離婚・親子問題

離婚したら名字や戸籍はどうなるの? (1)-夫婦間での名字と戸籍

2017.07.04
離婚・親子問題|弁護士ニュース

離婚した後に氏(名字のことを言います。)をどうするのか,戸籍をどうするのかということは,婚姻によって氏を変更した人にとっては,今後の人生における重要な問題になってくることもあります。残念なことですが,使い慣れてきた氏を変えることで不利益を被ることもあり得ますので,離婚した場合に夫婦の戸籍や名字がどうなるかについて学んでおきましょう。田中さんと山田さんの二人が婚姻したときに,田中さんが山田に氏を変更した場合を考えてみましょう。

1 離婚後の氏について

(1) 婚姻のときに氏を改めなかった人の場合

夫婦は婚姻をする際,その協議によって,夫か妻かいずれかの氏を称し,婚姻届にこれを記載して提出することになっています。このように,夫婦は婚姻すると,夫又は妻の氏のどちらかの氏を称することになります。上で述べた例で言えば,田中さんが氏を改めた人に,山田さんが氏を改めなかった人になります。
婚姻により氏を改めなかった人(例で言えば山田さん)は,離婚をしてもそのままの氏を名乗ることになります。

(2) 婚姻により氏を改めた人の場合
ア 離婚したら氏はどうなるの?
婚姻により氏を改めた人(例で言えば田中さん)は,離婚をすると婚姻前の氏(旧姓)に原則として戻る(これを「復氏」と言います)ことになり,婚姻前の戸籍に入籍することになります。
もっとも,離婚後も婚姻中の氏を使いたいと考えた場合,離婚の日から3ヵ月以内に,「離婚の際に称していた氏を称する届」(以下,「婚氏続称の届出」と言います。)を出せば,婚姻していたときの氏を名乗ることができます。つまり,田中さんは,離婚の日から3ヵ月以内に,婚氏続称の届出を提出することで「田中」を名乗り続けることができます。
この婚氏続称の届出は,離婚の届け出と同時にすることも可能です。そのため,離婚をするにあたって氏の問題についても考えておくといいかもしれません。

イ 手続きをするのが3ヵ月以降先になってしまったときは?
婚氏続称の届出は,先程も説明しましたように,離婚の日から3ヵ月以内とされています。この期間は,たとえ地震や台風などの自然災害があったとしても延長されないと考えられています。
ただし,3ヵ月を過ぎたからといって必ずしも婚姻時に使用していた氏を使用できないわけではありません。「氏の変更許可の申立て」を家庭裁判所に対して行うことで婚姻時に使用していた氏を使用できることが可能になることもあります。
とはいえ,氏の変更許可の申立てをするには「やむを得ない事由」がなければなりません。ここで言う「やむを得ない事由」とは,現在の氏により社会生活上で不利益・不便が生じており,その事情が社会的・客観的に見て妥当なものであることを言います。具体的には,手続きをしようとしたが病気で期間内に手続きができなかったことなどが「やむを得ない事由」にあたります。
家庭裁判所への申立に必要な時間的・労力的な負担や,氏の変更が裁判所に許可されない可能性があることを考えると,婚姻時の氏をそのまま名乗りたいという場合であれば,3ヵ月の期間内に届け出を出しておくべきでしょう。

2 離婚後の戸籍について

(1) 離婚の届出と同時に婚氏続称の届出をした場合
 婚姻により氏を改めなかった人は,離婚後もそのまま戸籍にとどまり,戸籍の変動はありません。
 これに対して,婚姻により氏を改めた人が離婚の届出と同時に婚氏続称の届出をした場合,直ちに離婚の際に称していた氏で新戸籍が編製されることになります。
 先程の例で言いますと,氏を改めなかった山田さんは,そのままの戸籍にとどまることになりますが,氏を改めていた田中さんは,離婚の際に称していた氏で新戸籍が編製されることになります。

(2) 離婚の届出と同時に婚氏続称の届出をしなかった場合
 次に,婚姻により氏を改めた人(例で言えば田中さんですね)が離婚の届出と同時に婚氏続称の届出をしなかった場合はどうなるでしょう?
 この場合,田中さんは,原則として婚姻前の戸籍に入ることになります。そのため,多くの場合,親の戸籍に戻ることになるでしょう。
 ただし,①婚姻前の戸籍がすでに除籍されているとき又は②復氏した者が新戸籍編製の申出をしたときには新戸籍が編製されることになります。なお,復氏した人が新戸籍を編製した場合,その後婚姻前の戸籍に復籍することはできませんので注意が必要です。

(3) 婚姻前の戸籍に復籍した者が婚氏続称の届出をした場合
 では,離婚した後すぐには婚氏続称の届出をしなかったので両親の戸籍に戻ったものの,その後,婚姻時の氏を使用しようとして婚氏続称の届出をした場合,どうなるのでしょうか?これは,先程の例で言えば田中さんが離婚時に婚氏続称の届出をしておらず,両親の戸籍に戻った後,山田の氏を使用したいと考えて届出をした場合を想定しています。
 ①届出人が復籍後の戸籍の筆頭者でないとき,②届出人が復籍後の筆頭者であっても,その戸籍に同籍者があるときには,新戸籍が編製されることになり,それ以外の場合には,新戸籍は編製されず,元の戸籍のままになります。
 このままでは分かりにくいと思いますので,具体例を挙げてみましょう。
 まず,①届出人が復籍後の戸籍の筆頭者でないときをご説明致します。
 先程の例を思い出してみてください。田中さんが離婚して両親の戸籍に戻ったとき,その戸籍には既に田中さんの両親がいらっしゃることになります。そうすると,その戸籍に戻ってきた田中さんは筆頭者としてではなく,通常その父親が筆頭者になっています。このような場合が①届出人が復籍後の戸籍の筆頭者でないときにあたり,新戸籍を作成することになります。
 次に,②届出人が復籍後の筆頭者であっても,その戸籍に同籍者があるときについてご説明致します。
 田中さんが戸籍に戻ったときにはすでに両親はなくなっていたのですが,その戸籍に田中さんの妹がいる場合などがこれにあたります。このような場合,田中さんは復籍後の戸籍の筆頭者になりますが,妹という戸籍に同籍者がいますので,②届出人が復籍後の筆頭者であっても,その戸籍に同籍者があるときにあたり,新戸籍を複製することになります。

3 まとめ

 いかがでしたでしょうか?細かいお話もさせていただきましたが,婚姻したことで氏を変更した人は,離婚したら原則として元々の自分の氏に戻る,婚姻したときの氏を使用したいときには,婚氏続称の届出を3ヵ月以内に行うということは覚えておいてくだされば幸いでございます。
 もっとも,先程も申しましたように,3ヵ月の期間内に手続きが出来なかった場合に氏を戻そうとするときには,氏の変更許可の申立てをすることになります。氏の変更許可の申立てを自分でするとなるとどうしても煩雑な手続きが必要になってしまい,ただでさえ離婚で疲れた心と体に追い打ちを受けてしまうことになります。
経験豊富な弁護士であれば離婚後のケアまで見越したうえで対策を考えますので、ぜひとも経験豊富な弁護士に相談するようにしてください。
以上

 

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