遺産相続

婚外子でも相続できる?

2017.10.05
遺産相続|弁護士ニュース

婚外子でも相続できる?

<相談内容>
私は,幼い頃から母子家庭で育ち,これまで一度も父と会ったことがありません。父は,母が私を妊娠したと知った直後にいなくなったそうで,父と母は籍もいれていないと聞いています。
先日,母から,父が亡くなったということを聞きました。今までは父のことなど考えたこともなかったのですが,未婚の父母の子どもでも相続ができるという話をテレビで聞いたことがあります。私は,父の相続人になれるのでしょうか?

婚姻関係にない男女の間に子どもが生まれた場合,この子どものことを一般的に「婚外子」といいます。婚外子といっても,認知されている場合と認知されていない場合があり,それぞれによって相続の可否も変わってきます。そこで,今回は,婚外子の相続について弁護士がご説明します。

1 認知をされていない場合

 父から認知されていなければ,生物学上は実の父であったとしても,法律的な親子関係は認められないため,父の相続を受けることはできません。
 そこで,相続をするためには父に認知をしてもらうことが不可欠となります。認知の方法には,三種類あります。

⑴ 任意認知

 任意認知とは,父が子を自分の子どもであると認知することをいいます。これが最も一般的な方法です。

⑵ 裁判認知

 裁判認知とは,調停・裁判を行い父に認知を請求するものです。これは,父が子を認知してくれないときや,父が死亡してしまって認知できないときに行います。ただし,父が死亡しているときには,死後3年以内に手続きを行う必要があります。

⑶ 遺言認知

 遺言認知とは,父が遺言によって認知を行うことをいいます。
 このように,父が認知をしてくれないという場合でも,裁判等を行えば,認知をさせることができます。

2 非嫡出子の相続権

 婚外子の中でも,認知を受けた子どもを,法律用語で「非嫡出子」といいます。非嫡出子の相続について見てみましょう。
男性Aさんと女性Bさんとの間に,子どもCさんが生まれました。しかしAさんは別の女性と結婚していて子どももいたため,Bさんとは結婚しないことにしました。AさんはCさんのことを認知しましたが,Cさんはその後一度もAさんに会ったことはありません。
今回Aさんが亡くなりましたが,Cさんは相続人となれるでしょうか。なお,Aさんに遺言はありません。

この事例のCさんのように,認知を受けた非嫡出子は,父の相続人となります。相続分(相続する割合のことをいいます。)は嫡出子(この事例でのAさんと妻との間の子のように,婚姻関係にある男女間に生まれた子をいいます。)と同じです。したがって,この事例での法定相続分はAさんの妻が2分の1,Aさんと妻との間の子が4分の1,Cさんが4分の1となります。
この問題に関して,以前は非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とする民法の規定がありました。しかし,平成25年9月4日,最高裁でこの規定を違憲とする判決が出され,この規定は撤廃されています。この判決以前に確定していた遺産分割の効力はもはや争うことはできませんが,今後の相続は非嫡出子も嫡出子と同じだけの相続分を得ることができます。

3 もし相続分を認めない遺言があったら?

以上の法定相続分のお話は,遺言がない場合のお話です。遺言があれば,誰がどのくらい財産を受け継ぐかということは,基本的に遺言に従います。では,以下の事例はどうでしょうか。
Dさんは,父の認知を受けている非嫡出子です。先日父が亡くなったと聞き,自分も相続できるのではと考えました。しかし,父の遺言には「妻に一切の財産を相続させる。」と記載してあったようで,父の妻はDさんに何も譲りたくないと言っています。Dさんは財産を受け継ぐことができないのでしょうか。

 被相続人(亡くなった人)の配偶者,子,直系尊属(父母や祖父母)は,法律上,一定の割合の相続財産を取得することが保障されており,これを「遺留分」といいます。
 この事例では,父の相続においてDさんは子にあたるため,遺留分があります。その割合は,父にDさん以外の子どもがいない場合,財産の4分の1です。したがって,父の妻に対し「遺留分減殺請求」を行い,財産を請求することが可能です。
 遺留分の計算方法や遺留分減殺請求の手続については,別の記事で詳しくご説明します。

4 まとめ

 以上のように,法律上の親子と生物学上(DNA上)の親子は異なりますので,法的な親子関係を発生させるためには認知手続が必要となり,認知された場合に初めて相続ができることになります。ですので,ご自身が婚外子にあたる場合は,まずは認知の有無を確認し,認知されていなければ認知手続を行いましょう。なお,認知により親子となれば,戸籍にも記載されることになります。そのため,実の父に認知請求をしても,現在の家族に隠し子の存在を知られては困る等の理由で認知請求に応じてくれないことも多々ありますので,認知請求をされる場合は,経験豊富な弁護士に相談されることをお勧めします。
 また,認知が実現し,非嫡出子となった場合でも,非嫡出子である立場から父の相続を主張する場合,父の妻や嫡出子とトラブルになるケースが多く見られます。このような交渉をご自身でされるのは困難なので,既に認知されている場合にも,遺産分割協議や遺留分減殺請求については弁護士に依頼すると良いでしょう。

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