離婚・親子問題

子供ができない…。こんなときに離婚ってできるの?

2017.07.31
離婚・親子問題|弁護士ニュース

婚姻するにあたって「子供は2人がいい」とか「子供の学費はどうしよう」とか将来のことを考える時間は幸せなものであったはずです。しかし、現実はそう甘くはなく、思ったように子作りが進まないということもあると思います。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(平成27年)によると、不妊を心配したことがある夫婦は35%、3組に1組の割合です。治療や検査を受けた夫婦は18.2%にもなります。また、高度な不妊治療である体外受精で生まれる子どもの数も、日本産科婦人科学会のまとめでは、平成26年は過去最高の4万7,322人になり、日本で生まれた子どもの21人に1人にあたります。
以前は,「不妊の場合は離婚も当然」とされている時代もあったようですが、現代では不妊治療の進歩も目覚ましく,そういった風潮は,もはや過去のものといってもいいのかもしれません。しかし、現代でも不妊を理由として離婚したいと考える人が少なくないのは事実です。今回は、皆さんにとっても身近な問題である不妊と離婚についてお話ししたいと思います。

1 不妊で離婚できるの?

離婚をしようとする場合には,協議離婚(当事者間での話し合いをいい,一般的な離婚のイメージだと思います。),調停離婚(裁判所を入れて当事者間で話し合いをします。),判決離婚(裁判所に離婚できるかを決めてもらうものを言います)などの方法が考えられます。
 「子供がほしい」と強く思っている場合,不妊は婚姻生活を営んでいくうえで大事な問題になるということは仕方ないことかもしれません。そのため,協議離婚,調停離婚などのように当事者間で話し合うことによって離婚することの合意ができれば、離婚することは可能ということになります。

2 当事者間で話がまとまらないと離婚できないの?

しかし,お互いの間でどうしても離婚の合意ができず,判決離婚,すなわち裁判所から判決をもらって強制的に離婚することもできるのでしょうか?
まず、法律がどのような離婚原因を示しているか確認しておきたいと思います。

民法770条(裁判上の離婚)
1 夫婦の一方は,次に掲げる場合に限り,離婚の訴えを提起することができる。
① 不貞行為
② 悪意の遺棄
③ 3年以上の生死不明
④ 回復の見込みのない強度の精神病
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由

不妊が①~④にあたらないことは明白だと思いますので、不妊症であることが,⑤「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとすれば,離婚請求が認められることになります。それでは、不妊症は「婚姻を継続しがたい重大な事由」とまでいえるのでしょうか?

しかしながら,妻が不妊症であり,子供ができないという理由だけでは「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当しないと判断される可能性が高く,離婚することは難しいと思います。不妊症であることは本人に何の落ち度もないうえ、不妊治療は日々進歩しており夫婦が協力し合えば出産できる可能性もある以上、「婚姻を継続し難い」とはいえないからです。
離婚ができるといえるには,不妊症で子供ができないことに加えて,それを理由として暴言・暴力をふるうなど夫婦関係が極端に悪化してしまって,もはや正常な夫婦関係を回復することがどうしても不可能な場合に限られるというべきでしょう。

3 仮に離婚となったら不妊治療費はだれが払うの?

不妊治療にかかる費用というのは決して安くはありません。100万円から200万円が平均と言われるほど大きな金額になります。残念ながら離婚することになったとしても、不妊治療にかかった費用はだれが負担することになるのでしょうか。上でも述べましたが,不妊だけを理由として離婚することはできないと考えられますので,夫婦が離婚自体には合意している場合を前提として費用の分担についてお話ししたいと思います。
妻の不妊治療にかかった治療費等は,「婚姻から生ずる費用」にあたり、半分ずつ負担する、ということになると考えられます。
 ここで、「婚姻から生ずる費用」といってもご存じでないのが当然と思いますのでご説明いたしますと、法律上、夫婦は,その資産,収入その他一切の事情を考慮して,「婚姻から生ずる費用」を分担しなければならないと規定されています。この「婚姻から生ずる費用」のことを婚姻費用と呼んでいます。この婚姻費用には,夫婦間の未成熟子の生活費,衣食住費,医療費などが含まれるとされています。たとえば,妻が百貨店で食材を買うことや洋服を買うことなどが典型的な行為といえます。
もっとも,あくまでこれは法律的な意見ですので,お互いに話し合って治療費の分配などをしてもらっても大丈夫ですし、こちらの方が気持ちよくまとまるかもしれません。

4 まとめ

まず夫婦でよく話し合うことが何よりも大事です。じっくりと話し合って,夫婦にとって最良の選択をすることが一番望ましいと思います。
 しかし,どうしても話がまとまらず,離婚しかないという結論になってしまった場合には,弁護士に相談することも選択肢としてあります。弁護士に相談する場合であっても,家庭の事情はさまざまであり,判断が難しい場面もあるかと思います。そのため,離婚関係の事案について経験豊富な弁護士に相談することをお勧めいたします。
以上

 

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