離婚・親子問題

家事調停を弁護士に頼むべき?

2017.06.04
離婚・親子問題|弁護士ニュース

離婚調停をしようと考えている方はこのブログのように離婚調停に関するブログをいろいろと見ていらっしゃると思います。そのなかで離婚調停を弁護士に頼むか否か迷っていらっしゃる方もいらっしゃることでしょう。今回は,弁護士に依頼するべきかについて参考となる情報を提供できればと思います。

1 弁護士がいれば離婚調停に行かなくていい?

 相談に来られる方々から聞かれることが多いのは,「弁護士に依頼した場合,自分自身も離婚調停に出席しないといけないのか」という点です。調停は平日の昼間に行われますので,どうしても仕事を休めない人などの場合,本人が出席せずに代理人として弁護士のみで離婚調停を進めることはできないか気になるところでしょう。
離婚調停というのは,結婚してから今までの様々な出来事や感情論が入り組んだ紛争になりますので,単純な法律論だけで話を進められるものではありません。そのため,裁判所からは「代理人が就いていたとしても,本人も同行してください」と言われることが多いでしょう。ただ,法律で本人も同行しなくてはならないと定められている訳ではありませんので,必ずしも同行しなければならない訳でもありません。
これは一概にどちらが良いと決められる問題ではありません。例えば,代理人のみで出頭したとしたら,当日調停の場で新たに出た話については,まだ依頼者から了承を取っていないので,「持ち帰って依頼者と検討します」というレベルの回答で終わってしまいます。しかし,本人が同行していれば,当日調停の場で結論を出せるかもしれません。逆に,本人が同行することで,調停での話し合いが少し感情的なものになったり,相手方と鉢合わせてストレスを感じなくてはならない場面もあるかもしれません。ですので,事案によって,その日の調停の位置付けや回数に応じて,弁護士と相談しながら同行するかどうか決めなくてはならないでしょう。
なお,離婚調停に関しては,本人が同席していないと離婚調停を成立させられない決まりになっていますので,最終回だけは絶対に同行しなくてはなりません。(実際はイレギュラーな方法がいくつかありますが,基本的に同行しなくてはなりません。)

2 離婚調停で弁護士に依頼するメリットは?

上でも説明したように,必ずしも調停期日に出席しなくていいというのは一つのメリットでしょう。では,他にどのようなメリットがあるでしょうか?

(1) 書類作成・準備の手間が省ける

離婚調停をするにあたっては,離婚調停の申立書や,進行に関する照会回答書及び事情説明書といった書面の作成が必要となります。弁護士に依頼しない場合には自分でこれらの書類を作成しなければなりません。そのため,自分でするとなるといちいちどのような内容を記載しなければならないかを調べて作成する必要がありますが,弁護士に依頼すればこれらの書類の作成を任せることができます。
また,これらの手続きを自分で行うというのはどうしても時間だけでなく精神的にも疲れるものです。あなたの味方となる弁護士がいることが心を楽にしてくれるでしょう。

(2) 調停委員に良い印象を与えることができる可能性が高い

 離婚調停は,あくまで裁判所の調停委員を間に挟んでの話し合いです。調停委員が,あなたの話を聞き取り,相手方に話します。調停委員も経験豊富な方々ではありますが,調停は時間が決まってしまっているため,どうしても思いが正確に伝わらないことが起こり得ます。そのため,調停委員の勘所を知る経験豊富な弁護士を入れて話し合いを進めることであなたの意見をより正確に伝えることが可能になります。
また,調停に弁護士とともに参加することで本気で離婚したいんだという熱意を調停委員に伝えることが可能となり,有利に話し合いを進めることが出来るでしょう。

(3) 取り返しのつかない失敗を防ぐことが出来る

離婚調停では,条件(調停条項)に同意して離婚調停が成立してしまえば,判決と同じ効力があり,その条件を変えることができなくなります。気の弱い方やどうしても早く離婚したい方など押し切られてしまいそうな人は弁護士に依頼することをお勧めします。

(4) 調停が不成立になった場合まで見越した進行が可能になる

 これが弁護士に依頼することの最大のメリットであると言えるでしょう。
調停が不成立になった場合,離婚であれば裁判に,それ以外の婚姻費用や面会交流等については自動的に審判に移行することになります。とりわけ審判の場合,裁判官は調停で提出された資料や調停の経緯を参考にして判断することになります。
 そのため,調停は,話し合いの手続きではありますが,裁判と同じように万全の態勢で臨むため弁護士に依頼することをお勧め致します。なかでも相手方の意思が固い場合,たとえば自分は離婚したい,親権が欲しいと言っているのに相手がどうしても離婚したくない,こっちも親権が欲しいと言っている場合,調停がまとまらない可能性が高く,弁護士を就けるべき事案と言えるでしょう。

(5) もっと根本的なメリットは?

