遺産相続

相続税ってどのくらい財産を持っていたら払うの?

2020.01.08

相続により遺産を取得したとき、一体いくら以上だったら相続税を支払う義務が発生するのでしょう。
皆さん誰もが気になるところだと思います。そのためには、相続税について簡単な仕組みを理解しておく必要があります。

1.『基礎控除額』とは

まず、相続税には基礎控除という制度があります。相続人等が取得した遺産の課税価格の合計額から、基礎控除額を控除した残額に対して、相続税がかかる仕組みになっています。

したがって、遺産の課税価格の合計額が基礎控除額以下の場合は、相続税はかかりません。
基礎控除額は、以下の計算式によって計算することができます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人とは、相続することができると法律で定められた人のことです。
上記の式に当てはめると、相続税の基礎控除額は、法定相続人の数ごとに次のようになります。

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円
以降も法定相続人が1人増えるごとに600万円を加算

これを見て課税価格の合計額が3,600万円以下でしたら、相続税が掛からないことはおわかり頂けると思います。

2.相続の対象となる財産一覧

次に、相続税はどのようなものに掛けられるのかみていきましょう。現預金・不動産はイメージできても、それ以外に何があるのでしょうか。また、借金などにはどのようなものがあるのでしょうか。

①プラスの財産
金融資産 現金や預貯金、有価証券(公社債、上場株式、投資信託等)
不動産 不動産 家屋(貸家も含む)、宅地(貸家建付地も含む)、農地、山林など
不動産上の権利 借地権、地上権など
動産 自転車や貴金属、宝石、骨董品などの家財
その他 リゾート会員権やゴルフ会員権、著作権、商標、特許権など

まず、相続財産の代表的なものとしてプラスの財産があります。
土地、借地権、建物、現金、預金、株式等があり、本来の相続財産とも言われます。
ここで注意するところは、著作権や商標など、無形の権利というものも相続財産を構成しているということです。

②マイナスの財産
借金 住宅ローン等の借入金、未払い金など
公租公課 滞納中の所得税や固定資産税、住民税など
葬式費用 通常の通夜、葬儀社や寺に支払う葬式費用一式※香典返しや初七日、四十九日などの法要費用は除く
その他 損害賠償責務など

次にマイナスの財産、つまり相続財産から差し引きできるものを見ていきましょう。

銀行や他人からの借入金や未払い金などの債務が残っていれば、相続人が債務を相続することになります。
債務はマイナスの財産になるため、プラスの相続財産から差し引きができ、これを債務控除といいます。
ただし、差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。

また、保証債務(保証人など)は原則として債務控除の対象とはなりませんが、一定の条件付きで債務控除の対象となる場合があります。
そして、相続を放棄したときは、この債務控除を受けられませんので注意が必要です。

③みなし相続財産
死亡保険金 生命保険金や損害保険金について、相続人に支払われたもの
死亡退職金 退職金や功労金、これに準ずる給与の中で、被相続人の死亡後3年以内に支給確定したもの
その他 生命保険契約や定期金に関する権利など

更に、死亡保険金や死亡退職金のように、祖被相続人が亡くなった日に持っていなかった財産であっても、相続によって、被相続人の死亡の事実により、相続人が受け取ることになる財産は、「みなし相続財産」として相続財産に含めます。
みなし相続財産である死亡保険金と死亡退職金にはそれぞれ一定の非課税枠があります。

死亡保険金の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の人数
死亡退職金の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の人数

もらった生命保険金、死亡保険金については受け取った金額が全て相続税の課税対象となるのではなく、上記非課税枠を超えた金額が課税の対象になってきます。
よって、非課税枠内で死亡保険金又は死亡退職金を受け取った場合には相続税の課税対象からはずれることになります。
この非課税枠を使って、節税対策として役立てることもできるわけです。

④見落としやすい「相続開始前3年以内の贈与財産」

相続開始前3年以内の贈与財産とは、相続人が亡くなられた方から「亡くなられる前3年以内」に他の財産を贈与されていた場合には、その贈与財産を相続財産に加算されることをいいます。
相続税の課税対象となる相続開始前3年以内の贈与財産とは、毎年の贈与税の非課税枠である110万円の枠を活用した暦年贈与や、自宅等を贈与したものです。
この「相続開始前3年以内の贈与財産」で注意して頂きたいのが、相続税の税務調査時には調査官は、必ず、この件を確認するということです。
もう、通帳もどこかに行って無い、黙っていればわからないと思っていても、税務署の権限で必要な通帳は金融機関から確認されています。
必ず申告時には「相続開始前3年以内の贈与財産」がないか確認をしておきましょう。
よって、亡くなられる直前に慌てて暦年贈与を活用して、110万円の非課税枠内で財産の移動を行ったとしても、それが亡くなられる前3年以内であれば相続財産に加算されてしまうのです。

一方で、「相続税開始前3年以内の贈与財産」の対象外となる贈与があります。例えば、教育資金、住宅取得資金、配偶者に対する贈与の非課税制度は対象外となります。
贈与税の非課税制度をうまく活用すれば、相続税の課税対象ではなくなりますので、場合によってはこのような制度を利用されることをお勧めします。

3.最後に

おおまかに相続税が課される財産がおわかり頂けたかと思います。
しかし、これらの相続財産の課税価格としての評価は、被相続人(亡くなられた人)が購入された時の価額ではなく、ほとんどが相続開始の日(亡くなられた日)の時価です。
また、別途不動産等に至っては別の評価方法が存在します。この点に留意の上、対策頂く必要があります。