遺産相続

遺産分割協議書ってなに?

2019.12.01

「遺産分割協議がまとまったら遺産分割協議書を作成する」ということを聞いたことがあるけど、遺産分割協議書って必ず作成しなければならないの?また、どのように作成したらいいの?
このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

今回は、遺産分割協議書について、その作成の前にやっておくべきことと、作成時の注意点についてご説明します。

1. 遺産分割協議書って?

 遺産分割協議書とは、相続人全員で遺産分割協議を行った結果をまとめた書面のことです。遺産の分割方法及び金額について、相続人全員が合意したことを証明する意味があります。

 そもそも、遺産分割手続きとは相続人全員の合意によって行われる手続きであり、合意を形成する手段は相続人らの自由とされています。一般的には、相続人全員が一同に集まり協議する場合が多いですが、相続人の人数が多い場合や、遠隔に住んでいる相続人がいるため集まることが難しい場合、又一度も会ったことがなく相続人同士の面識が全くない場合等、直接協議を行うのが困難な場合は電話や書面を通して協議を進めることも可能です。

 そして、相続人全員の間で合意が成立したら、合意内容に不満を持つ相続人が協議を蒸し返したり、協議に参加しなかった等の主張をしたりしないように、協議内容を証明するための遺産分割協議書を作成するのが一般的です。

 遺産分割協議書は、必ず作成しなければならないというものではありません。しかし、不動産の相続登記や相続税申告、また預貯金の払い戻し手続き等の相続手続きの際に、遺産分割協議書が必要になることがあります。

 相続手続きを円滑に進めるため、また相続人間でトラブルになるリスクを避けるため、遺産分割協議を行った後は出来る限り遺産分割協議書を作成しておいた方が安心です。

 

2. 遺産分割協議書の作成前にやること

 遺産分割協議書に協議内容を正確に記載するため、遺産分割協議書作成の前に以下の項目を必ず確認しておきましょう。

(1) 相続人を確定させ、その意思を確認する

 遺産分割協議書は相続人全員の合意がなければ無効となってしまうため、最初に相続人が何人いるのかを確認しなければなりません。そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集め、全ての相続人を特定する必要があります。

 今まで相続人は配偶者と子供だけだと思っていたが、実は被相続人が過去に結婚していて子供がいた場合、前妻との子供も相続人に含まれます。

 このように、戸籍を確認して初めて相続人が他にもいることが判明するケースもあるため、必ず被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認しましょう。

(2) 相続財産の内容を確認する

 相続人が確定したら、次は相続財産の確認が必要です。遺産分割協議は相続人全員の合意があれば自由な内容で行うことが可能なため、不動産についてのみ協議を行い預貯金については法定相続分通りに分割するといった協議を行うことも可能です。

 しかし、後に現在判明していない相続財産が発見され、これをめぐって相続人間でトラブルになることがないよう、遺産分割協議を行う段階で全ての相続財産を特定しておくことが望ましいです。

 具体的には、相続財産の内容によって以下の方法で調査することができます。

・ 不動産
役所で被相続人名義の固定資産評価証明書を取得すると、被相続人の所有している不動産及びその固定資産評価額を確認できます。不動産の正確な情報を把握するため、法務局で不動産の登記簿謄本を取得しておきましょう。

登記簿謄本は、不動産会社の無料査定を行う場合や、後の相続税申告の際にも必要となります。

・ 預貯金
預貯金の残高は、金融機関で発行される残高証明書で確認することができます。残高証明書には預貯金のみでなく借入金の残高も載っているため、被相続人の借入金も確認することができます。

また、被相続人の口座の支店や口座番号が不明な場合は、金融機関で照会を行うことが可能です。

3. 遺産分割協議書作成の注意点

 遺産分割協議書を作成する際は、以下の点に注意して作成しましょう。

(1) 被相続人及び相続人全員の、氏名・本籍・住所・生年月日・被相続人との続柄等を明確に特定する。
(2) 氏名・住所は、住民票や印鑑登録証明書の通りに記載する。
(3) 相続財産の内容を正確に記載する。
  不動産の場合は、登記簿謄本や権利証に照らして所在と地番・家屋番号を正確に記載する。
  預貯金や有価証券などは、通帳や証券に照らして正確に記載する。
(4) 各相続人は直筆で署名し、実印で捺印の上印鑑登録証明書を添付する。
(5) 相続人の人数と同じ通数を作成し、各相続人が1通ずつ手元に保管する。
(6) 協議書が複数枚にわたる場合は、各用紙の間に全相続人の契印をする。
(7) 現在判明されていない相続財産が今後発見された場合、誰にどのように分配するか、若しくは再度相続人全員で協議を行うのかについても記載する。

 遺産分割協議書への署名の際に、万が一訂正が必要となった場合は、訂正箇所に二重線を引き上から訂正印を押し、空いている箇所に正しい内容を記載します。また、押印の際に実印の淵が欠けてしまった場合や内側の文字部分が欠けてしまった場合は、隣に再度押印しましょう。
 

 また、遺産分割後の相続手続きの際に、金融機関や証券会社等では遺産分割協議書だけでなく各社専用の様式の書類に署名捺印する必要がある場合があります。

 あらかじめ金融機関や証券会社等に確認を行い準備しておくと、遺産分割協議書の作成時に同時に準備することが可能です。

4. まとめ

 遺産分割手続きをスムーズに行うために、遺産分割協議書を正確に作成することは非常に大切です。

 遺産分割協議書の作成を誤ってしまうと、協議書が無効になってしますため、作成方法がわからない場合や作成に不安な点がある場合は早めに弁護士に相談しましょう。