 上記のとおり,弁護士を就けることの様々なメリットがあります。しかし,最も根本的な問題は,依頼者の方々が弁護士なしにご自身で離婚調停を行なおうとされた場合,様々な法律論が理解できないという点です。離婚においては,離婚原因・慰謝料・親権・養育費・婚姻費用・面会交流・財産分与など,本当に様々な法的事項を決めなくてはなりません。そして,これらは法律論で議論しながら決めて行くものですので,法律論が何も分からない状態で調停委員と協議をしても,何も進まないでしょう。実際,過去に離婚調停をご自身で行なわれた方がご相談にいらっしゃり,過去の調停条項を見せてもらうと,弁護士が代理人として就いていたならば絶対に了承しないであろう,相場とかけ離れた内容で離婚されている方が本当にたくさんいらっしゃいます。
 「何が正解か分からないままに人生の決断をする」というのは本当に怖いことです。絶対に弁護士に相談した上で手続を進められることをお勧め致します。

3 弁護士を就けることによるデメリットであるの?

 離婚調停を弁護士に依頼するデメリットとしては,やはり弁護士費用でしょう。そこで,弁護士費用の相場を知っておきましょう。自分でやる場合に加えてかかってくる費用としては,おおまかに,以下の3つの費用が考えられます。

(1)相談料

離婚調停を弁護士に依頼する前に,弁護士のアドバイスを受けるためにかかる費用です。
最近では「1時間まで相談無料」という事務所も増えてきましたが,相場としては1時間1万円(税抜)といったところでしょう。

(2)着手金

離婚調停の申し立てをした場合,依頼時にかかる費用を着手金と言います。これは成功してもしなくても,依頼する際に必要になってきます。
相場としては40万円程度になるかと思います。もっとも,安い事務所では20万円程度というところもあるようです。

(3)報酬金

離婚調停で解決・終了したことに対してかかる費用を報酬金と言います。
相場としては40万円程度になるかと思います。もっとも,安い事務所では20万円程度というところもあるようです。

(4)まとめ

 離婚の際の弁護士費用は,事務所によって本当に千差万別です。もちろん弁護士費用も気になるところでしょうが,人生の岐路ですから,安さを最優先はしないよう気を付けてください。安いところに頼んで,仕事に納得行かず,後に弁護士を変えて着手金が二重に掛かり,結局損をしている方々は本当にたくさんいらっしゃいます。まずは,相談に行って,弁護士の専門分野や人間性,相性などを見極めましょう。

4 まとめ

結局,離婚調停は弁護士に依頼すべきなのでしょうか?
正解としては,「依頼すべき」でしょう。相談に来られる方で,「離婚調停は話し合いだから,まだ弁護士を就ける気はない。裁判までなったら依頼するつもりだ。」と仰る方々はたくさんいらっしゃいます。しかし,離婚調停も単なる話し合いではなく,法律に基づいた話し合いです。あくまで法律論に沿った話し合いがなされます。そのときに法律論が分からなければ,適正な話し合いは不可能です。また,仮に離婚調停がまとまらなかった場合の手続きは,法律に基づいて進行することになるため,調停段階でのミスが後々不利益に働くこともあり得ますし,調停段階から弁護士を入れることでもし裁判になった場合でも有利に進めることが可能になります。また,調停委員の方々は,あくまで中立的立場にある人であり,あなたの味方というわけではありません。
たしかに,調停手続で弁護士に依頼すると自分でするよりも費用が多くかかってしまうことになります。しかし,離婚はあなたの一生に関わるものであり,子供の親権であったり,どうしても伝えたいことであったりお金に換えられないものがいろいろと関係してきます。
したがって,離婚調停は経験豊富な弁護士に依頼することをお勧め致します。