遺産相続

遺言書がある場合の相続手続き

2019.12.16

遺言書は、相続において非常に重要なものとなります。遺言書には3種類の作成方法があり、種類によってその後の相続手続きに違いがあります。
今回は、遺言書の種類とその後の手続きについてご説明いたします。

1.はじめに

相続が発生して、一番初めに確認すべきことは遺言書の有無です。遺言書がある場合、遺言書は被相続人の最後の意思表示となるため、可能な限りその意思が尊重され、相続がおこなわれることになります。

この「遺言書」には①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言の3種類があり、種類によってその後の相続手続きが変わってきます。

2.3種類の遺言書の相続手続きについて

《自筆証書遺言》
自筆証書遺言の場合、たとえ家族であっても勝手に開封することはできません。これは、遺言書の内容が発見者によって改ざんされる事を防止すると同時に、他の相続人から改ざんを疑われることを避ける為です。
そのため、自筆証書遺言を発見したら、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所において検認の手続きを執らなければいけません。

仮に検認をせず勝手に遺言書を開封してしまった場合は、5万円以下の過料が課せられる恐れがあります。
しかし、誤って遺言書を開封しても遺言書が無効になるわけではないのでその場合でも必ず検認の手続きをとりましょう。

《公正証書遺言》
公正証書遺言とは被相続人が公証人と2名以上の証人のもと作成した遺言書のことです。公正証書遺言は家庭裁判所での検認の手続きは不要です。
よって、公正証書遺言は、その内容に基づいた相続手続きであれば直ぐにでも実行できます。

また、公正証書遺言を紛失してしまった場合でも、公証役場に原本が保管されているため、相続人等の利害関係人であれば公正証書遺言を再発行してもらうことが可能です。

《秘密証書遺言》
秘密証書遺言は遺言者が遺言内容を記載した証書に署名押印後に封をし、公証人と2人以上の証人に封をしている遺言書の存在を証明してもらうという形式をとる遺言書です。
遺言書の内容を誰にも知られずに遺言書を作成することができます。秘密証書遺言は、自筆証書遺言と同様、家庭裁判所において検認の手続きが必要となります。

3.検認について

検認についてもう少し詳しく説明します。
遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し、「検認手続き」をする必要があります。これは民法1004条に規定されています。

検認の目的は遺言書の偽造や変造を防ぐことにあります。
また、一番初めに見つけた人が他の相続人から「遺言書を偽造、変造したのではないか」と疑われるのを防ぐ目的もあります。ゆえに検認は遺言の有効、無効を判断する手続きではなく、検認を受けずに遺言書を開封したからといって、遺言書が無効になるわけでもありません。

―検認の流れ―
①家庭裁判所に検認の請求をする
②家庭裁判所から検認を行う日の連絡がくる
③指定された日に家庭裁判所に行き、検認に立ち会う
④遺言の内容、日付を確認する
⑤検認が完了したら遺言書が返還される
※①~⑤の手続きを完了するまでに約1ヶ月を要します。
※相続人が検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任されており、相続人全員が揃わなくても検認手続きは行われます。

4.遺言執行者って?

遺言執行者とは、遺言書の内容に従い遺産分割手続きを進める人のことです。
遺言執行者には、相続人、親族など(未成年者、破産者は除きます)が就任することも多いですが、近年では行政書士や弁護士などの専門家が遺言執行者に指定されるケースも多くなっています。

遺言執行者は相続財産の管理、その他遺言書の内容を実現するために必要な一切の行為について権限を有しているため、遺言に基づく不動産の名義変更手続きは遺言執行者が単独で行う事ができますし、遺産の不動産に不法に占拠している人がいれば、自ら当事者となって明渡しを求め裁判を起こすこともできます。

ーまとめー

5.おわりに

日頃、よく耳にする「遺言書」ですが、遺言書には3種類あり、家族であっても遺言書を勝手に開封してはいけないこと、公正証書以外の遺言書は家庭裁判所で検認の手続きをとらなければならないことなど、あまり知られていないことがたくさんあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

また、基本的に遺言執行者には誰でもなれますが、遺言書の内容によっては相続後の手続きに専門知識が必要になることもあります。遺言書や、遺言執行者については専門家に相談することをお勧めします。