遺産相続

相続税~相続税申告までのタイムスケジュール~

2019.06.20

相続税の申告に期限があることを知っていますか?決められた期限までに相続税申告や納税を済ませておかなければ延滞税がかかる場合があります。相続税申告までのスケジュールや注意しなければならない点を学んでいきましょう。

1.相続税の申告期限

相続税申告書の提出は、相続が開始されたことを知った日の翌日から10か月目の日が期限となります。つまり、被相続人が亡くなったことを知った日から10か月以内に相続税申告を行わなければなりません。
申告期限が土日祝日の場合はその翌日(土曜日の場合は月曜日)までとなりますので、例えば、被相続人が5月28日に亡くなった場合、申告期限は3月28日で、3月28日が日曜日の場合は3月29日が期限となります。

「被相続人が死亡した日」と「相続が開始されたことを知った日」は同じ意味のように感じますが、状況によって日にちが違ってくる場合があります。親子の仲が悪く、何年も会っていないようなケースでは、亡くなったことを半年後に知ることもあるでしょう。また、海外に行っていて、亡くなったことを被相続人の死亡日に知ることができない場合もあります。
被相続人が亡くなった日から申告期限を計算すると、相続が開始されたことを知らない間に申告期限を迎えてしまう人が出てくる可能性があります。そのため、公平を期すために、相続税の申告期限の起算日は、「相続が開始されたことを知った日の翌日」からとされています。

補足ですが、相続税申告書は、被相続人が亡くなったときの住所地を管轄する税務署に提出します。間違えて相続人の住所地に提出してしまうことがありますので気を付けましょう。

2.遺産分割が終わっていない場合

では、遺産分割が相続税申告期限迄に完了していない場合、相続税申告はどのようにすればいいのでしょうか。
遺言書がない場合、遺産分割協議によって各財産(遺産)の取得者が決定するまでは、法定相続分の割合による相続人全員の共有状態となります。相続人同士で話し合いを行い、まとまれば法定相続分とは異なる遺産分割が可能ですが、必ず相続人全員の一致が必要です。

また、遺産分割を請求する権利は時効が定められていないため、例えば、20年後に遺産分割をすることもできます。そのため、何十年もかけて遺産分割協議を続けている方もいらっしゃいます。相続税申告の期限は「相続が開始されたことを知った日の翌日から10か月目の日」と定められているため、遺産分割がその日までにできなかったとしても相続税の申告をしなければなりませんし、もちろん相続税も払わなければなりません。

そのような場合は、相続人が財産(遺産)を法定相続分取得したことにして相続税の計算を行い、税金を納付します。しかし、相続税申告後、遺産分割がまとまり、実際に取得する財産(遺産)が法定相続分よりも少なかった場合は、税金を多く納めすぎたことになります。

その際には「更正の請求」という手続きで、多く納めすぎた相続税の還付を行います。逆に、法定相続分よりも多く財産(遺産)を取得した場合は、「修正申告書」を提出し、不足している相続税を払わなければなりません。「更正の請求」の期限は、遺産分割が完了した日から4か月以内と定められていますが、「修正申告書」の提出には期限がありません。

修正報告書の提出期限は定められていませんが、納付しなければならない税金を納付しない場合は延滞税を払わなければなりませんので、遺産分割が終わったら4か月以内に手続きを済ませるのが良いでしょう。

3.相続人が困らないために

以上のとおり、遺産分割が相続税申告期限までに完了していない場合、申告手続上手間が発生してしまいます。では、被相続人側で、相続開始後に相続人が困らないために、何か対策を講じることはできないのでしょうか。

被相続人の死後に、配偶者や子供など身内で争いが起きないように生前贈与や遺言書を作成しておくことはとても大切です。しかし、遺言書などの準備をしていても遺留分を侵害することはできず、「こんな遺産分割をしてほしい」という被相続人の考えが考慮されず、家族で揉めるケースが多くあります。

なお、遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人のために、法律で保障されている一定割合の相続分のことです。遺言によって、この遺留分より少ない相続分しか与えられなかった相続人は、遺留分減殺請求をすることにより、遺言の中で遺留分を侵害している部分の効果を覆すことができます。そのようなことが起きないためには、元気なうちに財産がどれくらいあるのか、相続人に財産を残すにはどのような方法がベストなのかしっかりと対策を考える必要があります。

何も対策をせずに放っておくと、残された相続人たちがとても苦労することになり、スムーズに遺産分割・相続税申告を行うことができません。税金対策も大切なことですが、まずは財産を誰に引き継ぐか検討し、もらった相続人が、被相続人の死亡後に困らないような遺言書を作成することが望ましいでしょう。また、相続人は、相続税や贈与税がいくらかかるのかなど大まかな金額を把握し、資金の準備をしておく必要があります。

4.まとめ

相続税申告をスムーズに行うには事前準備がとても大切です。生前にしっかりと準備をしていたとしても、法律や税法の改正を受けて、思っていたように相続手続きが進まない場合もあります。

何よりも、残された家族に負担がなく、簡単に相続手続きを進めてもらうために、まず現状の財産を把握し、急に相続が発生した場合に備えておく必要があります。家族間争いやトラブルは最も避けたい問題です。うちは大丈夫と思っていても、何が起きるか分からないため、事前に準備をしておくことを強くお勧めします。