遺産相続

遺産分割とは~誰がどうやって決めるの?~

2019.04.18

民法では、遺産分割は、「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と定められていますが、実際に相続が発生した場合はどのようにすればいいでしょうか。

1.遺産分割の基準

民法の基準に従うと、会社経営を引き継ぐ子供に事業用資産を、不動産経営を引き継ぐ子供に不動産を相続させることが正当ですが、相続人が複数いる場合は、それぞれが民法で定められた相続分(法定相続分)を有していて、相続人全員が法定相続分を不満なく遺産分割しようとすると、不動産経営を引き継いだ子供に不動産を…というような相続が難しくなるでしょう。

しかし、相続人全員が自由意思で合意することが可能であれば、法定相続分に従わず、自由に遺産分割してもよいとされています。

つまり、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行った上で、実際に相続する相続分が法定相続分よりも少ない相続人や多い相続人が発生する遺産分割協議であっても、全員の意見が一致すれば問題ありません。

ところが、社会での権利意識も高まり、なかなか法定相続分と離れた遺産分割が成立することは難しく、専門家に相談したり代理人として弁護士を入れる相続案件が増えているようです。

2.遺産分割の方法

そもそも遺産分割にはどのような方法があるのでしょうか。

遺産分割の方法は、①現物分割 ②換価分割 ③代償分割の大きく3つに分けられます。

① 現物分割
相続する遺産をその状態のまま分ける方法で、例えば、不動産A、不動産B、現金1000万円、骨董品や貴金属があり、相続人4名(長男、次男、長女、次女)で相続するとします。

この場合、長男が不動産A、次男が不動産B、長女が現金1000万円、次女が骨董品や貴金属を相続するような分割の方法が「現物分割」です。
遺産を現物のまま受け取っており、遺産分割の中で最も簡単で分かりやすい分割方法です。

やり方は簡単ですが、それぞれの遺産は評価額がバラバラでしょうから、不公平な分割になることが多く、相続人間で争いにならないよう気を付けなければいけません。

② 換価分割
現物での分割が困難な相続財産をお金に換価し、相続人間で分割する方法です。

例えば、遺産に不動産Cがあり、相続人2名(長男、長女)で相続するとします。
両者とも不動産Cの取得を望んでいない場合に、不動産Cを売却し、売却した代金を相続人2名が法定相続分に従って分割することを「換価分割」といいます。

不動産を公平に分けることができるので、平等な遺産分割ができます。しかし、換価分割をすることにより、不動産業者への手数料や譲渡税、登録免許税等の実費が発生することや、もし競売での売却となってしまうと希望より低い額での売却となり、想像していたよりも少額しか相続できないこともありますので注意しましょう。

③ 代償分割
特定の相続人が相続分を超える評価額の現物を相続し、他の相続人に対してその代償金を支払う方法です。

例えば、1000万円の価値がある不動産Dを相続人5人で相続するとします。
相続人の1人が不動産Dを相続する場合、不動産Dは1つしかなく、他の4人は何も取得できず不公平な遺産分割になります。そこで、不動産の価格1000万を相続人5人で割り、不動産を取得する相続人が他の4人の相続人に対し、200万ずつ現金で支払う方法を「代償分割」といいます。

換価分割と同じく、不動産を公平に分割することができ、さらに不動産を売却せずに達成できるため、資産を手元に残したまま遺産分割が可能となります。

しかし、不動産の評価方法において相続人間でトラブルが起きる可能性があることや、不動産を相続する人に代償金を支払う資力がないと利用できない方法ですので、慎重に進めましょう。

3.遺産分割協議がまとまらないとき

相続人間での協議でまとまらないときは家庭裁判所に遺産分割調停を求める方法と審判を求める方法があります。

遺産分割調停は、相続人全員で申し立てる必要はなく、各相続人が申し立てることができます。
調停手続きは家事調停委員会(審判官と調停委員)によって進められます。
調停期日に相続人や必要であればその関係者の出頭を求め、それぞれの事情を聴き、話し合いを行います。

調停は遺産分割に関する相続人全員の一致による合意を目的とするものですので、全員一致の意見が得られなければ調停が成立することはありません。
また、遺産分割の内容について格別の基準があるわけではないため、必ずしも法定相続分に従った内容での協議にはこだわりません。

調停手続きで相続人全員が合意し、分割内容が一致した場合は、調停が成立し、調停調書に記載された内容で遺産分割を行います。
調停調書は確定した判決と同じ効力を有しますので、調書によって各機関で相続手続きが可能です。

調停では話がまとまらず、成立の見込みがない場合には調停手続きを終了させ、調停不成立となります。
不成立となったときは、そのまま審判手続きが開始されますので、新たに申し立てをする必要はありません。

しかし、審判の場合は調停と異なり、審判官の判断で遺産分割の内容が決定されることになりますので、審判に移行したときには法定相続分に従った遺産分割になることが基本となります。

法定相続分の実現というところにウェイトが置かれるため、不動産や会社の承継にとって適切な審判が出るという保障はありませんので、十分に注意しておく必要があるでしょう。

4.まとめ

遺産分割の方法や裁判所を通した手続きをご説明しましたが、第三者を入れずに遺産分割協議を行うのはなかなか難しいというのが現状です。
また、相続税を除いて、遺産分割をいつまでに完了させなければならないということが決められていないため、何年も遺産分割協議を続けている場合もあります。

円満に、短時間で相続手続きを済ませるためにも生前に準備を進めておくことが大事だといえます。