離婚・親子問題

過去の養育費って請求できるの?

2017.07.30
離婚・親子問題|弁護士ニュース

離婚して私一人で子どもを養ってきたのですが,生活が厳しく,養育費を請求したい…。この場合,今後の養育費だけでなく,離婚してから今までの支払われていない養育費までまとめて請求することはできるのでしょうか?今回は,離婚から今までの過去の養育費を支払ってもらえるのか,支払ってもらえるとしたらどのような方法で請求すればいいのかなど離婚から今までの支払ってもらっていない養育費についてお話ししたいと思います。

1 いつの時点から養育費を請求できるの?

 養育費の支払いは,「子供を監護していない親」が「子供を監護している親」に対して行わなくてはならないものです。養育費とは,子供を育てるためのお金ですので,実際に育てている側がもらうものであり,どちらが親権者かとは別問題ですので,気を付けましょう。また,離婚前における子供を育てるお金は,婚姻費用として支払われますので,養育費という問題が発生するのは,あくまで離婚が成立した後の話になります。
養育費の額,支払い方法は,事前に夫婦の話し合いで決めることが出来ます。このように話し合いで決めた場合,夫婦双方が署名押印した書面を残しておくことをお勧め致します。
もっとも,養育費の額,支払い方法について話し合いの際に合意をしていたか否かでいつから養育費を請求するかが変わってきますので,それぞれ合意があるか否か分けて説明させて頂きたいと思います。

(1) 養育費の額,支払い方法について合意がある場合

 養育費の額,支払い方法について合意が成立している場合であれば,請求をしていなくても合意で定めた時点まで遡って請求できるのが一般的です。例えば,話し合いの中で「離婚のときから月5万円の養育費を支払う」との合意をしたとすれば,離婚のときから今までの分の養育費を請求することが出来るケースが多いでしょう。
もっとも,養育費の額,支払い方法について合意がある場合,定期給付債権として5年間の消滅時効にかかると考えられます。そのため,5年以上前の養育費については請求することが出来ない場合もありますので,養育費の支払いが滞った場合にはすぐに請求するようにしましょう。

(2) 養育費の額,支払い方法について合意がない場合

これに対して,養育費の額,支払い方法について合意がない場合における養育費の支払開始時期について,審判例は別れており,①養育費を請求した時点を基準とするという考え方と②子供が扶養してもらうべき状態にあり,扶養すべき親が扶養することが出来る経済的余力を持っているのであれば,その時点で養育費を支払うべきとしつつ,過去に遡ることで多額の負担を命じるのが公平に反する場合,相当の範囲に限定するという考え方が対立しています。
では,裁判所はどのような運用になっているのでしょうか。一般論でしかありませんが,①の考え方に従って,養育費を請求した時点(通常は養育費分担の調停又は審判の申立てのとき)から支払義務を認めることが多く,養育費の請求ができるにも関わらず,請求していなかった期間については支払義務を認めない場合が多いようです。
 もっとも,この考え方はあくまで養育費を請求した時点を基準としますから,養育費分担の調停又は審判の申立て時に限られる訳ではありません。申立て以前に内容証明で養育費を請求するなど養育費請求の意思を明確にしていれば,その時点を基準として請求することが可能です。ただし,いつ養育費をちゃんと請求したのか,後に客観的に証明できなくてはなりませんので,口頭で請求するだけというのは絶対に止めておきましょう。

2 過去の養育費は,どうやって請求すればいいの?

 では,過去の養育費を請求するにはどのような方法をとればいいのでしょう。

(1) まずは文書で請求してみよう

 まず,子供のもう一人の親に対して内容証明郵便で養育費を請求してみましょう。注意してほしいのは,電話で養育費を請求しないということです。電話で請求した場合,本当に養育費を請求したのかを証明することが出来ず,結局,言った,言わないという水掛け論になってしまうからです。また,単なる手紙でも請求したことを後に証明できません。「いつ・どのような内容の請求書を送ったのか」を証明するためには,内容証明郵便でなくては不可能ですから,やはり内容証明郵便で請求するようにしましょう。
 もし,この請求で養育費を支払ってくれるという合意ができたとしても,後の紛争を予防するため,必ず「月額いくらの養育費をいつからいつまで支払うのか」が記載された合意書を作成しておくようにしましょう。

(2) 請求してもダメなら調停を申立てよう

 内容証明を使って養育費を支払ってほしいと請求しても支払ってもらえない場合,養育費分担の調停又は審判を申立てることになります。調停を申し立てるにあたっては,話し合いがまとまらなかったことを見越して,法的に整理した主張をすることが求められます。そのため,養育費分担の調停又は審判を申し立てるにあたっては,弁護士に依頼することをお勧め致します。

3 まとめ

 いかがでしたでしょうか?養育費なんて必要ないと思っていても,いざ養育費が必要になった時に以前の分まで請求することは容易ではありません。そのため,一人で子供を育てることになる場合,必ず養育費について話し合いの場を設け,養育費の額,支払い方法について決めるようにしましょう。その際,公正役場に行って,「約束を守らない場合は強制執行をしても構いません。」という文言をつけた公正証書を作成していれば,養育費の支払い確保も可能になりますので,ぜひ活用しましょう。
また,養育費は親のお金ではありません。養育費は,子供が育っていくために必要なお金ですので,仮に養育費なしの生活が可能だとしても,養育費を払ってもらうことが感情的に嫌だとしても,払ってもらうようにしましょう。このお金があるかないかで,将来のお子様の人生設計に影響が出るかもしれません。
もっとも,どのように請求すればいいのか,請求するとしてどれくらい請求できるのか,具体的にいつの時点まで請求できるのかについては専門的知識が無ければ判断が難しいと思います。また,経験豊富な弁護士に相談していれば,相談段階から審判まで見越した進行をしてくれるはずです。
そのため,養育費を請求するにあたっては,すぐに経験豊富な弁護士に相談に行くようにしましょう。
以上

 

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