遺産相続

親の死後に遺言書を発見!勝手に開けても大丈夫?

2017.10.08
遺産相続|弁護士ニュース

親の死後に遺言書を発見!勝手に開けても大丈夫?

<相談内容>
先日父が亡くなりました。遺品の整理をしていたところ,父の机の中から「遺言書」と書かれた封筒が出てきました。この封筒は,私が開けてしまっても問題ないでしょうか?他の兄弟たちの前で開けないと,私が遺言書を偽造したと思われそうで心配です。

ご家族から遺言書を預かっていたり,死後遺言書を発見するという場合があります。遺言書は,勝手に開封してはいけません。今回は,遺言者死亡後の遺言書取扱い方法について弁護士がご説明していきます。

1 遺言書の検認

 公正証書遺言以外の遺言の場合,遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出してその検認を受ける必要があります。検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。そのため,原本が公証役場に保管されており,偽造・変造のおそれのない公正証書遺言は,検認をする必要がありません。
 検認は,実質的な遺言内容の真否や効力の有無を判定するものではありません。つまり,検認の手続を経た遺言書でも,後にその効力を裁判で争うことも可能であり,逆に,検認手続を経ていないからといって,遺言が無効になることもありません。
 ただし,遺言書を発見した相続人が故意に遺言書を提出せず隠匿すれば,相続欠格事由にあたり,相続できなくなります。そこまでいかなくとも,家庭裁判所に遺言書の提出を怠ったり,検認を受けないで遺言を実行したり,封印のある遺言書を勝手に開封すると,5万円以下の過料の制裁を受けます。

2 検認の手続

⑴ 申立てと取下げ

 申立人は,遺言書の保管を委託された者又は事実上遺言書を保管している者です。保管者がいない場合には,遺言書を発見した相続人です。これらの人々は申立ての権利・義務があり,いったん申し立てた後には取り下げることができません。
 相続人でない人が遺言書を発見した場合,検認の申立てをすることはできますが,申立義務はありません。
 遺言者の最後の住所地の管轄家庭裁判所へ,検認の申立てをすることになります。

⑵ 遺言書の提出

 申立人は,遺言書の原本を家庭裁判所に提出しなければなりません。また,封印のある遺言書は検認期日に家庭裁判所で開封するため,申立人が事前に開封してはいけません。

⑶ 検認期日

 家庭裁判所は,相続人又はその代理人に検認期日の通知をします。ただし,全員が立ち会う必要はありません。

⑷ 検認調書の作成とその後の措置

 遺言書の検認に立ち会った裁判所書記官が検認調書を作成します。検認の目的が遺言の偽造・変造等の防止にあることから,遺言書の形状(紙質,大きさ,枚数,文字の字体,配列,印影の形等)について正確に表現しなければなりません。現在はコピーあるいは写真等で複写して検認調書に添付する取扱いがなされています。

⑸ 検認手続終了後

 検認手続終了後,家庭裁判所から検認に立ち会わなかった申立人,相続人,受遺者その他の利害関係人に対し検認した旨が通知されます。また,検認終了後,通常申立てにより遺言書に検認済みであることの証明文を付して申立人に交付されます。自筆証書遺言の場合,この検認済みの証明文が付されていないと,預貯金の名義変更や解約手続,不動産の登記名義変更手続等,遺言内容を実現するための各種手続に応じてもらえないことが一般的ですので大切に保管しましょう。

⑹ 遺言執行者の選任申立て

 検認手続を経たことが分かる資料(検認調書謄本や,検認済証明書等)が整った段階で,ようやく遺言内容を実現するための各種手続(預貯金の解約,不動産や有価証券の名義変更手続等)を進めることができます。遺言上で,各種手続を行う者について指定がなされている場合は,その者が手続を行います。しかし,何ら指定がされておらず,手続をする上で他の相続人の協力が得られず手続が進められない場合等については,家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てを行います。遺言執行者については,また記事を改めてご説明します。

3 まとめ

 今回は,遺言書の検認についてご説明しました。被相続人の死後,自筆証書遺言を発見した場合には,ご自身で勝手に開けるのではなく,まずは検認の申立てを行わなければなりません。検認の手続きでご不明な点があれば,弁護士に相談すると良いでしょう。

 自筆証書遺言は一人で簡単に作成できるため便利な面はありますが,後々相続人に検認手続の手間がかかること,形式を欠いて無効となるおそれがあること,内容に問題はないか確かめられないこと等のデメリットがあります。公正証書遺言であれば検認不要で,形式に不備があったり紛失したりするおそれもありませんので,遺言を作成する際は公正証書にすることをお勧めします。また,将来,相続人間で紛争が起こらないような方法や,相続税対策にも配慮した遺言を作成したい場合などは,弁護士に相談してオーダーメイドの遺言を作成してもらいましょう。そして,遺言を確実に実行するために,その弁護士又は弁護士法人を遺言執行者に選任しておくと良いでしょう。

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