離婚・親子問題

【離婚問題】認知について

2019.07.18

近年、未婚のシングルマザーが増加しており、未婚で出産した芸能人の報道なども目にすることが増えました。未婚のまま子供を出産した場合、そのままでは子供の法律上の父親はいないということになり、戸籍の父親欄は空欄となります。

弊所では、子供の母親から、父親に認知をしてほしいが、相手に拒まれているという相談がよくあります。今回は、認知の手続や認知の効果についてご説明します。

1.認知とは

婚姻中に妻が懐胎した子供は、夫の子と推定され(民法第772条1項)、これを「嫡出推定」といいます。一方、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供(非嫡出子)は、嫡出推定が及ばないため、当然には法律上の父がいないということになります。その場合、ある男性が子供の父親であると認め、法律上の父子関係を発生させる行為を「認知」といいます。

認知をして法律上の父子関係が認められると、父親の戸籍には認知した子供の名前が、子供の戸籍には父親の名前が記載されます。また、親子としての権利義務関係が発生するので、父親に対して養育費の請求が可能になり、父親が死亡した場合には認知した子供にも相続権があります。

ただし、親子間の扶養義務は互いに負うため、将来的に父親の介護や金銭的な援助が必要となった場合、子供が面倒を見なければならない可能性もあります。

2.認知の方法

認知には任意認知と強制認知という二種類があります。

(1) 任意認知

任意認知は、父親である男性の側から行う認知です。基本的には市町村役場に認知届を提出することにより行いますが、遺言でも認知することが可能です。
子供の出生前、胎児の段階でも認知をすることができますが、その場合は母の承諾が必要です(民法第783条1項)。また、成年の子供を認知する場合には、子供本人の承諾が要ります(民法第782条)。任意認知は、父親が未成年者であっても、法定代理人の同意を要せずに行うことができます。

(2) 強制認知

母親は認知をしてほしいと考えていても、父親が認知を拒むというケースはよく見られます。妊娠を伝えたら父親側から中絶するように言われたが、それでも母親が出産した場合では、相手(父親)から「お前が勝手に産んだんだろう。」と言われる場合もあるようです。しかし、父親の同意なしに出産したからと言って、父親に認知をしてもらえないというわけではありません。

男性が認知を拒む場合は、法的な手続をとって認知させることができ、これを強制認知といいます。子供、その直系卑属(孫やひ孫)又はこれらの法定代理人が認知の訴えを提起することにより行います。

具体的な手続としては、まず相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に認知調停を申し立て(調停前置主義)、調停に父親が出席することが必要ですが、そこで認知をするという合意が成立し、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で、その合意が正当であると認めれば、合意に従った審判がなされます。

父親が調停に参加してくれない場合や、合意が成立しない場合は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に認知の訴えを提起します。生物学的に父子関係があるかどうかは、DNA鑑定を行えばすぐに分かります。もし相手方がDNA鑑定に協力してくれない場合、強制的に鑑定をすること等はできませんが、鑑定を拒むという態度も含めて裁判所の判断材料となります。以上の手続きを経て認知がされると、出生のときに遡って法律上の親子関係が生じます。

なお、認知の訴えは、父親が死亡しても3年以内であれば行うことができ(民法787条)、この場合は検察官を相手方として請求することになります。死後に父子関係が認められた場合は、認知された子供は父親の相続人となるため、遺産分割協議に参加することができるようになります。

3.認知してほしくないとき

では反対に、父親に認知をしてほしくないという場合はどうでしょうか。認知をしてほしくない理由としては、子供の父親に一切関わりを持ってほしくない場合、子供の父親が他に家庭を持っていて、父親の戸籍に子供の名前が載ると、配偶者に不貞の慰謝料請求をされるおそれがある場合、父親と子供が面会交流などを行うのが嫌な場合、父親に借金等があり将来子供が迷惑を被るかもしれない場合など、いろいろなケースが考えられます。

しかし、子供が生まれる前の胎児認知には母親の承諾が要りますが、出生後は母親の承諾なく実の父親が認知をすることが可能です。そのため、いくら母親が認知をしてほしくないと思っていたとしても、認知を拒むことはできないという結論になります。

なお、認知をされると父親に子供の親権を取られてしまうのでは、と心配される方もいらっしゃいます。これについては、仮に父親から親権者変更調停が申立てられたとしても、これまで母親が子供を監護してきたという実績があるため、母親が子供を虐待している等の特別な事情がなければ、子供の親権が父親に変更されるということはありません。

4.まとめ

今回は、認知についてご説明しました。父親から認知を受けると、父親に対して養育費を請求することができます。非嫡出子だからといって、養育費の金額が嫡出子よりも低いということなどもありません。

人により様々な事情があるかとは思いますが、シングルマザーで子供を育て上げる際、養育費をもらうことが生活の助けになることも多いでしょう。本当に子供の父親であれば認知をさせることは可能ですが、相手方とトラブルになることが予想されますので、お悩みの方は弁護士に相談することをお勧めします。