遺産相続

法定相続人、法定相続分って何?これを変えるには?

2020.01.13

いざ相続をする、となった場合にまず直面するのは、「いったい誰が相続人なのか」という問題ではないでしょうか。

なんとなく「家族」というぼんやりしたイメージはあるかもしれませんが、同じ「家族」でも、被相続人との関係性によって相続の割合等はずいぶん変わってきます。

1 法定相続人とは

被相続人が死亡した際に相続する権利がある人を、「法定相続人」と呼び、この権利は民法で定められています。

(1)配偶者

被相続人の配偶者は、常に相続人となります(民法890条)。
ただし、被相続人と婚姻関係の無い内縁の妻(いわゆる事実婚)や愛人については、相続権が認められていません。

(2)子

被相続人の子がいた場合には、配偶者と同様に、常に相続人となります(民法887条1項)。
なお、ここでいう「子」は、被相続人とその配偶者の子だけではなく、被相続人の養子や、被相続人と内縁の夫・内縁の妻・愛人の間の子であっても同様です。
仮に被相続人に離婚歴があり、前の配偶者との間に子があった場合には、この子も相続人となるため注意が必要です。

(3)両親

被相続人に配偶者や子が全くいない場合には、被相続人の父母が相続人となり、被相続人の父母がおらず祖父母が健在である場合には祖父母が相続人となります。

(4)兄弟姉妹

被相続人に、配偶者、子、父母及び祖父母(上記⑴ないし⑶)がいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。

2 法定相続分とは

法定相続分とは、法律で定められた相続財産の受取割合のことを指します。
これは、被相続人の財産を、相続人の人数で単純に等分するわけではなく、被相続人と相続人の関係性によって受け取る財産の割合に差が設けられています。
基本的に、より被相続人に近しい相続人ほど、他の相続人より受取割合が高くなるように定められています。

(1)配偶者の相続分

配偶者の相続分は、基本的に財産のうち2分の1です。
しかし、子や被相続人の両親、被相続人の兄弟姉妹がまったく存在しない場合には、配偶者がすべての財産を相続することになります。
そして、被相続人に子がおらず、親が1人存在している場合には、配偶者が3分の2、親が3分の1との割合となります。

(2)子の相続分

①配偶者が存在する場合
 配偶者の相続分を除いた割合(1-2分の1)を、子供の人数で割ります。
 例)子供が3人の場合:1人あたりの相続分は2分の1÷3=6分の1

②配偶者が存在しない場合
 財産の全てを、子供の人数で割ります。
 例)子供が2人の場合:1人あたりの相続分は1÷2=2分の1

(3)両親・祖父母の相続分

①配偶者が存在し、子がいない場合
 配偶者の相続分を除いた割合(1-3分の2)を、相続人の数で割ります。
 例)被相続人の両親が存在していれば、1人あたりの相続分は3分の1÷2=6分の1となります。

②配偶者も子も存在せず、被相続人の両親が健在である場合
 両親がそれぞれ2分の1ずつとなります。

③配偶者、両親、子のいずれも存在しない場合
 被相続人の祖父母のうち、存在している人数で割ります。
 例)祖父母が合計2名の場合、1人あたりの相続分は2分の1となります。

④配偶者が存在せず、両親と子2人が存在する場合
 両親は相続せず、子がそれぞれ2分の1ずつの割合で相続します。

(4)兄弟姉妹の相続分

①配偶者、被相続人の兄弟2名が存在し、子がいない場合
 配偶者が4分の3を相続し、残り4分の1を被相続人の兄弟の人数で割ります。よって、この時兄弟の1人あたりの相続分は4分の1÷2=8分の1となります。

②配偶者、子のいずれもおらず、被相続人の兄弟姉妹が4人存在する場合
 兄弟姉妹の人数で割った割合をそれぞれ分割します。よって、4人いる場合には1人あたりの相続分は4分の1となります。

3 法定相続分を変える方法

質問事例
私の父が先日亡くなったのですが、遺言書は無い様子です。こういった場合は、民法に定められている法定相続分に従った割合で分割をしなければならないのでしょうか?遺産は自宅とその土地であるのに対し、相続人は母、私、弟の3人なのでどのように分割すべきか悩んでいます。ただ、3人の意向としては、両親がずっと住んでいた自宅・土地なので母がこのまま引き継ぐのが最も良いのではないかと話し合っているところです。

この民法上の相続分の規定は任意規定であるため、必ずしも従う必要はありません。あくまでも、遺言書が作成されていない場合に備えて、遺産分割割合の基準を示す役割を果たす規定なので、この割合をしっかり守って分割しなければならない、という趣旨ではないのです。
つまり、相続人間で遺産分割協議を行い、双方に合意があれば、相続分とは全く異なる分割方法でも問題ありません。

上記事例で考えてみましょう。
相続人である「私、母、弟」の間で、相続財産である自宅・土地について、母がすべて相続するということで合意できそうな状況です。
こういった場合であれば、母が自宅・土地(=遺産のすべて)を相続し、私と私の弟は相続割合が0ということになります。

ただし、双方の話し合いでまとまらず、裁判所で遺産分割協議をすることになった場合には、あくまでも法定相続分を基準に分割が進められるので、その点は注意が必要です。

4 まとめ

法定相続分は、相続人として、被相続人とどういった関係性の人が存在しているかによって変動するため、注意して確認する必要があります。また、法定相続分以外にも、特別受益や寄与分といった、相続分が変更される事由も存在するため、なかなか単純に分割できない場合もあります。
後から揉めないためにも、間違いが起きないよう慎重に確認していく必要がありますね。