遺産相続

代襲相続って知っていますか?

2019.12.02

一般的に、親の一方が亡くなったときの相続人は、もう一方の親及びその子供となります。

しかしながら、さまざまな事情によって、本来相続人であるべき子供が親より前に死亡してしまうケースもあります。

こういったケースにおいて、この子供が有していた相続分はどのような扱いになるのでしょうか?

1 代襲相続とは

相続が発生するとき、本来であれば相続人となるはずであった人(例えば、被相続人の子や兄弟姉妹)が、民法上で定められた理由により、相続をすることが出来ない場合があります。

その時に、その相続人に代わって、この相続人と一定の関係にある人が相続する事を認めた制度が「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」です。

2 代襲相続の発生する要件

(1) 代襲原因

代襲の原因としては、民法887条2項に定められる3つが挙げられます。

①相続の開始以前に、相続人となるべき子・兄弟姉妹が死亡したこと
相続人となるべき人が死亡する原因としては、病気の他、事故や災害等が想定されます。特に事故や災害の場合、被相続人と同時に相続人となるべき人が死亡したと推定される(民法32条の2)ケースがあるため、「相続の開始前」ではなく「相続の開始以前」が要件となっています。

②相続人が、相続欠格事由よって相続権を失ったこと
民法891条には、相続の欠格事由として、5つの事由が定められています。

ア 故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せられた者
イ 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者
ウ 詐欺又は脅迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更することを妨げた者
エ 詐欺又は脅迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者
オ 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者

また、これらの欠格事由が相続開始後に生じた場合であっても、相続権の喪失の効果は相続開始時に遡るため、代襲相続が認められます。

③相続人が廃除されたことにより相続権を失ったこと
民法では、遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者)が、被相続人に対して虐待や重大な侮辱を加えた等の場合、被相続人は、その推定相続人を相続人から廃除をすることを家庭裁判所に請求することができると定めています。

また、相続開始後に相続人廃除が確定した場合であっても、廃除の効果は相続開始時に遡るため、②の相続欠格事由と同様に、代襲相続が認められます。

なお、相続放棄は代襲の原因となりません。よって、例えば相続人の1人が相続放棄を行った場合、孫以下の直系卑属は相続人とはならず、第2順位の直系卑属が相続人となるため注意が必要です。

(2) 被代襲者の要件

被代襲者とは、上記(1)の①~③に該当する、被相続人の子または孫、及び被相続人の兄弟姉妹です。

なお、被相続人の孫についても代襲原因が発生した場合には、孫の子(被相続人の曾孫)が「再代襲相続」をすることになりますが、被相続人の兄弟姉妹に同事情が発生したときには、その子(被相続人の甥・姪)までしか代襲相続が認められません。

 

また、上記に加えて、下記の要件を満たしていることが必要となります。

①被代襲者が子、又は孫の場合:代襲者は被相続人の直系卑属であること
なお、相続人である子が、相続人の養子である場合には、当該養子縁組前に出征した子については被相続人の直系卑属には当たらないため、代襲相続をすることができません。

②相続開始時に直系卑属であること
代襲者は、相続開始時において、少なくとも胎児として存在していれば、代襲者として認められます。言い換えると、被代襲者が相続権を失った時点において存在していることは要しません。
よって、相続人である人に代襲原因が発生した後、相続開始までに懐胎もしくは出生した子や、養子になった子も代襲者となります。

③被相続人及び被代襲者との関係で、相続欠格者又は被廃除者ではないこと
被代襲者との関係で相続権を失った者は、代襲者となることはできません。

3 代襲相続の範囲

(1) 被相続人の養子

被相続人の養子は、特別養子縁組であれば通常の実子として扱われます。一方、普通養子縁組の場合は、嫡出子としての身分を取得した養子として扱われることになります。

(2) 養子の連れ子

①養子縁組前に出生した場合
被相続人(A)と養子(B)の間には、養子縁組の日から法定血族関係を生じます。しかし、養子縁組前に出生した養子の子(C)に関しては、当然に親族関係を生じるわけではないため、このCはAの相続についてBからの代襲相続をすることができません。

②養子縁組後に出生した場合
養子縁組後に出生した養子(E)の子(F)は、被相続人(D)の嫡出子の子という扱いになります。よって、出生した時点から被相続人と親族関係を生じるものであるため、代襲相続権を有します。つまり、FはEを代襲してDの相続にかかわることが可能と言えます。

(3) 被相続人の兄弟姉妹の子

被相続人の兄弟姉妹からの代襲相続は、「被相続人の兄弟姉妹の子」の代までに限られており、いわゆる「再代襲」は認められていません。

4 代襲相続における相続分

【事例】私の父方の祖母が最近亡くなり、遺産相続の相談を相続人で行うことになりました。私の父は3人兄弟で、姉A、父、弟BのうちAと父が既に亡くなっています。Aには4人子供がいて、私は一人っ子です。そして、父方の祖父はまだ健在です。
この場合、誰がどのような割合で相続をするのでしょうか?

代襲相続では、原則として、「被代襲者の有していた相続権を代襲相続人がそのまま承継」します。
よって、基本的には、被代襲者の持っていた法定相続分を代襲者全員で承継し、人数に応じて等分して取得するということになります。
上記事例の場合を、順を追って考えると、

相続人:父方の祖父(相続分2分の1)
    B(相続分3分の1)
    Aの子4人(代襲相続人:1人あたりの相続分は12分の1)
    私(代襲相続人:相続分3分の1)
ということになります。

なお、被代襲者が特別受益等を受けていた場合には、相続分を具体的に算定する際に特別受益分が考慮されるなど、代襲相続人は被代襲者の有する全ての権利を承継する内容となるので、代襲者の希望に沿って変更することはできないため、注意が必要です。