離婚・親子問題

離婚した妻の連れ子も育てないといけないの?弁護士が教える連れ子と養育費について

2017.06.30
離婚・親子問題|弁護士ニュース

「私は,妻と妻のまだ幼稚園に上がったばかりの連れ子Aを連れて結婚しました。再婚後には,子供Bも生まれたのですが,夫婦関係がうまくいかなくなり,妻とは妻が二人の子供を育てるという条件で離婚することになりました。妻から妻と子供たちの生活費を請求されているのですが,支払わないといけないのでしょうか?」法律事務所にご相談に来られる方の中にはこのようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃいます。今回は,こういった場合に誰の分の生活費まで支払わなければならないかについてお話ししたいと思います。

1 連れ子との法律関係

 さて,今回のお話ですと,相談者の夫婦には妻の連れ子であるAという子供と相談者夫婦の子供であるBという子供という二人の子供がいます。
 妻からすれば,AもBも自分のおなかを痛めて産んだ子ですからどちらも自分の子供であることに間違いはありません。そのため,妻はAとBどちらの子供に対しても養育責任を負っており,育てなければならない義務を負っています。
 しかし,夫からすれば再婚後に生まれたBは自分の子供であることに間違いはないのでしょうが,妻の連れ子Aの出生について関与していません。それがAの母親との再婚によって扶養義務を負うような親子関係が生じるのでしょうか?夫と子供たちとの法律関係についてお話ししたいと思います。
 結論から言いますと,再婚後に生まれた子供Bとの間での法律関係と再婚した妻の連れ子Aとの法律関係は再婚によっても同じにはなりません。
 まず,夫は再婚後に生まれた子供Bについては当然ですが親子である以上,養育すべき義務を負っています。ちなみに,この養育すべき義務には,事実上の監護(世話をすることを言います。)と経済的援助(養うことを言います。)の2種類が含まれています。
 他方で,妻の連れ子Aに対しては,再婚しただけであれば,法律上,扶養義務がありません。これは,一般的な感覚とはズレているかもしれませんね。通常は,連れ子も一緒に養うことが多いですのであまり意識しないことかも知れませんが,法的には再婚しただけでは相手の連れ子との関係では親子関係は生じません。そのため,相手の連れ子との関係では,養子縁組をしていない限り,常に扶養義務があるわけではないのです。「特別の事情があるとき」(民法887条2項)に家庭裁判所が扶養を命じる審判を行えば,扶養義務が生じるにすぎません。
 もっとも,再婚するにあたって養子縁組をする方も多いかと思います。この効果をご存知でしょうか?先程も申しましたように再婚したとしても連れ子との関係では親子になるわけではありませんが,養子縁組をすることによって,連れ子との関係でも親子ということになり扶養義務を負うことになるのです。

2 養子縁組と養育費との関係

 以上でお話ししたように,妻の連れ子Aとの関係においては,養子縁組がなければ,法律上,親子ということにはならず,離婚後に養育費を支払う必要はありません。しかし,これは裏を返せば,養子縁組をしていれば法律上親子ということになり,養育費を支払う義務があることになります。
よって,連れ子との関係で養子縁組をしている場合,離婚したとしても養子との関係はなくならず親子のままですので離婚だけでなく離縁までしなければ,養子縁組をした連れ子に対して養育費を支払わなければならないのです。

3 離縁ってどうすればできるの?

 さて,では離縁とはどういった手続きを踏めば可能なのでしょうか?

(1) 離縁の手続き

 離縁とは,養親子関係の解消を言い,協議離縁,調停離縁,審判離縁,裁判離縁などがあります。
 協議離婚は,当事者の合意と離縁の届出により成立する離縁ですが,当事者の間で合意ができない場合,離縁を求める当事者は家庭裁判所に対し,離縁の調停を申し立てることになります。そして,その調停において離縁の合意ができ,調停が成立した場合,調停離縁となります。ちなみに,養子の年齢が15歳未満である場合,その母が代わりに話し合いを行うことになります。
 また,離縁の合意が整っているものの,当事者が出頭しないために調停が成立しないときのように限られた場面では、審判離縁をすることになります。
 そして,調停離縁が成立せず、調停に代わる審判が行われない場合又は調停に代わる審判離縁が行われたのですが,これに対する適法な異議申し立てがあった場合,離縁の訴えを提起することができ,その請求認容判決が確定したとき,裁判離縁をすることになります。

(2) 裁判離縁の要件

 当事者間で離縁についての合意がまとまればいいのですが,必ずしもそうは行きません。どうしても当事者間で話し合いがまとまらない場合,裁判によって離縁することになります。
 もっとも,裁判離縁は以下の3つの離縁原因が民法814条に法定されており,これを満たしていると裁判所が判断しないと離縁が認められません。

 ① 他の一方から悪意で遺棄されたとき
 ② 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき
 ③ その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき

今回のようにまだ養子が幼い場合の離縁について,裁判所は養子の将来の福祉や養育の観点から慎重な判断をする傾向にあります。
もっとも,あくまで連れ子ということですから,母親と離婚した以上,子供との間に正常な親子関係が構築できるとは考えにくいと言えます。そのため,「その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき」と判断される場合もありますが,養子の将来の福祉や養育の観点から離縁を認めない裁判例もあり,経験を踏まえた訴訟進行をしなければ必ずしも離縁ができるわけではありませんので注意して下さい。

3 まとめ

 以上の話をまとめますと,夫は,妻の連れ子Aとの間で養子縁組をしていない限り,養育費を支払う必要はありません。なお,養子縁組をしている場合であっても,養子と離縁すれば,養育費を支払う必要はなくなります。
 このように養子縁組をしている場合で養育費の支払いを拒むときには,養子と離縁することが必要になってきます。ただ,裁判離縁をするためには法律知識が必要となるうえ,その知識を用いて裁判所を説得しなければなりません。
 そのため,法律の専門家である弁護士に依頼しないと裁判所の説得は難しいと言えます。よって,離縁をお考えの際は,経験豊富な弁護士に依頼することをお勧め致します。
以上

 

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