離婚・親子問題

浮気してしまったんですけど財産をもらうことは出来ないでしょうか?

2017.07.18
離婚・親子問題|弁護士ニュース

「浮気相手が好きだから貴方と別れたい…。けど,財産もほしい。」こんなことを言われたら「浮気されたのに,なんで財産まで渡さないといけないんだ!」と思う方が多いと思います。このように思う夫の気持ちもわかります。では,浮気したことで離婚が認められるか,慰謝料が認められるか,という問題と,浮気してもなお財産分与が認められるかという問題は関係あるのでしょうか。そこで,今回は,浮気をした側からの財産分与が認められるかについてお話しさせて頂きたいと思います。

1 浮気をした側からの離婚請求って認められるの?

まず,前提として浮気をした側からの離婚請求は認められるのでしょうか?
浮気をした側からの離婚請求を自由に認めてしまっては,浮気された側としてはあまりに踏んだり蹴ったりではないでしょうか。
そこで,最高裁は,浮気をした側からの離婚請求について原則として認めず,①別居期間が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及ぶこと,②夫婦の間に未成熟子が存在しないこと,③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情が無いことの3要件が認められる場合に限って,離婚を認めるとの判断を過去に示しました。もっとも,現在はこの3要件を緩和する傾向にあり,3要件のすべてを満たしていなくても離婚が認められることもあります。
 このように浮気をされた側が離婚に同意しない場合においては,厳格な要件が存在していますが,浮気をされた側が離婚に同意した場合,3要件を満たしていなくとも離婚をすることも可能です。以下では,浮気をされた側が離婚に同意したことを前提として話を進めたいと思います。

2 浮気をした相手とも財産を分けないといけないの?

 離婚自体については先程も申しましたように厳格な要件が存在していますが,財産分与については浮気をした側であっても請求することが可能な部分があります。
 これは一見すると,違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし,財産分与は,①夫婦財産の清算的性格(清算的財産分与),②離婚後の扶養としての性格(扶養的財産分与),③精神的苦痛に対する慰謝料としての性格(慰謝料的財産分与)を持っています。そのため,浮気をした側からの財産分与請求であっても,これらの性格に照らして考えますと,①清算的財産分与については認められますが,②扶養的財産分与は認められない場合が多いと思われます。また,③慰謝料的財産分与は,浮気などの行為によって傷ついた心を癒すためのものですので,浮気をした側には当然認められません。これだけですと納得できないでしょうから,①清算的財産分与と②扶養的財産分与について少し詳しく見てみましょう。

(1) 清算的財産分与は何で認められるの?

 清算的財産分与は,既に財産的持分として成立している部分の分与ですので,その請求が権利濫用として排斥すべき特段の事情のない限り,請求者の有責性の存否や程度は影響しません。つまり,清算的財産分与というのは二人で築いてきた財産を分けるものですから浮気をしたからといって築いてきた財産に変化はありませんので,財産を分けることが出来るのです。浮気をしたことで離婚の原因を作ったという点や浮気をしたことで慰謝料を支払わなくてはならないという点とは一線を画し,単に今まで協力して築いて来た財産を分けるだけの手続ですから,浮気とは関係がないものです。

(2) 扶養的財産分与は何で認められにくいの?

 浮気した側からの扶養的財産分与請求は,公平等の観点から,否定若しくは減額すべきであると考えられています。つまり,浮気をした側が浮気をされた側に対して「今後の生活の面倒を見て!」と言えるとするとあまりに浮気された側に酷であり,公平に反していると考えられるので,請求を認めない方向に考えられているのです。実際,裁判所においても婚姻関係破綻の原因が専ら妻にあるときは,妻に対して扶助請求権を有しないと判断したものもあります。

3 財産分与と慰謝料請求は相殺できるの?

 別途慰謝料を支払っているのであれば問題にならないのですが,慰謝料を支払っていないのでしたら夫婦の共有財産を清算した額から慰謝料額を差し引いた額を財産分与額として考えることになるでしょう。
 審判例の中にも,財産分与には夫婦財産の清算,離婚後の扶養のほか,慰謝料としての性格をも有することから,財産分与において,夫婦の共有財産を清算した結果算定された額から慰謝料額を差し引いた額を財産分与額として定めたものもございます。

4 まとめ

 いかがでしたでしょうか?浮気をした側は罪悪感から様々な請求を諦めてしまうことがよく見られます。たしかに浮気をして配偶者を傷つけたのですから慰謝料を支払い,誠意ある謝罪をすることは必要だと思います。
 しかし,財産分与となると話は別です。財産分与は先程も申しましたように婚姻生活中に築いた財産を分けるという性質をも有するものですから,全部の財産をあげなければならないわけではありません。
 もちろんいくらぐらい慰謝料を支払わなければならないのか,本当に財産分与をしてもらっていいのかなど不安なこともあるかと思います。ぜひ一度離婚事件に経験豊富な弁護士に相談してみることをお勧め致します。
以上

 

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