遺産相続

遺産分割が終わった後に新たな遺産が判明したときの対処法

2017.09.04
遺産相続|弁護士ニュース

遺産分割が終わった後に新たな遺産が判明したときの対処法

<相談内容>
半年前に父が亡くなり,相続人である母,私,弟で遺産分割協議を行い,無事に手続が完了しました。しかし,今になって父に他にも遺産があったことが発覚しました。今回発覚した遺産は,遺産全体にしてみればほんのわずかに過ぎないのですが,遺産分割協議をやり直さなければいけないのでしょうか。

相続が発生したときは,被相続人の遺産内容を調査し,漏れがないようにすることが重要です。しかし十分に調査を行った場合でも,遺産分割時において相続人に把握されていなかった相続財産が,遺産分割後に明らかになる場合があります。今回は,このような場合の対処法についてご説明していきます。

1 一部分割の有効性

 遺産分割時に把握していなかった遺産が遺産分割後に明らかになる場合,当初の遺産分割は遺産の一部分割であったということになります。
 遺産分割は,同時に全ての遺産の分配を定めるのが原則ですが,一部分割を行う必要性がある際には一部分割も許されるとされています。

 今回のようなケースでは,遺産分割の対象とならなかった遺産の存在が分かっていれば全く異なった遺産分割になっていた場合や,遺産分割をやり直す必要が認められる特別の事情がある場合には,当初の遺産分割は無効としてやり直すことになりますが,そうでない場合には,新たに判明した遺産についてのみ分割手続を行うことになります。遺産の存在が分かっていれば全く異なった遺産分割になっていたと考えられる場合としては,新たに発見された遺産が一部の相続人によって故意に隠匿されたものであったり,遺産全体の中で大きな割合を占める財産価値を有しているケースなどがあります。

 冒頭の相談事例では,当初の遺産分割を無効とすべき事情が特段ないため,一部分割として有効となり,新たに発覚した遺産についてのみ分割協議を行うことになるでしょう。

2 残余財産の分割

Aさんの父が亡くなり,相続人はAさんと妹です。父の遺産として,2つの土地があったので,遺産分割協議の結果,Aさんと妹で1つずつ取得することになりました。Aさんが取得した土地は5000万円,妹取得の土地は4000万円の価値があります。

最近,父の遺産として2000万円の現金があったことが発覚しました。Aさんは妹と1000万円ずつ分割しようと思っていたのですが,妹は「土地を分けたときに私の方が少なかったから,この現金は私が1500万,Aが500万に分けるべきだと思う。」と主張しています。この場合,どう分割することになるでしょうか。
 

新たに発見した遺産の分割については,先に行われた一部分割の結果を考慮して全体として不均衡にならないように分割を行うべきか,先に行われた一部分割の結果は考慮せず,残余財産につき分割を行うべきかが問題となります。

 これについては,一部分割を行った際に,自己の法定相続分よりも少ない財産を取得した相続人の意思が,不足部分について持分放棄・譲渡の意思であった場合には,残余財産の分割については当初の一部分割の結果を考慮する必要はありませんが,そのような特別の意思が認められない場合には,残余財産の分割において,一部分割における不均衡を修正すべきとされています。
 この事例では,当初の遺産分割時,妹の持分をAさんに譲渡するという意思は見られないため,残余財産の2000万円を分割する段階では,妹の主張するように不均衡を修正することが公平にかなうと考えられます。

3 まとめ

 今回は,遺産分割後に新たな遺産が判明したときの手続についてご説明しました。遺産分割には時間がかかるものです。やっと分割が終わったと思っても,新たな遺産が発覚したとなれば,再び時間や費用をかけて遺産分割をすることになる可能性があります。
 

これを防ぐためには,相続が発生した時点で遺産を調査し,全ての遺産を一度で分割できるようにしなければなりません。しかし,被相続人と疎遠であった場合など,全ての遺産を把握するのは困難です。相続財産を一番よく知っているのは被相続人本人ですから,生前に遺言を作成してもらい,全ての遺産を記載してもらうことが最善でしょう。遺言には形式があるので,弁護士に依頼して遺言を作成したり,公正証書にすると安心です。
 

また,遺言がない場合でも,遺産分割協議書の記載を工夫することで,その後に遺産が発覚しても改めて遺産分割をしなくて済みます。例えば,「本協議書に記載のない遺産及び後日発見された遺産は,相続人Aが全て取得する。」という一文を入れておけば,新たに遺産が発覚した場合でもAが取得するため,新たに協議を行う必要はありません。後日の紛争を防ぐ遺産分割協議書を作成するには,相続案件の経験豊富な弁護士にお任せください。

 

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