離婚・親子問題

勝手に離婚届を出されそう…。何か対策はないの?

2017.08.07
離婚・親子問題|弁護士ニュース

夫婦喧嘩の末,勢い余って離婚届に署名押印してしまったというケースは決して珍しいものではありません。その後,思いとどまって離婚したくない妻(夫)と,やはり離婚したい夫(妻)という構図が出来た場合,相手が勝手に離婚届を出してしまう恐れが生じてしまいます。このような場合,事前に離婚届を提出してほしくない当事者としては,何か対策をすることは出来ないのでしょうか?そこで,今回は,対策の一つとして存在する離婚届不受理申出制度についてお話しさせて頂きたいと思います。

1 不受理申出制度の意義

 別に離婚届が提出されたとしても,すぐに訂正できるんじゃないの?と思っていませんか?お互いが離婚が無効であると納得していればまだしも,話はそんなに簡単じゃありません。

(1) 離婚届が提出された後に対応したらダメなの?

協議離婚は,夫婦が離婚に合意し,離婚届を市区町村長に届け出ることで成立します。もっとも,市区村長による審査は,実質的に離婚の意思を有していたかまで行うものではなく,あくまで形式的に判断されます。そのため,当事者の一方の意思を無視して提出された離婚届が受理されることもあるのです。
 とはいえ,離婚をするには当事者に離婚をする意思が必要ですので,このような離婚届は本当は無効なはずです。しかし,一度離婚届を受理されてしまいますと,戸籍に離婚した旨が記載されてしまいます。そのため,これを抹消するには,離婚を無効とする確定判決などを得て,戸籍の訂正の申請をしなければなりません。しかも,戸籍の訂正をしたとしても不実の記載の痕跡が残ってしまうので,完全に離婚の記載を消すためにはさらに戸籍の再製を申し出る必要があります。
 離婚届を提出されてしまいますと,このように煩雑な手続きを経なければならないうえ,下手をするとそもそも離婚を無効とする確定判決などを獲得するという最初の段階で躓いてしまうこともあります。例えば,夫婦喧嘩の際に離婚届を直筆で署名押印していた場合であれば,裁判所はほぼ離婚を無効だと判断してくれません。
そこで,離婚届が提出されることを防ぐことが離婚しないための一番有効な方法になるのです。

(2) 不受理申出制度ってなあに?

 直筆で記載した離婚届がある場合,それを相手方から取り戻して破棄することが第一ですが,それが困難な場合も多いと思います。そのような場合,本人の意思に基づかない無効な届出の受理を防止する方策として,いわゆる不受理申出制度があります。この制度は,離婚届が勝手に提出されてしまう場合に備えて,仮に離婚届が提出されたとしても窓口で本人確認ができない場合は離婚届を受理しないように,あらかじめ本籍地の市区町村長に対して申し出る制度を言います。
 離婚届不受理申出がなされた場合,市区町村長が,不受理申出者本人が出頭して離婚届を提出したことが確認できなければ,これを不受理とします。そして,不受理申出者に対して,離婚届が提出されたことを通知します。
 このように,離婚届不受理申出をしていれば,離婚届が勝手に受理されることはなく,自分の知らないところで離婚が成立することを防ぐことが出来ます。なお,一度不受理申出がなされると取下げがなされない限り,無期限に有効です。

2 離婚届不受理申出の方法

 この不受理申出は,申出人本人が市区町村の役場に出頭して行うことが原則となります。
 ただ,申出は口頭で行うことは出来ず,書面で行わなければなりません。提出すべき書面は窓口に備え付けの不受理申出書がありますので,氏名,生年月日,住所,本籍等を記載して提出することになります。この際,市区町村長は,運転免許,パスポートなど顔写真付きの本人確認書類を窓口で提示する必要があり,本人確認ができない場合,申出は受理されません。
 また,先程も申しましたように市区町村の役場に出頭して行うことが原則ではありますが,疾病その他やむを得ない事由により出頭できない場合,不受理申出をする旨を記載した公正証書又は私署証書に公証人の認証を受けた書面を郵送して送付することも可能です。

3 やっぱり離婚する気になったら?

 以上のように,離婚届不受理申出をしていれば,勝手に離婚させられることはありませんが,やっぱり離婚をしようと考え直した場合にはどうすればいいのでしょうか?
 この場合,いつでも不受理届を取り下げることが可能です。もっとも,取下げにあたっても口頭で行うことは出来ず,不受理届を申し出した人が署名押印した取下書を提出する必要があります。なお,取下書には所定の様式はありませんので,取下げの意思を明確に記載して提出すれば大丈夫です。

4 まとめ

 いかがでしたでしょうか?今回は,勝手に離婚届が提出されることを防止するための方法として離婚届不受理申出制度についてお話しさせて頂きました。
 最初にも申しましたように,離婚届が提出されてしまうとこれを覆すためにはかなりの労力を要しますし、そもそも覆すことができない可能性が高いです。ですので,離婚届にサインしないことが何よりも大事ではありますが,サインしてしまった場合はすぐに離婚届不受理申出をするようにしましょう。
 しかしながら,離婚届不受理申出が間に合わないこともあるかもしれません。このような場合は,相手方が調停で離婚が無効であることに応じない限り,裁判で決着をつけるほかありません。先程も申しましたように,離婚が無効であることの判決を勝ち取ることは容易ではありません。ただ,離婚事件について豊富なノウハウを有している弁護士であれば,それも可能かもしれません。
 お悩みの際には,離婚事件について豊富なノウハウを有している弁護士にご相談してみてはいかがでしょうか?
以上

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