遺産相続

遺言書の検認手続きはどうやってするの?

2020.03.04

被相続人が、公正証書遺言ではなく自筆証書遺言を作成していた場合、家庭裁判所に提出して遺言書の検認手続きを行う必要があります。
検認の手続きはどのように進めたらよいのでしょうか?

1.遺言書の検認ってなに?

民法では、公正証書遺言を除く遺言書は相続の開始後に家庭裁判所で「検認」の手続きをする必要があると定められています。
「検認」とは、相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正、日付、署名など検認日における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。

この「検認」手続きを経ていない遺言書では、不動産の相続登記や預貯金の名義変更等の執行手続きを行うことができません。
ただし、検認手続きはあくまでも証拠保全としての効果しかなく、遺言書に記載されている内容の有効性・無効性を判断するための手続きではないため注意が必要です。

民法第1004条(遺言書の検認)
1 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

また、民法では遺言書が封印されていた場合、家庭裁判所での相続人等の立会いの上で開封しなければならないと定められています。そのため、遺言書を発見しても勝手に開封することはできません。

民法第1005条(過料)
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

もし開封してしまった場合、5万円以下の罰金を課せられる可能性があります。もし相続人全員が遺言書の内容をあらかじめ知っており、全員がそれに同意していたとしても開封してはならないため、注意が必要です。

2.検認の申立て方法

・検認の申立人
検認の申立人は、遺言書の保管者もしくは遺言書を発見した相続人となります。前項でも述べた通り、遺言書の保管者もしくは遺言書を発見した相続人は、遺言書検認の申立てをする義務があります。
なお、相続人以外の者が遺言書を発見した場合、検認の申立てをすることは可能ですが、申立てをしなければならない義務はありません。

・検認の申立て先
検認の申立てを行う家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

・申立に必要な費用
申立てには、遺言書1通につき収入印紙800円と、郵券が必要となります。郵券の額は申立てを行う家庭裁判所によって異なりますが、「82円切手×(申立人+相続人の人数)」と定められている所が多いです。
また、検認手続き後に遺言書を検認したことを証明する「検認証明書」を申請する必要があり、申請には収入印紙150円が必要です。

・申立に必要な書類
(1)申立書
申立書の書式は家庭裁判所のホームページから取得でき、記載例も見ることができます。申立書には、申立人と遺言者の住所・本籍地・生年月日を記載し、遺言書の保管状況や発見場所等を記載しなければなりません。
また、相続人全員の住所・名前も記載します。記入方法について不明な点があれば、家庭裁判所の窓口に問い合わせをしましょう。

(2)遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
申立時には、相続人確定のために遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍が必要になります。遺言者が遠方に住んでいた場合は戸籍を郵送で申請する必要があるため、検認の申立てを行う前に余裕を持って準備を行いましょう。

(3)相続人全員の戸籍謄本

(4)遺言者の子供(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子供(及びその代襲者)の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
※その他、相続人にどの立場の人が何人いるかによって必要な書類が異なるため、申立てを行う前に必ず裁判所に確認しましょう。

3.検認手続きの流れ

検認の申立てを行い、書類に不備等がなかった場合は、受理されてから約1週間で家庭裁判所から検認期日の日程調整の連絡が入ります。
裁判所によって異なりますが、検認期日は申立てが受理されてから約1カ月後を目安に調整がなされます。検認の期日が決定すると、申立人と相続人全員に家庭裁判所から検認期日通知書が送付されます。

申立人は期日に必ず出席しなければなりませんが、相続人の出席は任意とされています。相続人は検認期日通知書を受け取ったら、同封されている出欠回答書に回答の上、期日までに家庭裁判所へ返送する必要があります。

検認期日の当日、申立人は遺言書の原本と印鑑、身分証明書等を持参します。なお、裁判所によっては別途必要なものを指示される場合があるため、事前に裁判所へ確認をしましょう。

検認手続きは、裁判官が遺言書を開封し、筆跡や捺印の確認を行い、申立人に保管場所や保管方法について確認をします。検認の所要時間は30分程度の場合が多いです。
検認手続きが終わると、検認済みであることを証明する遺言書検認済証明書の交付を請求することができ、申請するとその日のうちに発行されます。

また、検認手続きの後日に家庭裁判所の裁判官が遺言書検認調書を作成します。
遺言執行の手続きの際に遺言書検認調書の掲示が必要となる場合があるため、必要な場合は裁判所に対して検認調書謄本の交付を申請すると、申請から数日後に受け取ることができます。

4.まとめ

被相続人が自筆証書遺言を作成していた場合、被相続人の死後しばらくは法要などで忙しいことが多いですが、相続人の方は家庭裁判所での検認手続きが必要であることを必ず把握しておきましょう。
検認手続きには早くとも1カ月程度の期間が必要であり、遺言執行等の手続きは検認手続き終了後にしかできません。

検認に必要な書類の準備や申立書の作成、期日への出廷等を相続人達で行うのが難しい場合は、検認手続きを弁護士に依頼することも検討してみましょう。