遺産相続

相続税~税申告をスムーズに行うには?~

2019.05.02

親族が亡くなったときに、相続手続きをしますが、相続の開始日から相続税申告を終了するまでは10か月という期限が定められています。
期限を過ぎた場合は、相続税に追加して未申告加算税の支払いを求められます。
10か月という期間は長いように感じますが、実際に相続税はどのように計算するのか、スムーズに税申告を行うにはどうしたら良いのか、生前に何かできる対策はあるのかを学んでいきましょう。

1.相続税の計算方法

① 各人の課税価格

最初に、相続や遺贈による贈与によって財産を取得した人ごとに課税価格の計算を行います。

(相続や遺贈で取得した財産の価格+相続時精算課税適用財産の価格-債務・葬式費用の金額)+相続開始前3年以内の贈与財産の価格=各人の課税価格
② 課税遺産総額の計算

課税遺産総額は①で計算した各人の課税価格を合計し、そこから基礎控除額を差し引いた金額をいいます。

課税価格の合計額-遺産に掛かる基礎控除額=課税遺産総額
③ 相続税の総額の計算

相続税の総額の計算は、相続人がどのように遺産分割したかに関係なく、「法定相続人の数」に算入された相続人が、課税遺産総額を法定相続分に応じて取得したものと仮定して各人ごとの取得金額を計算します。そして、各人ごとの取得金額に相続税の税率を掛けた金額を計算し、その各人ごとの金額を合計します。この合計した金額を「相続税の総額」といいます。

④ 各人の納付すべき相続税額の計算

相続税額を算出し、これを各自の具体的な相続分で割り付け、「贈与税額控除額」「配偶者の税額軽減額」「未成年者控除額」「障害者控除額」などの税額控除の額を差し引いた金額が各人の納付すべき相続税額となります。

2.相続財産の評価方法

① 不動産の評価

宅地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。「路線価方式」とは、路線価が定められている地域の評価方法です。路線価とは、道路(路線)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格のことで、千円単位で表示されています。

路線価方式における土地の価格は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後、その宅地の面積を掛けて計算します。

倍率方式」とは、路線価が定められていない地域の評価方法で、その価格は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算します。なお、固定資産税評価額は管轄の役所や役場で確認ができますし、毎年送られてくる固定資産税の通知書で確認できます。

また、山林や田畑は、原則、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算します。
家屋については、固定資産税評価額により評価し、建物が賃貸用であれば借家権割合(国税庁のHPで都道府県ごとに割合が定められています。一般的には3割です。)が控除できます。さらに、賃貸物件の敷地である土地については、借地権や借家権が考慮された貸家建付地として評価されます。

② 株式の評価

上場株式の場合、㋐~㋓の価格で最も低い価格になります。

㋐相続の開始があった日の終値 
㋑相続の開始があった月の終値の月平均 
㋒相続の開始があった月の前月の月平均額 
㋓相続の開始があった月の前々月の終値の月平均額

また、取引評価のない株式や出資は、原則、会社の規模や株主の態様、資産の構成割合などに応じて「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」で評価します。

 

③ その他

預貯金は、相続開始日の残高と相続開始日に解約した場合に支払いを受ける利子の額の合計額で評価し、自動車や骨とう品等の家庭用財産は、類似品の売買価格や専門家の査定を参考にして評価します。
また、保険に関する権利は、相続開始日において解約した場合の返戻金相当額により評価します。

3.相続財産の確定

財産には、①自分で管理している、自分名義の財産②自分で管理している、家族名義の財産③家族が管理している、家族名義の財産 の3つの分類があり、相続財産の範囲を確定できるよう生前から準備しておくことが大切です。
まず、財産が3つのどこに区分されるかを判断し、①②は課税財産として認識しなければなりません。また、③は相続人固有の財産であることを立証できるようにしておくことが必要です。

まずは、財産に何があるのかを正確に把握し、預貯金や不動産、株式、自動車、貴金属などの資料や証明書を集めます。また、通帳は最新のものだけでなく、古いものも保管しておくと良いでしょう。紛失してしまった場合は、金融機関に申請をすると過去10年分の入出金履歴を取り寄せることができます。

また、「贈与」は相続税対策において、シンプルで分かりやすく、とても良い方法ですが、正確な知識に基づかずに行うことでトラブルが多発しています。

「贈与」とは、民法上の贈与契約をいい、あげる側ともらう側がお互い納得した上で成立するものです。
お互いの意思をきちんと確認するために「贈与契約書」を作成し、それぞれが署名捺印しておけば贈与の事実を証明することができます。さらに、契約書に公証役場で確定日付をもらっておけば、贈与の時期についても明確に証明されます。
例えば、祖母が孫に内緒で孫名義の口座に100万入金していたとしても贈与にはならないため、この場合は必ず贈与契約書を作成し、「贈与」であることが明確に証明できるようにしましょう。

4.まとめ

最初にお伝えしたように、相続税申告には10か月間と期限が定められています。相続税申告には時間がかかり、家族が亡くなってから手続きを始めるのはとても大変です。

相続や相続税は生前にどれだけ準備をしていたかで、相続人への負担が全く変わってきます。早いうちからしっかりと準備し、相続税対策に備えましょう。