遺産相続

特別縁故者制度について

2021.02.28
特別縁故者制度について

特別縁故者制度とは、相続人がいない場合に、被相続人と生計を同じくしていた人、被相続人の療養看護に努めた人その他被相続人と特別の縁故があった人に対して、家庭裁判所が相当と認める範囲で、相続財産の全部又は一部を与える制度をいいます。

1 特別縁故者とは

簡単に言い換えると、相続人がいない場合に、生前に被相続人との関係が深かった人に対して、相続財産を分け与えるといった制度です。

相続人等の身寄りのいない高齢者が、友人から日常生活のサポートを受けながら暮らしていた場合等、現代社会では意外と「相続人がいない」ケースが多いものです。

2 特別縁故者に対する財産分与の相談件数

日本では、少子高齢化や晩婚化が加速の一途を辿っている影響で、第1次的な相続人である配偶者や子がいないまま相続に至るケースが年々増加傾向にあり、特別縁故者の申立て件数も、平成23年以降は1000件を超えています。
今後、生前に被相続人と関係が深かった方からの相談件数は増加していくでしょう。実際にご相談に来られる方のお話を伺っていると、「いっぱい面倒を見たから財産が欲しい」というような趣旨でのご相談は少なく、死後の賃貸物件の整理や家財道具の片付けなど、様々な死亡後の諸手続きをどうしたら良いかというご相談が多いです。

その中で、相続人がいないため友人として諸手続きをしてあげるつもりだというお話になり、財産が残っていることも判明し、弁護士等の専門家からの勧めで、遺された財産が国に帰属するくらいなら、面倒を見てきた者として財産を引き継いだらどうですか?という話が出て来て、相続財産管理人の選任申立てや特別縁故者の申立てに発展するケースが多いです。

つまり、みなさん「財産が国に行ってしまうくらいなら・・・」という感覚で受け取ろうとされる方が多いです。

3 特別縁故者に対する財産分与申立てに至るまで

特別縁故者に対する財産分与の申立てに至るには、次のようなステップを踏む必要があります。

①相続人の有無の確定

相続が発生することが大前提なので、当然被相続人の死亡が発端となります。そして、被相続人が死亡した段階において、相続人がいる場合には、特別縁故者の事例に該当しません。
そのため、まずは被相続人の戸籍を取得して、相続人の有無を確定させる必要があります。本来的に、特別縁故者は相続できる立場ではなく、あくまでも相続人がおらず、本当に最後の最後、国に帰属する直前で受け取ることが認められているに過ぎません。

②相続財産管理人の選任の公告(民法第952条)

戸籍の取得をした後、検討した結果、相続人がいないことが確定した場合は、「相続財産管理人の選任」を行うことになります。相続財産管理人の公告は2ヶ月間行われますが、この期間に相続人が現れると、相続財産は相続人のものとなるため特別縁故者の事例には該当しないこととなります。

③債権申出の公告(民法第958条第1項)

相続財産管理人の公告が行われた後に、相続財産管理人により債権申出の公告が2ヶ月間行われます。

要は、相続人がいなかったので、次は「お金を貸している人はいませんか?」という呼びかけをしようというものです。この債権申出によって、債権者が現れて、相続財産を超えるほどの債務が明らかになった場合には、この相続財産から弁済が行われるため、特別縁故者の事例に該当しないこととなります。

④相続人捜索の公告(民法958条)

債権申出の公告が終わりますと、今度は相続人捜索の公告が6ヶ月間なされます。この公告期間を経過すると、相続人や債権者が自身の権利主張を行うことができなくなります。つまり、この期間は、相続人や債権者に与えられた最後のチャンスです。

⑤財産分与の申立て(民法第958条の3第1項)

上記①から④の過程を経て、家庭裁判所に特別縁故者の申立てを行うことができるようになりますが、この特別縁故者の申立てについては、上記④の公告期間が経過した後、3ヶ月以内という期間制限が設けられています。

4 まとめ

今回は、特別縁故者制度について見ていきましたが、上記のとおりかなり時間もかかりますし、専門的な知識も必要になってきます。
まずは相続財産管理人の選任申立てを行い、それから特別縁故者の申立てになりますので、複数かつ長期間の手続きが必要となります。

その際、どちらも専門家である弁護士に依頼して手続きを行うのが一般的ですが、やはりコストが発生しますので、コストをかけてでも特別縁故者の申立てを行って、特別縁故者として取得できる財産額の目安を見てからでないと、手続きを進めるべきかどうかの費用対効果の判断がつきません。

一度、専門家である弁護士と相談しながら、実際に特別縁故者の申立てまで行うべきかどうか、検討されてみてください。
関係の深かった方がお亡くなりになられて、その方にお子さんや配偶者がいないようであれば、相続人を確定させる意味も込めて一度専門家へご相談されると良いでしょう。