離婚・親子問題

離婚した後も子供に会うために(3)-祖父母と面会交流

2017.07.03
離婚・親子問題|弁護士ニュース

「ずっと孫と一緒に住んでいたのですが,息子たちが離婚してしまうと私たちは孫に会えないのでしょうか?」祖父母が実の両親の場合と同様、どうしても孫に会いたいという気持ちを抱くことは想像に難くありません。そのため,祖父母と孫が会うことを監護権者,例えば母親が認めるのであれば,祖父母が孫と会うことはもちろん可能ですが,どうしても話し合いがつかなかった場合,祖父母の権利として会うことが出来るのでしょうか?

1 祖父母は孫と会う権利ってあるの?

法律上,子供は離れて暮らしている親と会うことが認められています。これを面会交流と言います。面会交流は,親との交流を通じて子供の精神的な成長発達のための権利としての側面があるとは言えるでしょう。そのため,祖父母と交流することも子供の精神の健全な成長発達のために役立つとして,祖父母に面会交流を認める余地もなくはありません。
しかし,現在の裁判所は,祖父母に孫と会うための権利を認めない傾向にあると言えるでしょう。法律が明文で祖父母との面会交流を認めているわけではないからです。
ただ,上でも述べたとおり祖父母が孫に会える可能性がないわけではありません。裁判所においても非常に少数ですが,祖父母との面会交流を認めたものがありますので紹介させて頂きたいと思います。

事案は以下のようなものです。
子供は父母と母方の祖父母の家で暮らしていました。母は第二児出産後,死亡してしまいましたが,父は約3年間祖父母とともに暮らしていました。しかし,父が再婚して祖父母方を出る意思を示したことで祖父母と険悪な関係になってしまいました。
その後,父は祖父母方を出て再婚し,再婚相手と子らとの間で養子縁組をしました。両親の仲が険悪になるまでは,父は祖父母に対して養育費を支払っていましたが,祖父母との仲が険悪になってからは祖父母側から養育費の受領を拒絶されました。
父は再婚後,月に1回程度,子(監護者指定の調停申立時、7歳と5歳)に会いに祖父母方を訪ね,子の引渡を要求してきましたが,祖父母はこれを受け入れませんでした。そこで,祖父母が子の監護者指定の調停の申立てをし,その後,父が子の引渡しの調停を申し立てました。この申立てがされたのは,再婚後約9か月後のことでした。

このような事案に対して裁判所は,「家庭裁判所が親権者の意思に反して子の親でない第三者を監護者と定めることは,…親権者にそのまま親権を行使させると子の福祉を不当に阻害することになると認められるような特段の事情がある場合に限って許される」として,現実に子供を育ててきた祖父母を監護者として指定せず,子供を父に引き渡せと判断しました。
ただ,「引渡を命ずるにつき環境の変化により(子供たち;引用者注)が受ける影響を考慮してその具体的方法につき特段の配慮を施すことが相当である」として,親権者父へ子供たちを約3か月半後までの引渡しを命じるとともに,引渡し前の間,毎月1回の父との面会交流,引渡し後は2か月以内に1度以上の祖父母方に宿泊しての面会交流を命じました。

 このように祖父母達だけが事実上子供の世話をしていたような場合であっても,祖父母の面会交流を子供を父に対して引き渡した直後に1回だけ,環境調整のために面会交流を認めたにすぎません。

2 どういった対応をすべきか

 もっとも,祖父母は絶対に子供と会えないというわけではありません。
子の父が面会交流を求めて,家庭裁判所に調停・審判を申し立てることが可能ですので,子と父が面会交流をする際に,祖父母が子に会うことが考えられます。
 もっとも,これも無制限に認められるというわけではありません。
一般論として,父方の祖母と母親との関係が悪いことが離婚の原因の1つにあげられることも多く,その場合,母親は,元姑と子供が会うことを強く拒むことがあります。このように祖父母と母親の仲が致命的に悪い場合,やはり母親としては子供が元姑に会うことを快く思わないだけでなく,祖父母としても自覚のあるなしにかかわらず子供に母親の悪口を聞かせてしまうことが残念ながら想定されてしまいます。このような事態は,仮に祖父母との仲が良好であった場合でも離婚してしまうとどうしても生じてしまう可能性があります。このような事態になってしまっては,子供の福祉に全く貢献できないことになってしまいます。
 そこで,このような事態にならないよう母との間で適切なルールを作成して子供と会う機会を設けることが大事になってくるでしょう。

3 まとめ 

 以上お話ししてきましたように,裁判をしても祖父母に面会交流が認められる可能性というのは決して高いものではないので,祖父母との間で面会交流を認めるためには祖父母を申立人とするのではなく,祖父母の息子にあたる父親との面会交流のなかで祖父母と会えるようにすることがもっとも現実的な方法となるのだと思います。
 そのため,祖父母が孫に会えるかどうかが決まるのは話し合いが非常に重要になってきます。つまり,祖父母が孫と会うためには,最初の話し合いの段階から全力で取り組んでいかなければならないのです。
 しかし,父母間での話し合いですら上手くまとめることは難しいのに,ましてや祖父母との面会となってしまうと離婚した者同士ではどうしても調整できないものです。
 そこで,最初から経験豊富な弁護士を入れて本気で話し合いを行うことをお勧め致します。
以上

 

「困ったときに頼りたい・安心の弁護士ニュース」TOPへ