2.超高齢化社会のリスクに備える

これから日本に訪れる超高齢化社会においては、(1)認知症などの判断能力の低下・喪失によって本人の資産を本人や家族が自由に使えなくなる「資産凍結リスク」と、(2)医療技術・介護サービスの充実により、長寿化や様々な介護システム利用のために、老後の資金がどのくらい必要になるかという「長寿リスク」があります。

(1)については、本人の意思確認が出来ないと、成年後見制度を利用しなければ本人の財産が使えなくなります(本人の資産である以上、例え家族の意思確認が取れても、本人の意思表示がなければ法律行為を行うことはできません。)。しかし、成年後見制度は本人の財産を減らさないようにすることに主眼があり、自由に本人の財産は使えません。

本人の定期預金を解約したり、土地を売ったりして介護費用を捻出することは難しくなります(もちろん、本当に必要なお金であれば支出することはできますが、本当に本人にとって必要不可欠な最低限の事柄しか対応することができません。)。
そこで、判断能力の低下・喪失前に成年後見に代わる財産管理の手段として家族信託を考える必要があります。

(2)については、長寿化自体は喜ばしいことですが、老後の入院や介護の資金がいくら必要になるか分からないため、元気な内に思う存分使ったり、子や孫に財産をあげたりすることが難しくなります。また、本人だけでなく子や孫も年をとるため、「老々介護」・「老々後見」に備える必要があります。

自分が元気な内に老後の希望と現有資産をなるべくオープンにして、老後の生活設計・収支をシミュレーションして、家族一人に負担させない仕組みつくりとして家族信託を考える必要があるのです。

3.争わないための「争族」対策

現代社会は、一昔前に比べれば価値観・ライフスタイルが多様化しています。子供のいない夫婦、複数回婚姻する人、生涯独身の人、内縁関係の人など、様々な家族の形態があります。
そのため、民法だけでは通用しない法律問題が生じています。
複数回婚姻をした人は、異母又は異父兄弟間の「争族」問題への対策や別れた夫や妻が養育費を自分勝手に使うことを阻止するニーズがあるでしょう。あるいは、子が生涯独身の場合の子孫へと渡すはずだった資産やお墓をどうするか、も問題となります。

ライフスタイル・価値観の多様化によって、民法の規定する「点の資産承継(自分しか次の財産の承継を指定できないこと)」では限界があります。
そのため、家族信託によって柔軟な財産運用を考える必要があります。

また、「相続」問題は、親が死亡する前、要介護状態になったときには既に生じかねないのです。誰が親の介護を担うのか、在宅介護か施設入所か、どのような施設か、で子ども同士が争いかねないのです。親の財産は親のために使うべきと考える子供もいれば、相続財産を減らしたくないから安い施設にしようとする子供もいるのです。そしてその時、残念なことに、介護を頼らざるを得ない親は自分の希望を言うことができないのです。

「争族」による被害者にならないように、元気な内に自身の保有資産や老後の希望を家族らに伝え、介護方針を家族とシェアをして、自分の老後を託す子に多くの財産を残すなど、家族信託で決めておくことも必要でしょう。介護で苦労した子どもが、遺言などがないために、均等に財産を分けるという「平等な」相続をすることはザラにあります。
「争族」問題は、遺産争いで自宅の承継者が決まらず、空き家問題という社会問題も生じさせます。家族信託によって、空き家問題を減らすこともできます。

4.まとめ

以上の通り、「家族信託」を活用することで、超高齢化のリスクに備え、「争族」問題にも対策できます。
家族信託に興味を持たれた方は、是非、弊所にご相談ください。

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