遺産相続

養子になった場合,相続分はどうなる?

2017.06.03
遺産相続|弁護士ニュース

養子になった場合,養親との間で法律上の親子関係が生じます。そうすると,養子は,実の両親(実親)と養子縁組をした両親(養親)のどちらを相続するのでしょうか
そこで,今回は,養子の相続分はどうなる?というテーマについて,ご説明していきます。

1 養子とは

 まず,養子縁組には二種類の制度があり,どちらの養子縁組をするかによって相続についても違いが出てきます。

⑴ 普通養子

 こちらが一般的な養子縁組です。普通養子の場合,実親との親子関係がなくなるわけではないので,養子は実親と養親の二組の親を持つことになります。
 つまりこの場合,養子は実親と養親、両方の相続人となることになります。

⑵ 特別養子

 特別養子は,実親による子育てが困難な事情がある場合や,その他特別の事情がある場合で子供の利益のために特に必要がある場合に,様々な要件のもと認められる制度です。普通養子の場合と異なり,実親との親子関係が切れるので,養親とだけ親子関係を持つことになります。
 つまりこの場合は,養子は養親の相続人にはなりますが,実親を相続することはありません。

2 養子の相続

 それでは,養子が養親の相続をする場合の相続分について見ていきましょう。「相続分」とは,相続する割合のことをいいます。養子も「子」ですから,実子と同じだけの相続分を取得します。したがって,原則としては実子との相続と変わるところはありません。
ただし,養子縁組をすることで相続資格が重複し,相続分が変わることがあるので注意が必要です。以下では,相続資格の重複とはどのような場合か,具体的な事例を見ていきましょう。(なお,ここでは被相続人が遺言を残していないケースを想定しています。)

⑴ Aさんは二人兄弟の弟ですが,生まれてすぐに,母方の名字を継ぐため,母方の祖父母の養子となりました。その後母親が亡くなり,今回,祖父が亡くなりました。母の妹と祖母は健在です。祖父の相続について,Aさんの相続分はどうなるでしょうか。

養子になった場合,相続分はどうなる?

祖父の相続人は配偶者である祖母,子であるAさんの母と叔母,養子のAさんです。Aさんの母は亡くなっているので,その子であるAさんの兄とAさんが代襲相続をすることになります。Aさんの相続分は,養子として6分の1(子全体の相続分2分の1を3で割ったもの),母の代襲相続として12分の1(母の相続分6分の1を2で割ったもの)の合計4分の1となります。  つまり,相続資格を併せ持つ場合には,相続分を合算して取得します。

⑵ Bさんは婿養子として妻の両親の養子になりました。その後,妻の両親は亡くなり,今回妻も亡くなりました。妻には妹がおり,Bさん夫妻に子はいません。妻の相続について,Bさんの相続分はどうなるでしょうか。

養子になった場合,相続分はどうなる?

Bさんは妻の配偶者ですが,妻の両親の養子なので,妻の兄弟という立場でもあります。このようなケースで,古い判例ではBさんは配偶者としての相続分2分の1を取得し,兄弟としての相続分は取得しないとしたものがあります。しかし相続資格の重複を認めるべきとの見解も有力で,はっきりとした答えがあるわけではありません。

⑶ Cさんは未婚の母の子として生まれ実の父親はCさんを認知しました。数年後,Cさんの母が亡くなり,Cさんは実の父親とその妻のもとに養子として引き取られることになりました。今回,Cさんの実の父が亡くなりましたが,Cさんの相続分はどうなるでしょうか。

養子になった場合,相続分はどうなる?

Cさんの実の母と父のように,婚姻していない男女の間に生まれた子どものことを「非嫡出子」といいます。父親から認知された非嫡出子は,嫡出子(婚姻している男女の間に生まれた子のことをいいます。)と同じ割合で相続分を取得します。この事例の場合,Cさんは非嫡出子と養子の二つの相続資格を持つようにも思われるかもしれません。  しかし,養子は養子縁組成立の際に嫡出子としての身分を取得するため(民法809条),養子縁組をした時点で非嫡出子としての身分はなくなります。したがって,Cさんの相続分は2分の1,Cさんの養母が2分の1となります。

3 まとめ

 今回は養子の相続と,それにまつわる相続資格の重複というテーマについてご説明してきました。親戚間で養子縁組をした場合,相続資格が重複することは珍しいことではありません。この場合,計算方法が複雑になるだけでなく,重複しているということを他の相続人が納得してくれないという問題もあります。そのため,親族問題や相続問題に詳しい弁護士に依頼し,他の相続人との交渉も任せることをお勧めします。  また,養子縁組をする際にも,将来発生するであろう相続についても専門家のアドバイスをもらい,あらかじめ遺言を作成しておくとトラブルを避けることができるでしょう。