遺産相続

贈与税~税務上の贈与の取扱い~

2019.05.22

教育資金贈与の非課税措置により、子や孫が祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合、贈与税を非課税にする制度があります。もともと、2019年3月31日までと期間が定められていましたが、この非課税措置は2年間延長される事となり、節税対策として注目されています。では、贈与であればどのような場合も必ず非課税になるのでしょうか?

この非課税措置は、極めて多額の節税となることから、使える家庭は使うべきなのですが、かなり手続きが煩雑ですので、一つ間違えると非課税の恩恵を受けられなく成るおそれがあります。しっかり理解して、必要に応じて専門家に相談しながら進めましょう。今回は、その前提として贈与一般についてお話させていただきます。

1.扶養義務者からの援助

扶養義務に基づいて扶養義務者が子供や孫の養育費・生活費を支払っても、養育費・生活費を受け取った側には所得税はかかりませんし、贈与税もかかりません。でないと、親や祖父母が子供や孫に対して何か援助をするたびに、所得や贈与として課税されることになりますよね。それでは孫へのお年玉さえ税金を気にしながら支払わなくてはなりません。

つまり、祖父母に孫の習字教室の月謝、学校の入学金や授業料を直接支払ってもらっても所得税や贈与税はかからないのです。さらに、家族全員で使う食料品や消耗品の購入代金を直接支払ってもらっても同じですので、家族間の日常生活における援助は、節税になると表現することもできます。(相続税対策をしたい家庭において、祖父母が子供たちの家庭の日常的な買い物について行き、スーパーのお会計を毎回払ってあげます。週に一度、5,000円分の買い物をしてあげたとして、月に2万円、年間24万円、20年間で480万円の資産を移動させることができます。)

ただし、収入のない人への援助が「扶養義務」ですので、高収入の子供の口座に孫の養育費を入金しても非課税とはならず、単に「贈与」であるとされてしまいます。収入のない家族への援助だと証明するためにも、必ず孫へ直接支払う方法を取るのが良いでしょう。

また、養育費も生活費も必要とされるものに限るというのがポイントであるため、養育費については、教育上必要だと認められる学費や教材、文具費等をいいます。
これは国内外問わず、義務教育費に限定されているわけでもないため、海外留学や私学の医学部への入学金といった数千万単位の費用であっても、教育上必要なお金であるため、課税上は何も問題ありません。

2.税金がかかる場合

贈与された養育費や生活費であっても、必要なときに必要な金額を渡すことが大切です。例えば、仕送りとして子供に渡したお金を養育費や生活費として使用した場合は非課税になりますが、一括で渡した現金のうち、学費の余りを子供が自分名義の預貯金にしたり、車の購入費用にした場合は「必ずしも必要なもの」とはいえないため、その部分については贈与税が課税されることになりますので十分注意が必要です。

また、現金ではなく不動産や株式を譲渡した場合も、養育費や生活費のためであったとしても仕送りではなく贈与と認識されるため、贈与税が課税されます。基本的に仕送りに贈与税はかかりませんが、度を超えた仕送りには贈与税がかかりますので、金額が適正かどうか確認してみると良いでしょう。

また、子供が結婚する際に、新居の購入費を親が負担した場合は贈与税がかかります。しかし、日常の生活を営むために必要な家具や家電の購入費用の贈与を受けた場合は贈与税がかかりません。ですが、贈与を受けた現金を預貯金にしたり、株式の購入に充てたときは贈与税の課税対象となってしまいます。

さらに、結婚式や披露宴は式の内容や招待客の人数、地域の慣習によりますが、その費用を本来負担すべき人が支払っている場合には贈与に当たらないため、課税対象にはなりません。
また、出産の際に子供が親から検診や入院にかかる費用を払ってもらった場合も治療費に準ずるものとして課税対象にはなりません。生まれてくる子供のための生活用品の購入費用についても同じことがいえます。

結局、贈与税の課税対象になるか否かはケースバイケースですので、一律に決められるものではありません。迷った場合は必ず専門家に相談するようにしましょう。

3.未成年者への贈与

「贈与」とは、民法上「当事者の一方が、自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる行為」とされており、贈与する人とそれを受ける人の双方の意思が確認できなければ贈与は成立しません。ただし、民法においては、受贈者(贈与を受ける人)が未成年者である場合、親権者が代理人として法律行為をすることが可能です。
つまり、親権者が受諾すれば意思表示のできない未成年者であっても贈与契約は成立します。また、未成年者であっても婚姻していれば成年者とみなしますので、未成年者への贈与は可能です。

しかし、贈与は口約束でも成立しますが、「いつ、誰に、何を」贈与したかをきちんと残しておく必要があります。贈与契約書を作成し、未成年者の代わりに親権者が法定代理人として署名捺印しておくと良いでしょう。また、確実に贈与をしたことを証明するためにも、現金の手渡しは避け、振込など後から見返して分かる形で贈与をしましょう。

さらに、未成年者への預金などの贈与を親権者が使用した場合は、未成年者への贈与が認められません。贈与された財産は、当然、受贈者(未成年者)のものであるため、管理をしているからといって親権者が使用することはできません。

4.まとめ

節税対策として注目されている「贈与」ですが、きちんと理解していなければ課税対象となってしまいます。未成年者への贈与は、親権者の同意があれば有効です。しかし、贈与が明確に証明できなかったり、きちんと財産管理ができていなければ税務上のトラブルになることが多いため、十分に注意が必要です。