離婚・親子問題

養親と縁は切れないの?離縁制度について

2017.07.07
離婚・親子問題|弁護士ニュース

養子縁組は,相続税対策のためや自分の跡継ぎにするためなど様々な思惑の下でなされるものです。しかし,養子縁組は,養子と養親の仲が悪くなってしまうと「相続させたくない」,「跡を継がせたくない」など新たな問題を生じさせると言う側面も有しています。
 このような場合,「離縁」という制度を用いて養子と養親との関係を解消することが認められています。そこで,今回は問題になることが多い普通養子縁組における「離縁」についてお話しさせて頂きたいと思います。

1 離縁するとどんな効果があるの?

離縁とは,有効に成立した養子縁組の効果を縁組後に生じた事由によって,消滅させることを言います。そのため,離縁をすると,①血族関係の解消,②離縁による復氏といった効果が発生します。
 具体的には,①縁組によって発生した養子と養親との間若しくは養子と養親の血族との間に生じた親族関係が消滅することになります(民法729条)。
 また,②養子の氏が離縁によって縁組前の氏に戻ることになります。もっとも,配偶者と共に養子をした養親の一方のみと離縁をした場合には,縁組前の氏には戻らず,離縁の際の氏のままとなります(民法816条1項)。

2 離縁ってどうやってするの?

 養子縁組をした後に,養子縁組を解消するための方法として,主に①協議離縁,②離縁調停,③裁判離縁といった3つが使用されています。以下では,それぞれの制度の概観を見て行きましょう。

(1) ①協議離縁

 養子縁組の当事者は,話し合いで離縁をすることが出来ます(民法811条1項,協議離縁)。この場合,離縁理由は限定されていません。そのため,養子と養親の性格が合わなかったなどどんな理由で離縁することも可能です。
協議離縁の効力を生じさせるためには,当事者間において離縁をするという意思があることに加えて,離縁の届出が必要になります。この離縁の届出は,市町村役場から離縁届の用紙をもらい,養親と養子がそれぞれ署名押印したうえで,保証人2名が署名押印したものを市町村役場に提出すれば離縁出来ます。
 養子が未成年でも,養子にする場合と違って,離縁では家庭裁判所の許可は不要です。ただし,養子が15才未満の場合は,離縁後に養子の法定代理人となる者が養親との間で離縁の合意をすることになります(民法811条2項)。

(2) ②離縁調停

 養親子間で離縁の話し合いがまとまらない場合,「直ぐに裁判!」という訳ではありません。このような場合には,離縁したい方が家庭裁判所に離縁調停の申立てをすることになります。
 離縁調停では,裁判所で,裁判官や調停委員を交えて離縁について話し合いを行うことになります。これも協議離縁同様,話し合いですので,基本的にどんな理由でも離縁することが出来ます。

(3) ③裁判離縁

調停でも合意に至らない場合は,家庭裁判所に対して,離縁の訴えを提起することになります(これを裁判離縁と言います)。なお,調停を経ずにいきなり裁判をすることは基本的にできません(これを調停前置主義と言います)。
 裁判離縁が認められるためには,養子縁組が成立していることのほか,離縁原因があることを要します(民法814条1項)。すなわち,
① 他の一方から悪意で遺棄されたとき(1号)
  e.g. 養子が高齢の養親の面倒を一切見なかった場合
② 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき(2号)
③ その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき(3号)
  e.g. 養子が養親の財産を勝手に処分してしまった場合
 のいずれかに該当する必要があります。もっとも,具体例として挙げたものであっても,場合によっては該当しないこともあり,事案をしっかりと見てみないと本当に要件に該当するかは判断できません。
 実際の裁判離縁では,そのほとんどが3つ目の「その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき」に該当すると主張されることが多いようです。ここで,「縁組を継続し難い重大な事由がある場合」とは,養親子関係の維持・回復が極めて困難な程度に縁組を破綻せしめる事由を言います。このような事由があるか否かについては,個々具体的な事案を検討して判断せざるを得ず,専門的な判断がどうしても必要になってきます。

3 まとめ

 いかがでしたでしょうか?今回は,普通養子縁組の「離縁」について見てきました。養子縁組を解消することは婚姻を解消する場合と同じく簡単なものではありません。当事者の話し合いで離縁が成立すれば問題はありませんが,裁判所を利用して離縁を求めようとする離縁調停の段階になりますと,どうしても裁判を見越した主張をしなければなりません。そして,裁判では先程も申しましたように,限られた場合にしか離縁は認められません。
そのため,調停段階から法的に整理された主張をする必要があるとともに,本当にその事案で離縁が認められるかも見越して検討する必要があります。このように,法的に整理された主張をするためには専門家の意見がどうしても必要になります。
そこで,離縁でお悩みの際は,早期に弁護士に相談するようにしましょう。
以上

「困ったときに頼りたい・安心の弁護士ニュース」TOPへ