離婚・親子問題

離婚したら名字や戸籍はどうなるの? (2)-子供の名字と戸籍

2017.07.05
離婚・親子問題|弁護士ニュース

離婚したら名字や戸籍はどうなるの? (2)-子供の名字と戸籍

離婚した後に子供の氏(名字のことを言います。)をどうするのか,戸籍をどうするのかということは,離婚するにあたって問題になってくることも多いと思います。今回は,子供の名字と戸籍についてお話しさせて頂きたいと思います。具体例として,田中さんと山田さんが婚姻をし,女性である田中さんが「山田」と氏を変更した場合において,子供が一人いる時を想定したいと思います。

1 子どもの氏について

両親が離婚したとしても,子どもの氏は当然には変更されません。そのため,離婚によって子どもの親権者である母親が旧姓に戻っても,子どもの氏が変わるわけではありません。先程の例で言えば,田中さんが婚姻して「山田」に氏を変更していたのですが,離婚したときに氏を「田中」に戻したとしても,子供の氏は山田のままということになります。
そのため,母親が親権者であり婚姻前の氏に戻った場合,親権者である母親と子供の氏が異なることになります。

(1) 子供の氏の変更はどうすれば出来るの?

このように親権者である母親と子供の氏が違う場合,子の氏を親権者である母親と同じ氏に変えるには,「子の氏の変更」の手続きが必要になってきます。
 子の氏の変更手続きをするには,家庭裁判所に「子の氏の変更申立て」をし,家庭裁判所の許可審判の決定書をもらい,市町村長に子の氏の変更届を先程の決定書を添付して届け出ることになります。
 なお,子供の氏を変更しようとしたときに,親権者でない父親が氏の変更を認めないと言ってくることがありますが,そのような主張は認められないので安心して下さい。

(2) 子供が成人した後に親権者でない者の氏に戻ることは出来るの?

 では,親権者である母親が氏を変更したのに伴って,子供も氏を変更した場合,子供はもう父親の氏に戻ることは出来ないのでしょうか?
 そういうわけではありません。子供が成人になってから1年以内に,元の氏に戻りたいと思えば,自分で役所に届け出をすれば,従前の氏に戻ることが出来ます。その際,新戸籍を編製してもいいですし,親権者にならなかった親の戸籍に入ることも出来ます。

2 子供の戸籍について

 両親が離婚する際,子が未成年者であれば両親のどちらかを親権者として定めなければなりません。離婚後に親権者となると決まった親が婚姻によって氏を変えていたならば,離婚によって復氏又は婚姻中に使用していた婚氏を選択することになります。そのため,この親は婚姻前の戸籍に戻るか,新しい戸籍を作ってその戸籍に入ることになります。
これに対して,子供は当然に親権者となる親の戸籍に入るわけではありません。例えば,母親を子の親権者と決めて夫婦が離婚し,母親が離婚しても,子供はそのまま父親の戸籍に入ったままなのです。

(1) 親権者である母親の戸籍に子供を入れるにはどうすればいいの?

では,親権者である母親の戸籍に子供を入れるにはどうすればいいのでしょうか?
子供と親の氏が異なる場合,子供は親の戸籍に入ることができないということに注意が必要です。そのため,離婚に際して氏を戻した母親が子供の親権者になった場合,子供に自分と同じ氏を名乗らせない限り,自分と同じ戸籍に入れることはできず,子供は従前の戸籍に入ったままとなります。
よって,婚姻によって氏を改めた親が親権者となり,子どもを自分の戸籍に入れたい場合,家庭裁判所に対して「子の氏の変更許可」を申し立てて,子供の氏を自分の氏と同じにする必要があります。
先程の例で申しますと,田中さんが「山田」の氏から,離婚によって「田中」に氏を戻したとすると,何もしなければ子供の氏は「山田」のままになります。この場合に,子供を田中さんの戸籍に入れようとしても,子供と氏が違いますので田中さんの戸籍に入れることは出来ません。そこで,田中さんは「子の氏の変更許可」を申し立てることになるのです。
もっとも,戸籍には3世代が入ることは出来ませんので,親が婚姻前の戸籍に復籍し,親がその戸籍の筆頭者ではないときのようにまだ祖父母のうちいずれかが存命の場合には,子供がその氏を変更しても,その戸籍に入ることは出来ませんので注意が必要です。この場合,母親を筆頭者とする新しい戸籍がつくられることになります。

(2) 婚氏続称の手続きをした場合はどうなるの?

 では,母親が婚氏続称の手続きをした場合はどうなるのでしょう?先程の例で申しますと,婚姻によって「山田」の氏を名乗ることになった田中さんが婚氏続称の手続きをしたことによって,離婚後も「山田」と名乗り続けている場合がこれにあたります。この場合,一見すると,母親の氏と子供の氏は同じ「山田」ですので,子供は母親の戸籍に入ることが可能なように思えます。
しかし,難しい話になりますが,親が婚氏続称の届け出をした場合であっても,「婚姻中の氏」と「続称の手続をとった氏」は,法律上,別の氏とされていますので,呼び方は同じであってもその親と子の氏は異なることになります。つまり、先程の例で言う母親の「山田」と子供の「山田」とは別の氏ということになるのです。
 そのため,このような場合に子供を母親の戸籍に入れるためには,「子の氏の変更許可」の申立てが必要になるのです。

(3) 子どもの入籍手続

なお,「子の氏の変更許可」を申し立て,家庭裁判所によって氏の変更許可の審判が出たとしても,それのみでは氏の変更の効力は生じず,子供が親の戸籍に入籍する旨の届け出をすることが必要です。これにより,子どもの氏の変更の効力が生じることになります。

3 まとめ

いかがでしたでしょうか?細かいお話もさせていただきましたが,婚姻によって氏を変更した親権者の戸籍に子供を入れようとする場合には,「子の氏の変更許可」を申し立てる必要があります。
 「子の氏の変更許可」を申し立てるとなると,子供を跡取りと考えている父親やその家族からの妨害にあうことも少なくはありません。そのため,「子の氏の変更許可」を自分で申立てるとなると,父親たちへの対応に追われ,必要以上に心と体が疲れてしまうことになります。
 経験豊富な弁護士であれば,離婚の段階から離婚後のことも考えて対策を検討しているはずですので,ご相談の際には,経験豊富な弁護士に相談するようにしてください。
以上

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