遺産相続

遺産の分け方にはいろいろあるって本当?

2020.01.13

遺産と一口にいえど、その種類は現金、土地、有価証券等、一つの形には限られません。
そして、相続人の人数や状況に対応する形で残されるわけでもありません。そんな時、相続人の希望に応じて遺産分割を進める手段があるのです。

1 遺産分割の手段

遺産分割を実際に行うとなった場合、遺産の内容によっては不動産等の分割しづらいものや現金といった分割しやすいものまで、さまざまな性質の遺産が対象となる可能性があります。

2 現物分割

現物分割とは、相続財産を元々の状態のまま分割することを指します。

例えば、相続財産として

・土地・・・3つ
・建物・・・1つ
・預貯金口座・・・4つ
・車・・・1台

があり、相続人は被相続人の子供2人だった場合、

・兄・・・土地3つ、車1台
・妹・・・建物1つ、預貯金口座4つ

といったように、相続財産の形状や性質を変えずに相続することです。
恐らく、遺産分割という言葉を聞いたときに最も思い浮かべやすい方法がこちらではないでしょうか。

3 代償分割

代償分割とは、1人の相続人が相続分より大きい財産を取得することとなった場合、法定相続分を超えた部分について金銭を他の相続人に支払うことで相続分を保つ方法です。
例えば、相続人が被相続人の妻及び子3人で法定相続分通りに遺産分割をすすめることとなった場合、相続分は妻が2分の1子が4分の1ずつとなります。

子の1人が相続財産の総額の4分の1を超える土地を相続する事となった場合、その代わりに、「土地の価額―相続財産の総額の4分の1」の金員を他の相続人に支払います。

4 換価分割

換価分割とは、現金以外の相続財産を売却などによって金銭に変え、これを実際に分割するという方法です。
例えば、相続財産が建物1つのみで、相続人が3人いた場合に、この建物を売却して、売却金額を3人で分割するといったケースが想定されます。

5 分割方法のメリットとデメリット

(1)現物分割のメリット

現物分割は、「相続財産を元々の状態のまま分割する」ことでした。
この方法を採ることによるメリットとしては、

・それぞれの相続財産について誰が相続するのかが明確であるため、後から争いになりにくい
・換価した場合等には売却金額の計算といった手間が生じるが、相続財産を元々の状態のまま分割するため、こういった手間が一切生じない

が考えられます。

(2)現物分割のデメリット

現物分割をすることで生じるデメリットとしては、

・相続財産の一部に価値が偏っていた場合(1つの土地だけが極端に価額が高い等)等に、相続人間の公平性を保つことが難しい

が考えられます。

(3)代償分割のメリット

代償分割のメリットとしては、

・相続財産の数が相続人の数に対して少ないとき等に、相続人間の公平性を保つ方法が金銭の支払いであるために、それぞれの相続人が取得する財産を調整しやすい
・相続人が2人に対して相続財産が土地1つだけで、土地の売却はしたくないが2人で共有も望まない、といったケースに対応できる

というメリットが考えられます。

(4)代償分割のデメリット

代償分割のデメリットとしては、

・相続財産が不動産・動産の場合、他の相続人に対して代償する金額の算定方法等で争いになる可能性がある
・相続財産を取得した相続人が、他の相続人に対して金銭で代償することが必要となるため、一定の資力が求められる

が挙げられます。

(5)換価分割のメリット

換価分割のメリットとしては、

・相続財産のすべてを金銭に変えることで、相続人間での分割の計算がやりやすくなる

というメリットがあります。

(6)換価分割のデメリット

換価分割のデメリットとしては、

・不動産、動産の場合は売却先を探す等の作業が発生してしまう
・不動産や有価証券の場合は、売却するタイミング次第で財産の量が変わってしまう可能性がある

といったデメリットが想定されます。

6 どの分割方法を選ぶべきか

遺産分割の方法は、これまでに上げた現物分割・代償分割・換価分割のどれを選ぶべきかは基本的に相続人が判断して決めることができます。
5の中で上げたそれぞれの方法のメリット・デメリットから、以下のようなパターンが考えられます。

・出来るだけ手間を無くして遺産分割を進めたい
・もともとの財産の形を維持したい
・相続財産の種類によって相続人間に多少の不公平が発生しても構わない

→現物分割

・もともとの財産の形を維持したい
・代償することが可能な資力を相続人が有している
・代償する際の相続財産の評価方法について争わない

→代償分割

・財産の形にこだわりが無い(先祖代々の土地を残したい等の希望が無い)
・換価するために発生する手間(売却の手続き等)が気にならない
・換価することによって発生しうる相続財産の価値の変化が気にならない

→換価分割

どの分け方が最も適しているかは、実際の状況を踏まえて、相続人間でしっかり話し合って、決めると良いでしょう。

7 まとめ

ここまで、遺産分割について「現物分割」「代償分割」「換価分割」と3つの方法を見てきました。

遺産分割には1つとして同じ状況は存在しない性質のものですし、ケースによっては不動産といった大きな価値のある財産の動きを伴うものとなります。

また、大きな金額が動く場合や相続人間の仲の問題等、実際に分割を進めるにあたっては様々な問題に直面する可能性が十分にあります。

どんな方法があるのかを知っておくことも、こういったトラブルを回避することに役立つかもしれませんね。