遺産相続

相続人が預貯金を使い込んだ!どうすればいいの?

2019.12.25

他の相続人が被相続人(亡くなった方)の預貯金を使い込んでいた場合、そのまま遺産分割の話し合いを進めてしまうと、相続人同士の間に不公平が生じてしまいます。

それでは、公平に遺産分割を行うには、どのように手続きを行えば良いのでしょうか?

1.預貯金の使い込みについて

一般的に、被相続人が亡くなるまでの間、自身で金銭管理を行っていれば預貯金の使い込みというトラブルは発生しません。亡くなる前の段階で親族等に金銭管理を依頼している場合に発生するケースが多くみられます。

遺産分割の話し合いの際に、被相続人の通帳を確認してみると、普段からあまりお金を使わない生活をしていたにも関わらず、何度も纏まった出金がある場合や、被相続人が金銭管理能力を失った時期以降に必要以上の出金が確認される場合があります。

これらに該当するような不審な出金が確認されると、誰が出金して、何のために使用したのか?と、遺産分割協議において問題になるケースがあります。

他の親族が使い込みをしたのであれば相続人は返還を求めることが可能です。

どの様な過程を経て、どの様な権利に基づいて返還を求めるのか、解決までの流れをご説明致します。

2.調査から解決までの手順

預貯金の使い込みを調査する場合、様々な資料収集が必要になります。

大きな流れとして、①被相続人の取引履歴を取得し、②取引履歴等の検証の手続きを行います。

(1)被相続人の取引履歴を取得する

相続人は相続権に基づいて、被相続人が預金口座を保有していた各金融機関に対し取引履歴などの口座情報について開示を求めることが出来ます。

各金融機関により資料の取得のための必要書類は異なりますが、一般的には、相続人である事を示す戸籍、亡くなられた方の死亡が確認できる戸籍、印鑑証明書、身分証明書等の書類の準備が必要となります。必要書類については、金融機関によって異なるため、事前に問い合わせを行うことをお勧めします。

被相続人に関する情報については、相続人であれば問題なく開示されます。

しかしながら、送金先の口座情報を開示するとなると、第三者の個人情報となるため、たとえ相続人からの依頼であっても金融機関は情報開示に応じません。送金先を確認したい場合には、弁護士などの専門家を通した開示請求を行うことにより、金融機関から回答を得られる可能性があります。

(2)取引履歴等の検証

取引履歴等の資料取得が完了したら、次に、使途不明金や多額の送金履歴など、不審な取引をピックアップしていきます。

被相続人の過去の生活状況等も含め、不自然な点が無いか検証を行います。

法的に請求が可能となる取引内容の有無については、専門的な知識が必要となるため、専門家に相談をしながら検証を行うことをお勧めします。検証結果が出たら相続人同士で話し合いを行いましょう。

(3)返還請求

返還請求について相手との協議で解決に至らない場合には、裁判所を利用して解決を図ることになります。具体的には、遺産分割調停の申立、不当利得返還請求訴訟、又は、損害賠償請求訴訟の提起といった手続きが考えられます。

相続人同士だけで、話し合いによる解決を図ろうとして協議や調停を行うと、感情の問題が前面に出てしまうため、紛争が長期化してしまうケースが多々あります。

感情論に左右されず建設的な協議を可能にするためには、代理人を立てて、対応されることをお勧めします。

3.返還請求を求められた場合

被相続人の金銭を管理していた場合、遺産分割協議の際に、他の相続人から使い込みや特別受益の請求を受けることもあります。

返還請求を受けている出金の使途が適切なものであるなら、他の相続人から指摘を受けた際に適切な出金であったことを主張する必要があります。主張を裏付けるために、客観的な証拠(領収書・贈与契約書など)の準備も必要となります。

4.まとめ

預貯金の使い込みが疑われる場合、使い込みを立証し、解決をおこなうまでには、多くの資料収集や検証などが必要になります。

どの程度の資料があれば良いのか、それをもとにどういった請求方法があるのか、的確に判断するには実務経験の豊富な専門家に相談する必要があるでしょう。

また、被相続人となる方の財産を管理されている方は、トラブルを未然に避けるためにも、領収書などはきちんと保管し、必要な出金であることを証明できるように備えておきましょう。