procedure division

遺産分割

相続って何?~身内が亡くなったら何をしたらいいの?~

2021.03.12

身近な人が亡くなると「相続」が発生しますが、身近な人が亡くなったときに行う相続手続きについて、やるべきことがたくさんあるため、何から始めればいいのか分からないと思います。
今回は、相続が発生したらやるべきことの流れについてご説明いたします。

1.亡くなっていないと相続はできないの?

基本的には、身内が亡くなることによって「相続」が発生しますが、長い間行方不明になっていて生存しているのか死亡しているのかも分からない場合は、「失踪宣告」の手続によって相続が開始する場合もあります。

身内の方の生死が不明で長い間連絡が取れず、財産を処分することができないため、どのように対応すればいいか悩まれている方は今からお伝えする方法で「失踪宣告の申立」を行うと良いでしょう。
失踪宣告とは、生死不明の者(不在者)に対して、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。

失踪宣告には2種類あり、(1)従来の住所を去ったまま、戻る見込みのない不在者について、7年間生死が明らかでない状態を「普通失踪」といい、(2)戦争や船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇したことで、生死が分からなくなり、その後、1年間生死不明の状態を「特別(危機)失踪」といいます。

死亡したとみなされる時期はそれぞれ、(1)普通失踪の場合は、最後に連絡を取った時から7年後、(2)特別失踪の場合は、危機が去った時期となります。
実際に失踪宣告を申し立てるときは、(1)普通失踪の場合は、最後に連絡を取った時から7年後、(2)特別失踪の場合は、危機が去った時期から1年後に、利害関係人が不在者の従来の住所地または居住地を管轄している家庭裁判所へ申立書を提出します。なお、利害関係人とは、不在者の配偶者、相続人、財産管理人、受遺者など失踪宣告を求めるについての法律上の利害関係を有する者をいいます。

管轄の家庭裁判所に申し立てを行った後は、裁判所の調査官が申立人や不在者の親族に対し調査を行います。調査が完了したら、不在者本人は生存の届出を行い、不在者の生存を把握している人がいれば届出を行うよう裁判所の掲示板や官報に公告を行います。

3か月を経過しても届出がなかった場合は、失踪宣告の審判がなされ、確定した場合は10日以内に申立人によって失踪者の本籍地(申立人の住所地でも可)を管轄する役所へ届出を行います。
数日後には戸籍に「失踪」と記載されますので、その戸籍を金融機関へ持参すれば通常の相続手続と同様に預金の解約などが行えます。

2.遺産分割って何?

遺産分割とは、複数の相続人がいる場合に、相続人間で相続財産をどの割合で引き継ぐのか決めることをいいます。
まず、遺産分割を行うには相続人の確定と相続財産にはどのようなものが含まれているのかを調査する必要があります。
誰が相続人なのか調査するには、被相続人(亡くなった人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を取得します。

戸籍を集めることによって、被相続人の配偶者・子供・親・兄弟などの情報が分かります。
可能であれば、家系図を作成すると誰が法定相続人なのか分かりやすいのでお勧めです。
戸籍を集めて相続人が確定したら、財産の調査を行いましょう。

被相続人にどのような財産があるのか明らかでない場合において、相続人において把握していない預貯金債権を有している可能性があるときには、被相続人が住んでいた地域の地方銀行やゆうちょ銀行、メガバンクなどに対し、預貯金の有無及び取引履歴の照会をかけると良いでしょう。
当該銀行等に対し照会を受けるには、被相続人の死亡の事実及び照会を行う者が被相続人の法定相続人であることが分かる戸籍謄本などが必要となりますので、事前に照会をかける金融機関にお問い合わせをされてください。

また、不動産については、法定相続人であれば名寄帳が取得できますので、被相続人が不動産を所有していたと考えられる住所地の役所から名寄帳を取り寄せれば、被相続人名義の土地や建物の情報が分かります。

被相続人の財産が分かったら、法定相続人全員で遺産分割協議を行います。
誰が何を相続するのか全員で協議をする必要があります。
相続人の中で1人でも協議に参加していない場合は、遺産分割協議が無効になり、再度協議をやり直すことになりますので、必ず全員で行いましょう。

なお、有効な遺言書がある場合は、法定相続人間で別段の合意をした場合を除き、遺言書の内容に従って遺産分割を行いますので、協議は不要ですが、遺言書に記載のない財産が見つかった場合には、その部分だけ遺産分割協議で誰が相続するのか決める必要があります。

3.遺産分割協議でまとまらなかった場合

遺産分割協議で、誰が相続するか決めることができなかった場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。
調停は、被相続人の亡くなった最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。

なお、申立の際には、(1)被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(2)相続人全員の戸籍謄本(3)被相続人の住民票の除籍(戸籍の附票でも可)(4)相続人全員の住民票(5)収入印紙1200円分(6)予納郵券(管轄の裁判所によって異なりますので確認が必要です。)その他には、不動産があれば登記簿謄本や固定資産証明書などの疎明資料の提出を求められますので、裁判所の指示に従って提出しましょう。

遺産分割調停では、相続人同士の協議が円滑に進むよう裁判所が間に入って協議を成立させます。あくまでも協議のみで行いますので、話し合いでは成立しないこともあります。そのようなときは「調整不成立」となり、家庭裁判所が「審判」でどのように相続させるのかを決定します。

なお、裁判所が決めた審判の内容に不服がある場合は、審判書を受領した日から2週間以内に「即時抗告」をすることが可能です。即時抗告をすると、高等裁判所で再度遺産分割について審理が行われ、改めて誰がどのような財産を引き継ぐのか決定されます。

4.まとめ

以上、相続による財産承継や遺産分割の方法について述べてまいりましたが、身近な方が亡くなったときは、どのようなことから始めたらいいのか分からないと思いますので、適切に必要な手続を進めるためには、十分な調査を行った上、場合によっては弁護士等に相談されるのが良いでしょう。

また、ご家族の死亡時の相続もさることながら、ご自身が死亡する場合についても考えておかれることが望ましいところです。
仲の良かった家族が、相続をきっかけに揉めてしまうこともありますので、ご家族が揉めることがないように、遺言書を作成しておくことをお勧めいたします。

遺言書を作っておけば、ご家族が財産調査に時間をかけることもなく、できるだけ負担をかけずに相続手続きを行うことができますので、遺言書の作成やご自身の財産の承継に関しても、ますは法律事務所や公証役場でご相談されてみてはいかがでしょうか。

電話予約

0120-755-681

Web予約

無料相談は
こちら Zoom等で対応可能です