離婚・親子問題

離婚した後も子供に会うために(1)-面会交流ってなに?

2017.07.01
離婚・親子問題|弁護士ニュース

離婚の際には,父母のいずれかを「親権者」に決め,通常は親権者が子供をひきとって育てることになります。では,「親権者」とならなかった片方の親が,今後,子供と会いたいと思った場合,どのようにして子供と会うことができるのでしょうか(離婚前であっても,夫婦が別居している場合には,同じ問題が生じます。)。
今回は,子どもと離れて暮らす親が子供に会う権利,すなわち「面会交流」の意義と方法についてお話ししたいと思います。ただし,面会交流とは子供の健全な成長のために実施するものであって,必ずしも両親の「子供に会う権利」という側面はそれほど強くありませんので,ご理解ください。

1 面会交流ってなに?

まず,面会交流という制度について説明致します。
面会交流とは,あまり日常的に聞く言葉ではありませんが,子供と離れて暮らしている親が,子供と会ったり,手紙や電話などで交流したりすることを言います。子供にとって,離れて暮らす親との間の円満で継続的な交流は,父母双方から愛されていることを確信させ,子供の心身の成長に有益であるといった意味で子供の福祉に寄与します。そのため,離れて暮らす親が子どもに会う権利として面会交流という制度が認められているのです。
なお,子どもと一緒に暮らしている親を監護親,子どもと離れて暮らしている親のことを非監護と言いますが,聞き慣れない言葉だと思いますので,以下,事案でご説明します。
例えば,父Aと母Bがおり,二人には子Cという息子がいたとします。ある日,AとBが離婚することになり,母Bが親権者として子Cを引き取ることになり,父AとB・Cは離れて暮らす形になりました。(なお,離婚していなくても,夫婦仲が悪くなり別居している場合も該当します。)
 このようなとき,子Cのことを引き取って世話している母Bを監護親,Cと離れて暮らしている父Aを非監護親と言います。

2 面会交流の決め方について

それでは,面会交流の取り決めは,どのように行うのでしょうか。
最初は,当事者同士の話し合いで,面会交流の可否やその方法,回数,日時,場所について協議します。そして,当事者間の話し合いによる解決が難しい場合,裁判所が関与し,解決を図ることになります。
具体的には,非監護親が監護親の住所地を管轄する家庭裁判所に,面会交流の調停を申し立てることになります。それでもまとまらなかった場合,審判に移行し,裁判官に面会交流の内容を判断してもらうことになります。
 では,面会交流が認められるかは,どのような基準で判断されているのでしょうか?
面会交流は,上でも述べたとおり,離れて暮らす親と子供の円満で継続的な交流により,子が父母双方から愛されていることを確信でき,子供の心身の成長に有益であるといった意味を有しています。そのため,基本的には子供の利益を害するような場合でなければ,面会交流を実施する,と判断される傾向にあります。
 子供の利益を害すると判断される場合としては

① 非監護親による子の虐待のおそれ
② 非監護親による子の連れ去りのおそれ
③ 非監護親による監護親に対する暴力

などといったものがあげられます。それぞれ典型例について少しお話ししておきます。
 まず,①は,過去に子供に対して暴力をふるうなど虐待をしていた事実があり,子供が現に非監護親に対して恐怖心を抱いている場合が典型例になります。
 次に,②は,過去に連れ去りの事実があった場合が典型例になります。
 そして,③は,非監護親の監護親に対するDVによって子供が精神的ダメージを受けており,現在も回復できない場合が典型例になります。

3 面会交流の実情

 面会交流の申立件数は,年々急激に増加しており,平成27年の時点では18,257件の事件が申し立てられました。
面会を拒否する側の理由としては,様々あります。たとえば,過去に自身や子どもが暴力を受けたことがあるため心配だという理由もありますし,単純に夫婦仲が悪く,子供を会わせると自分の悪口を子供に吹き込まれるのではないか,養育費も払ってくれない父親に対して会わせたくない等,様々です。
これに対し,裁判所は,上記の通り,虐待や連れ去りのおそれ等が認められない限り,基本的には面会を認める運用をしています。また,面会させる不安をぬぐいきれず,面会拒否に頑なにこだわる当事者に対しては,試行的面会交流と言って,裁判所内の面会ルームで面会を実施し,その様子を外から確認できる仕組みも準備されています。(これは裁判所の設備の問題で,裁判所内では実施できない場合もありますので,ご確認ください。)
なお,中には裁判所がいくら面会交流を実施するよう促しても,一切応じない場合も少なくありません。その場合は,調停は不成立となり,審判に移行し,面会を認める審判が出されます。審判になった場合は,月1回程度の面会を認めることが一般的です。(年齢によっては月2回もよく見かけます。)

4 面会交流での取り決めを守ってもらえない場合

 たとえば,子供に毎月2回会わせると定めたとしても,相手が全く会わせてくれないこともあります。そのような場合にどうすればいいのか少しお話ししたいと思います。

(1) 履行勧告

 まずは家庭裁判所から履行勧告をしてもらうことが考えられます。具体的には,家庭裁判所から相手方に対し調停や審判の取り決めを守るように書面で通知します。
 しかし,この制度には強制力や罰則等がないため,相手が応じない可能性があります。

(2) 他にできることはないの?

 面会交流は,子供が安心できる環境で継続的に行われる必要があるため,強制的に子供を連れてきて面会交流を実現することはできません。そこで,相手方が履行勧告に応じない場合,裁判所に対して間接強制の申立てをすることが最も有効な手段になります。
 間接強制とは,債務を履行しない債務者に対し,一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課すことを裁判所が警告することで義務者に心理的圧迫を加え,自発的な履行を促すものです。たとえば,面会交流の履行を拒んでいる相手方に対し,違反一回について1万円を支払え,と命じることで心理的プレッシャーを加えて,間接的に面会交流を実現させようとするのです。
 もっとも,間接強制が認められるためには,面会交流をどのように行うかが十分に特定されている必要があります。たとえば,時間について「最初は1時間程度から始めることとし,子の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。」との定めがされている場合について,裁判所は特定が不十分であると判断しており,専門的知識のないままに面会交流について定めを作ることは危険と言わざるを得ないでしょう。要するに,間接強制を行う前提で面会交流の内容を決めるとすれば,「毎月第2土曜日の午前10時に●●駅の●●改札前で受け渡しをし,午後5時に同じ場所で引き渡す。」などと,これ以上調整を行わなくとも面会交流が実際に実施できる程度に内容が決定していないといけません。

(3) 慰謝料請求も可能

 また,これらの方法以外にも,相手方が面会交流に応じないときには,慰謝料を請求する事例が増加しており,これを認める裁判例も多数出ております。

5 まとめ

 以上のとおり,面会交流においては本来面会交流を認めない理由にならないにもかかわらず,「養育費を払わない夫には会わせたくない」であるとか「夫のことが嫌いだから子供に会わせたくない」である等様々な理由をつけて,子供に会わせないようにしてくることが少なくありません。また,上でも説明致しましたが面会の取り決めを守ってもらえないような場合もあり得ますので,その可能性を見越したうえで面会条件を定める必要があるでしょう。しかし,子供に会うための最も有効な手段である間接強制を実現するためには,専門知識を有する者でなければ適切な条項を作成することができません。
 そこで,離婚後でも子供に会うためには絶対に経験豊富な弁護士に依頼することをお勧め致します。
以上

 

「困ったときに頼りたい・安心の弁護士ニュース」TOPへ